1巻第2章 消えたガラス あらすじとデータ

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第1章の物語から10年近くが経ち、赤ん坊だったハリーも少年に成長していました。しかし、両親を失ってからのハリーは、惨めな暮らしを余儀なくされていました。

あらすじ

ダーズリー夫妻が目を覚まし、戸口の石段に赤ん坊がいるのを見つけてから10年以上の月日が流れました。プリベット通り4番地のダーズリー家の居間はその時からまったく変わっていませんでしたが、暖炉の上のダドリー・ダーズリーの写真が変わったことだけが、月日の流れを示していました。この家にもう1人少年がいる様子はありませんでしたが、確かにハリー・ポッターはこの家で暮らしていました。ハリーの部屋は、蜘蛛だらけの、狭い階段下の物置です。

ペチュニアが階段下の物置の戸を叩き、金切り声でハリーを起こしました。ハリーはどんな夢を見ていたか思い出そうとしていました。空飛ぶオートバイの夢で、前にも見たような気がします。ペチュニアはハリーにフライパンのベーコンの様子を見るように言いつけ、ダドリーの11歳の誕生日だから間違いがあってはいけないと言います。ハリーはダドリーのお古の服に着替えると、キッチンに向かいました。食卓はダドリーの誕生日プレゼントの山に埋もれてほとんど見えませんでした。

ハリーは細面の顔に真っ黒な髪、明るい緑色の目をした少年です。暗い物置に住んでいるせいか歳の割には小柄で痩せていて、膝小僧が目立つような細い脚をしています。その上、着るものはハリーの四倍も大きいダドリーのお古ばかりなので、ますます痩せて小さく見えました。丸いメガネをかけていましたが、ダドリーの顔面パンチがしょっちゅう飛んでくるせいで、セロハンテープであちこち貼り付けてありました。

ハリーが自分の顔でたった一つ気に入っていたのは、額にある稲妻形の傷です。物心ついた時から傷があり、ハリーはペチュニアおばさんから、その傷は両親が自動車事故で死んだ時の傷だと言い聞かされていました。そして、ダーズリー家では質問を禁じられていたので、ハリーは両親や事故のことについてほとんど知りませんでした。

ダドリーは毎年誕生日になると、バーノンおじさんとペチュニアおばさんに連れられ、友達と出かけることになっていました。ハリーはその間、いつも二筋むこうに住んでいる変わり者のフィッグばあさんに預けられましたが、ハリーはそこが大嫌いでした。電話が鳴り、そのフィッグばあさんが足を折ってしまったので、ハリーを預かれないと言います。バーノンおじさんもペチュニアおばさんもハリーを預ける先が思いつかず、ダドリーの友達のピアーズ・ポルキスと一緒に、ハリーを仕方なく動物園に連れて行くことにしました。

ハリーにとっては信じられない幸運でしたが、バーノンおじさんは出発前にハリーをそばに呼び、ちょっとでも変なことをしたらクリスマスまで物置に閉じ込めてやると脅しました。困ったことに、ハリーの周りではよく不思議なことが起きていました。キッチンバサミでクリクリに刈り上げられた髪の毛が、翌日には元通りに伸びていたこと。ダドリーのお古のセーターを無理にハリーに着せようとしたとき、おばさんが躍起になればなるほど、ハリーには到底着られないほどにセーターが縮んでしまったこと。ダドリーとその仲間から逃げていたとき、気づいたら学校の食堂の屋根の煙突の上に腰掛けていたこと。

動物園の入口で、おじさんとおばさんはダドリーとピアーズの2人に大きなチョコレート・アイスクリームを買い与えました。ハリーを急いでアイス・スタンドから遠ざけようとしましたが、売り子のおばさんがハリーに声をかけてしまったので、しかたなく安いレモン・アイスを買い与えました。園内のレストランでお昼を食べると、ダドリーがチョコレート・パフェが小さいと癇癪を起こしたので、おじさんはもう一つパフェを買ってやる羽目になり、ハリーはパフェのお下がりを食べることを許されました。ハリーにとっては幸運が続きましたが、後になって思えば、こんなにいいことばかりが続くわけがありませんでした。

午後、一行は爬虫類館を訪れました。ダドリーはすぐに館内で一番大きなヘビを見つけましたが、ヘビは茶色いとぐろを巻いてぐっすり眠っていました。ダドリーとバーノンおじさんがヘビを起こそうとしましたが、動く気配はありません。ところが、ダドリーたちが言ってしまったあと、ハリーがヘビに話しかけると、ヘビはハリーの言葉を理解するようなのです。ハリーがヘビと会話するのをピアーズが見つけ、ダドリーとバーノンおじさんを呼び戻します。ダドリーがハリーの肋骨にパンチを喰らわせ、ハリーが床にひっくり返った次の瞬間、ダドリーとピアーズがガラスに寄りかかったと思いきや、ニシキヘビのケースのガラスが消えてしまいました。

ヘビはとぐろを解いて外に這い出し、ダドリーとピアーズの踵に噛みつくふりをして、逃げていったのです。恐怖のあまり訳のわからないことを口走っていたダドリーとピアーズでしたが、ハリーにとって最悪なことに、やがて落ち着きを取り戻したピアーズは、ハリーがヘビと話をしていた、と言い出したのです。家に戻ると、バーノンおじさんは罰としてハリーを階段下の物置に閉じ込め、食事抜きを言いつけました。

ハリーの両親が亡くなってから、ハリーにとっては思い出す限り惨めな十年の月日が流れていました。小さいころ、ハリーは見知らぬ親戚が自分を迎えに来る夢を何度も見ましたが、ダーズリー一家の他に家族はありませんでした。

それなのに、時々見知らぬ人がハリーのことを知っているのではないかと思わせる出来事がありました。ペチュニアおばさんとダドリーと買い物に出た時、店の中でスミレ色の三角帽子を被った小さな男の人が、ハリーにお辞儀をしたこと。バスの中で、緑ずくめのとっぴな格好をしたおばあさんが、ハリーに向かって嬉しそうに手を振ったこと。ひどく長い紫のマントを着たハゲ頭の男が、ハリーと握手をして一言も言わずに立ち去ったこと。ところがこうした人々は、ハリーがもう一度よく見ようとしたとたん、消えてしまうのでした。

データ

登場キャラクター

できごと

  • 1991年6月?日(土):ダドリーの誕生日。ダーズリー一家とピアーズ・ポルキス、ハリーが動物園に行きました。ボア・コンストリクターの展示をしていた場所のガラスが消えてしまい、蛇が逃げ出してしまいました。プリベット通りに戻ると、ハリーは物置に閉じ込められました。
  • ハリーの回想:
    • 「ハリーの一番古い記憶」:目の眩むような緑の閃光と、焼け付くような額の痛みが、ハリーの一番古い記憶。ハリーはこれが両親の死んだ自動車事故なんだと思っていました。
    • ハリーの記憶に残る最初の質問」:「どうして傷があるの?」ハリーはペチュニアおばさんにこう聞くと、ペチュニアはハリーの両親が死んだ自動車事故でできた傷だと答え、質問は許さないと言いつけました。
    • ある時」:ペチュニアおばさんがハリーの髪の毛をキッチンバサミで刈り上げたのでほとんど丸坊主になりましたが、翌朝は刈り上げられる前とまったく変わらなくなっていました。このせいでハリーは1週間物置に閉じ込められました。
    • またある時」:ペチュニアおばさんがダドリーのお古のセーターをハリーに無理やり着せようとしましたが、どんどんセーターが縮んでしまいました。
    • 学校の屋根事件」ダドリー軍団から逃げていたハリーが、気づいたら学校の食堂の屋根の煙突の上に腰掛けていました。女校長先生がダーズリー家のたいそうご立腹の手紙を送り、ハリーは物置に閉じ込められました。
    • 一度はペチュニアおばさんとダドリーと一緒に買い物に出たとき」:店の中でスミレ色の三角帽子をかぶった男の人が、ハリーにお辞儀をしました。ペチュニアおばさんは知っている人なのかとハリーを激しく問い詰め、何も買わずに二人を連れて店を飛び出しました。
    • 一度はバスの中で」:緑ずくめのとっぴな格好をしたおばあさんが、ハリーに向かってうれしそうに手を振りました。
    • まちなかで」:ひどく長い紫のマントを着たハゲ頭の男が、ハリーとしっかり握手までしてそのまま一言も言わずに立ち去りました。

用語

地名

  • マジョルカ島
  • ブラジル

アイテム

  • ブランデー

組織・団体

なし

生物

  • ナメクジ
  • ゴリラ
  • トカゲ
    • ボア・コンストリクター

そのほか

  • 階段下の物置
  • クリスマス