もう残り少ないですが、今日はハロウィーン。日本とは時差がありますから、もう数時間後にホグワーツ生たちがハロウィーン・パーティを楽しむことでしょう。
『ハリー・ポッター』では、ハロウィーンにいろいろなできごとがありました。今日はそのおさらいです。
トロールの侵入
ハーマイオニー・グレンジャーは奥の壁に張りついて縮み上がっていた。いまにも気を失わんばかりだった。トロールは洗面台を次々となぎ倒しながら、ハーマイオニーに近づいていく。
『ハリー・ポッターと賢者の石』第10章
ハリーたちにとってホグワーツで初めてのハロウィーン。トロールがホグワーツ城内に侵入して(というかクィレルが連れ込んで)、大広間は大パニックになりました。
ロンの心無い言葉に傷ついていたハーマイオニーは、パーティに参加せず女子トイレで泣いていました。ハーマイオニーにトロールのことを知らせに行ったハリーとロンでしたが、そうとは知らずにトロールをハーマイオニーのいる女子トイレに閉じ込めてしまいます(映画では設定が異なります)。
習いたての「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」でトロールをノックアウトしたロン。駆けつけた先生たちにどういうつもりかと問い詰められたハリーとロンを、ハーマイオニーが嘘をついてかばいました。この事件がきっかけで、名トリオが誕生したのです。
「ほとんど首無しニック」の絶命日パーティ
一段と高いところにある灰色の墓石の形をした巨大なケーキには、砂糖の代わりにコールタールのようなもので文字が書かれていた。
ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿
一四九二年十月三十一日没
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』第8章
1492年10月31日は「ほとんど首無しニック」ことニコラス・ド・ミムジー‐ポーピントン卿が処刑された日。その前日の晩、出っ歯のレディ・グリーブに歯並びを治せると言って魔法をかけたが失敗してしまい、翌朝斬首刑を宣告されました。その日、斧を研ぐ砥石がなく、ニックは死ぬまで切れない斧で45回も切りつけられてしまいます。最後まで首はスッパリ落ちず、ゴーストになっても首は胴体と皮一枚で繋がったままの姿です。
500年後の1992年、ハリー、ロン、ハーマイオニーはニックの500回目の「絶命日パーティ」に招待されます。お世辞にも生きている者には楽しいパーティ。パーティを抜け出たハリーは他の二人には聞こえない「声」を聞き、そして石にされたミセス・ノリスを見つけるのでした……。
シリウス・ブラック、ホグワーツに侵入
「きっと、逃亡中で時間の感覚がなくなったんだと思うな」ロンが言った。
「今日がハロウィーンだって気づかなかったんだよ。じゃなきゃこの広間を襲撃してたぜ」
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第9章
この年、ハロウィーン・パーティからグリフィンドール生たちが戻ってくると、寮の入口に人だかりができていました。「太った婦人」の肖像画のキャンパスはズタズタ。ホグワーツに侵入したシリウス・ブラックが、寮の入口を開けなかった婦人に腹を立てて切りつけたとか。
この日はみんなが大広間で寝袋にくるまり夜を明かしました。それにしても、シリウスが狙っていたのが何だったのか知っている私たちからすると、「危なかったのはあんただよ!」とロンに叫びたくなります。
炎のゴブレットの代表選手発表
「代表選手に名乗りを上げたい者は、羊皮紙に名前と所属校名をはっきりと書き、このゴブレットの中に入れなければならぬ。立候補の志ある者は、これから二十四時間の内に、その名を提出するよう。明日、ハロウィーンの夜に、ゴブレットは、各校を代表するにもっともふさわしいと判断した三人の名前を返してよこすであろう。このゴブレットは、今夜、玄関ホールに置かれる。我と思わん者は、自由に近づくがよい」
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第16章
炎のゴブレットが三大魔法学校対抗試合の代表選手を発表したのはハロウィーンの晩でした。どういうわけか4人目の代表選手が発表され、そこにあったのはハリーの名前。ハリーは参加できる年齢になっていないにも関わらず、「魔法契約の拘束力」によって三大魔法学校対抗試合に参加することを余儀なくされてしまうのです。
これに嫉妬したのがロン。この日から第一の課題が終わるまで、二人の仲は冷めきった状態が続くのでした……。
リリーとジェームズ・ポッターの命日
その夜は雨で、風が強かった。かぼちゃの姿をした子どもが二人、広場をよたよたと横切っていく。店の窓は紙製の蜘蛛で覆われている。信じてもいない世界の扮装で、ごてごてと飾り立てるマグルたち……「あの人」は滑るように進んでいく。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第17章
そう、ピーター・ペティグリューの情報をもとに、ヴォルデモートがゴドリックの谷に住んでいたポッター一家を襲ったのが1981年のハロウィーンでした。実はこのとき、マグルの小さな男の子が「おじさん、すごい変装だね!」と言ってヴォルデモートのマントのフードの中を覗き込むのですが……。男の子から消えたのが笑顔だけでよかったと言うべきなのか、なんなのか……。
「[…]ただわかっているのは、十年前のハロウィーンに、おまえさんたち三人が住んでいた村にあやつが現れたってことだけだ。おまえさんは一歳になったばかりだったよ。やつがおまえさんたちの家にやってきた。そして……そして……」
『ハリー・ポッターと賢者の石』第4章
『ハリー・ポッターと賢者の石』はリリーとジェームズが亡くなり、ハリーが辛くも生き残り、ヴォルデモートが「消えた」次の日から始まっています。
具体的にポッター一家が襲われたのが「ハロウィーン」とわかるのはしばらく後、海の上の小屋を訪れたハグリッドが、ハリーに両親の死の真相を語っている場面です。
この年もホグワーツの中では楽しいハロウィーン・パーティが行われていて、そこに、あるいはその直後にリリーとジェームズの死の知らせが届いたのだとしたら……。ハグリッドの心情に思いを巡らすと切なくなりますね……。