フェリックス・フェリシス

フェリックス・フェリシス (Felix Felicis) は、飲んだ者のあらゆる企てを成功に傾ける金色の魔法薬です。「幸運の液体」とも呼ばれます[1]

基本情報

名称: フェリックス・フェリシス (Felix Felicis)
別名: 幸運の液体
種別: 魔法薬
効果: 飲んだ者のあらゆる企てが成功に傾く[1:1]
持続: 小瓶一本で12時間(明け方から夕暮れまで)[1:2]
調合期間: 六ヵ月[2]
副作用: 有頂天・無謀・危険な自己過信。大量に摂取すると毒性が高い[1:3]
規制: 組織的な競技や競争事では禁止[1:4]
初出: 『謎のプリンス』第9章

外見

金を溶かしたような色をしています。大鍋の中では表面がしぶきを上げて跳ねますが、一滴もこぼれません[1:5]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第9章「謎のプリンス」

中の魔法薬が、楽しげにピチャピチャ跳ねている。金を溶かしたような色で、表面から金魚が跳び上がるようにしぶきが撥ねているのに、一滴もこぼれてはいなかった。

持ち運ぶときは、コルク栓をした小さなガラス瓶に入れます[1:6]。栓は蝋で封じられていました[3]

効果

正しく煎じられた薬を飲むと、薬効が切れるまで、その者の企てはすべて成功に傾いていきます[1:7]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第9章「謎のプリンス」

「そのとおり。グリフィンドールにもう十点あげよう。そう。この魔法薬はちょっとおもしろい。フェリックス・フェリシスはね」スラグホーンが言った。「調合が恐ろしく面倒で、間違えると惨憺たる結果になる。しかし、正しく煎じれば、ここにあるのがそうだが、すべての企てが成功に傾いていくのがわかるだろう……少なくとも薬効が切れるまでは」

小瓶一本で12時間分の幸運になり、明け方から夕暮れまで何をしてもうまくいきます[1:8]

飲むと、無限大の可能性が広がるような高揚感が体に染み渡り、何でもできそうな気分になります[4]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第22章「埋葬のあと」

やがて、無限大の可能性が広がるようなうきうきした気分が、ゆっくりと、しかし確実に体中に染み渡った。何でもできそうな気がした。どんなことだって……そして、突然、スラグホーンから記憶を取り出すことが可能に思えた。そればかりか、たやすいことだと……。

薬は行くべき道を示しますが、一度に数歩先までしか照らしません。飲んだ者に最終目的地は見えず、目の前の思いつきが正しいと感じられるだけです[4:1]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第22章「埋葬のあと」

ハグリッドのところに行くのが正しいと感じたのはなぜなのか、ハリーはまったくわからなかった。薬は、一度に数歩先までしか、照らしてくれないようだった。最終目的地は見えなかったし、スラグホーンがどこで登場するのかわからなかったが、しかしこれが記憶を獲得する正しい道だということはわかっていた。

J.K.ローリングは、魔法薬のなかには呪文では得られない効果を持つものがあるとして、ポリジュース薬と並べてフェリックス・フェリシスを挙げています[5]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「魔法薬」

魔法薬には呪文と同じ効き目を持つものもありますが、ポリジュース薬やフェリックス・フェリシスのように、ほかの方法では同じ効果を得られないものもあります。

効果の限界

幸運そのものに限りがあります。ハリー・ポッターが必要の部屋を破るためにもう一度飲もうとしたとき、ハーマイオニー・グレンジャーはそれを無駄遣いだと止めました。スラグホーンの記憶が手に入ったのは、もともとハリーに説得する能力があり、薬は状況を少しつねっただけだったからで、強力な魔法を破るには幸運では足りない、というのがその理由です[2:1]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第24章「セクタムセンプラ」

「幸運には幸運の限界があるわ、ハリー。スラグホーンの場合は状況が違うの。あなたにははじめからスラグホーンを説得する能力があったのよ。あなたは、状況をちょっとつねってやる必要があっただけ。でも、強力な魔法を破るには、幸運だけでは足りない。あの薬の残りをむだにしないで! ダンブルドアがあなたを一緒に連れていくときに、あらゆる幸運が必要になるわ……」

副作用と規制

飲みすぎると有頂天になり、無謀になり、危険な自己過信に陥ります。大量に摂取すれば毒性が高くなります[1:9]。スラグホーン自身は、生涯に二度、24歳と57歳のときに朝食と一緒に大さじ二杯を飲んだだけで、それを「完全無欠な二日」と振り返っています[1:10]

組織的な競技や競争事では使用が禁止されています。スラグホーンはその例としてスポーツ競技、試験、選挙を挙げました[1:11]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第9章「謎のプリンス」

「さて、警告しておくが、フェリックス・フェリシスは組織的な競技や競争事では禁止されている……たとえばスポーツ競技、試験や選挙などだ。これを獲得した生徒は、通常の日にだけ使用すること……そして通常の日がどんなに異常にすばらしくなるかを御覧じろ!」

調合

調合は恐ろしく面倒で、間違えると惨憺たる結果になります[1:12]。『上級魔法薬』に調合法が載っていますが、材料は複雑で、六ヵ月煮込まなければなりません[2:2]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第24章「セクタムセンプラ」

「驚いたなあ。マジで複雑だ」

材料のリストに目を走らせながら、ハリーが言った。

「それに、六ヵ月かかる……煮込まないといけない……」

スラグホーンの授業(1996年)

1996年9月、ホグワーツに魔法薬学の教師として戻ったスラグホーンは、N・E・W・Tレベルの最初の授業でフェリックス・フェリシスを紹介し、その時間にもっともよく生ける屍の水薬を調合した生徒に小瓶一本を与えると告げました[1:13]

ハリーは、スラグホーンから借りた『上級魔法薬』の古い教科書に前の持ち主が書き込んでいた指示に従って調合し、賞品を手に入れます。書き込みの主は、裏表紙の下のほうに「半純血のプリンス蔵書」と記していました[1:14]

ハリーはこの小瓶を、寮のトランクの底に丸めたソックスに包んで隠しておきました[1:15][6]

クィディッチの試合(1996年)

グリフィンドール対スリザリンの試合の朝、ハリーは朝食の席で、キーパーのロン・ウィーズリーのかぼちゃジュースに何かを注ぐそぶりを、ハーマイオニーに見えるように見せました。ハーマイオニーは飲むなと止め、ハリーを退校処分に値すると責めましたが、ロンはグラスを一気に飲み干し、試合ではすべてのゴールを守ります[3:1]

試合後、ハリーは蝋で封じられたままの小瓶を取り出し、何も入れていなかったことを明かしました[3:2]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第14章「フェリックス・フェリシス」

「僕が入れたと、ロンに思わせたかったんだ。だから、君が見ているときを見計らって、入れるふりをした」

ハリーはロンを見た。

「ラッキーだと思い込んで、君は全部セーブした。すべて君自身がやったことなんだ」

スラグホーンの記憶(1997年)

1997年、ハリーはダンブルドアに頼まれたスラグホーンの本物の記憶を手に入れるため、12時間ぶんは必要ないと考え、二、三時間ぶんの見当をつけて一口だけ飲みました[4:2]

薬に導かれたハリーは、スラグホーンの部屋ではなくハグリッドの小屋へ向かい、途中の野菜畑でスラグホーンに出くわします。そのままアラゴグの埋葬に立ち会い、ハグリッドの小屋での酒盛りの末に記憶を引き出しました[4:3]。城へ忍び戻る途中で、ハリーは効き目が薄れていくのを感じています[7]

J.K.ローリングも、ハリーがこの記憶を手に入れられたのはフェリックス・フェリシスのおかげだったと書いています[8]

天文台の塔の戦い(1997年)

1997年6月、ダンブルドアとともに城を発つ直前、ハリーは残っていた薬をロンに押しつけ、ハーマイオニーとジニーとで飲むように言い残しました[9]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第25章「盗聴された予見者」

「その中に包まっている物が必要なんだ。フェリックス・フェリシスだ。君たちとジニーとで飲んでくれ。ジニーに、僕からのさよならを伝えてくれ。もう行かなきゃ。ダンブルドアが待ってる――」

洞窟へ向かう小舟の上で、ハリーは、二人に薬を渡したのが何時間も前のことのように感じています[10]

その夜、城に死喰い人が侵入します。必要の部屋の見張りに立っていたロン、ジニー、ネビル・ロングボトムは、ドラコ・マルフォイが投げたペルー製の「インスタント煙幕」で真っ暗にされ、ルーモスもインセンディオも暗闇を破れないまま、廊下から手探りで抜け出しました[11]

戦いのあと、ジニーは薬の効き目をこう振り返っています[11:1]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第29章「不死鳥の嘆き」

ハリー、あなたのフェリックス薬を飲んでいなかったら、わたしたち全員死んでいたと思うわ。でも、全部すれすれに逸れていったみたい――

名前の由来

felix はラテン語で「幸運な」「実り多い」を意味する形容詞、felicis はその属格形です。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第9章「謎のプリンス」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第24章「セクタムセンプラ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第14章「フェリックス・フェリシス」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第22章「埋葬のあと」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「魔法薬」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第23章「ホークラックス」 ↩︎

  8. Pottermore Presents『ホグワーツ 権力と政治と悪戯好きのポルターガイスト』 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第25章「盗聴された予見者」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第26章「洞窟」 ↩︎

  11. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第29章「不死鳥の嘆き」 ↩︎ ↩︎