ヴォルデモート卿(トム・マールヴォロ・リドル)
ヴォルデモート卿 (Lord Voldemort) は、史上最も強力で危険な闇の魔法使いとして知られる人物で、本名はトム・マールヴォロ・リドル (Tom Marvolo Riddle)。混血の魔法使いでありながら純血主義を掲げ、不死への執着から魂を分裂させ分霊箱を作成していました。
ℹ️ 概要
基本情報
日本語での名前: ヴォルデモート卿(トム・マールヴォロ・リドル)
原書での名前: Lord Voldemort (Tom Marvolo Riddle)
呼び名: 闇の帝王 (The Dark Lord)、例のあの人 (You-Know-Who)、名前を言ってはいけないあの人 (He-Who-Must-Not-Be-Named)
生まれたのは: 1926年12月31日(イングランド・ロンドン)
亡くなったのは: 1998年5月2日(享年71歳・スコットランド・ホグワーツ城大広間)
家系: 混血(半純血)- 父:マグル、母:純血
所属: ホグワーツ魔法魔術学校 スリザリン寮(監督生・首席)、死喰い人、スラグ・クラブ
ヴォルデモート卿(本名トム・マールヴォロ・リドル)は『ハリー・ポッター』シリーズの最大の敵で、史上最も邪悪で強力な闇の魔法使いです。『ハリー・ポッターと賢者の石』で初登場し、映画では冷酷で蛇のような外見の魔法使いとして描かれています。パーセルタング(蛇語)を話し、不死を求めて分霊箱を作成する能力を持ちます。最終的に『ハリー・ポッターと死の秘宝』でハリー・ポッターによって倒され死亡します。
🎞️ 映画での描写
登場している映画
- 第1作 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 第2作 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 第4作 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第5作 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第6作 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第7作 『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』
- 第8作 『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』
以上7作(第3作以外)で、成人のヴォルデモートをレイフ・ファインズが、青年期のトム・リドルをクリスチャン・コールソンとフランク・ディレインが、少年期をヒーロー・ファインズ=ティフィンが演じました。
復活への執念
映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ヴォルデモートの完全な復活が描かれます。
レイフ・ファインズが演じるヴォルデモートは、蛇のような鼻孔、赤い目、青白い肌という非人間的な外見で登場します。復活の際には、父親の骨(トム・リドル・シニアの骨)、しもべの肉(ワームテールの腕)、敵の血(ハリー・ポッターの血)を使い、ワームテールの手助けで肉体を取り戻します。
ダンブルドアとの対決
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、魔法省でダンブルドアと壮絶な魔法戦を繰り広げます。水の球体に捕らえられたヴォルデモートは、最終的にハリーを憑依しようと試みますが、ハリーの愛の力によって追い出されます。
最終決戦
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では、ホグワーツでの最終決戦が描かれます。ニワトコの杖の真の所有者がハリーであることを知らないまま、死の呪いを放ちますが、呪いは跳ね返り、最終的に灰となって消滅します。
⚡️ ハリー・ポッターとの関係
ヴォルデモートとハリー・ポッターの関係は、予言によって運命づけられた宿敵の関係です。「闇の帝王を滅ぼす力を持つ者が近づいている… 闇の帝王に三度立ち向かった者たちに生まれ、第七の月が死ぬとき生まれる…」という予言により、ヴォルデモートはハリーを脅威と見なしました。
1981年のゴドリックの谷での襲撃では、リリー・ポッターの犠牲的な愛により死の呪いが跳ね返り、ヴォルデモートは肉体を失います。この時、意図せずしてハリーの魂にヴォルデモートの魂の一部が引っかかり、ハリーは7番目の分霊箱となりました。
二人の関係は単なる敵対関係を超え、ヴォルデモートがハリーに力の一部を与えてしまったことで精神的な繋がりが生まれます。ハリーはヴォルデモートの感情や行動を感知でき、時には彼の視点を通して物事を見ることもできました。
最終的に、ハリーが自ら犠牲となることでヴォルデモートを倒し、この運命的な関係に終止符が打たれます。
📖 原作での詳細
トム・マールヴォロ・リドルの年表
- 1926年 - 孤児院でトム・マールヴォロ・リドルとして誕生
- 1938年 - ホグワーツ入学、スリザリン寮に組み分け
- 1943年 - 秘密の部屋を開き、女子生徒(嘆きのマートル)を殺害、初の分霊箱(日記)を作成
- 1943年 - リドル一家を殺害、2番目の分霊箱(指輪)を作成
- 1945年 - 首席としてホグワーツ卒業
- 1950年代 - ヘプジバ・スミスを殺害、カップとロケットを盗む
- 1970年 - 第一次魔法戦争開始
- 1979年 - スネイプが予言をもたらす
- 1981年 - ポッター一家襲撃、肉体を失う
- 1995年 - 肉体復活
- 1998年 - ホグワーツの戦いで死亡
家族と家系
トム・マールヴォロ・リドルの母親は純血の魔法使いメローピー・ゴーント(サラザール・スリザリンの末裔)、父親は裕福なマグルのトム・リドル・シニアです。メローピーはトム・リドル・シニアと駆け落ちしましたが、やがてトム父親は妊娠中の彼女を捨てて去りました。
アルバス・ダンブルドアはメローピーが惚れ薬をトムに対して使い、やがて惚れ薬を使うのをやめてしまったのだろうと推測しています。
メローピーは息子をロンドンの孤児院で出産した直後に亡くなり、父親が息子を探すことはありませんでした。トム・マールヴォロは孤児院で育ち、ホグワーツ入学後も夏休みには孤児院で過ごしていました。
判明している家族(血縁者)
家族関係:
- 父親: トム・リドル・シニア(マグル、裕福な家庭出身)
- 母親: メローピー・ゴーント(純血、サラザール・スリザリンの末裔)
- 父方祖父母: リドル夫妻
- 母方祖父: マールヴォロ・ゴーント
- 母方伯父: モーフィン・ゴーント
判明している祖先:
- サラザール・スリザリン
- カドマス・ペベレル(蘇りの石の元所有者)
- コルビヌス・ゴーント
この出生の秘密は、ヴォルデモートの人格形成に大きな影響を与えました。彼は自分のマグルの血統を憎み、純血主義を掲げるようになりますが、皮肉なことに自身は混血でした。
分霊箱への執着
ヴォルデモートの最大の特徴は不死への異常な執着です。彼は死を人間の最大の弱さと考え、魂を分裂させて分霊箱を作ることで不死を実現しようとしました。最終的に以下の7つの分霊箱を作成します。
- トム・リドルの日記
- マールヴォロの指輪
- スリザリンのロケット
- ハッフルパフのカップ
- レイブンクローの髪飾り
- ナギニ(蛇)
- ハリー・ポッター(意図せず作成)
ホグワーツでの学生時代
学歴・職歴:
- 1938-1945年: ホグワーツ魔法魔術学校(スリザリン寮)
- 1942年: 監督生に任命
- 1945年: 首席として卒業
- 卒業後: ボージン・アンド・バークス従業員(短期間)
原作では、トム・リドルのホグワーツでの学生生活がより詳しく描かれています。彼は1938年から1945年まで在学し、優秀な生徒として教師陣に愛され、特にスラグホーン教授のスラグ・クラブのメンバーとして可愛がられました。しかし、ダンブルドアだけは彼の本性を見抜いていました。
リドルは在学中から分霊箱について調べており、スラグホーンから重要な情報を引き出しました。また、彼は同級生たちを操り、後に死喰い人となる取り巻きを集めていました。在学中は監督生、そして首席の地位を得て、「スリザリンの継承者」として秘密の部屋を開きました。
卒業後は短期間ボージン・アンド・バークスで働き、ヘプジバ・スミスなどの顧客から重要なアイテムを盗み出しました。
📝 原作と映画の主な相違点
- 外見の変化: 原作では分霊箱を作るたびに徐々に人間らしさを失っていく過程が詳しく描かれているが、映画では既に変化した姿で登場することが多い。
- 目の色: 原作では赤い目とされているが、映画では青い目で描かれている。
- 分霊箱の説明: 原作では分霊箱の概念やそれぞれの背景が詳細に説明されているが、映画では時間の都合上簡略化されている。
- 過去の探求: 原作では『謎のプリンス』でダンブルドアとハリーがトム・リドルの過去を詳しく調査するが、映画では一部のエピソードが省略されている。
- 最後の死: 原作では普通の人間のように死ぬが、映画では灰となって消滅する演出が加えられている。
💡トリビア・豆知識
- 名前「Tom Marvolo Riddle」を並び替えると「I am Lord Voldemort」(私はヴォルデモート卿だ)になるアナグラム。
- J.K.ローリングによると、「Voldemort」は「Vol de mort」(フランス語で「死の飛翔」)から来ており、最後の「t」は発音しない。
- レイフ・ファインズの甥であるヒーロー・ファインズ=ティフィンが少年期のトム・リドルを演じている。
- ボガート(まね妖怪)は自分の死体だとされており、死への恐怖を表している。
- 外見の変化: 元々は背が高く黒髪黒目のハンサムな青年だったが、分霊箱作成により骸骨より白い肌、蛇のような平らな鼻、細長い瞳孔の赤い目、唇のない顔へと変貌した。
- 使用した杖: イチイ製(不死鳥の尾羽根、34センチ)が本来の杖。後にルシウス・マルフォイの楡の杖を借用し、最終的にニワトコの杖を奪ったが真の持ち主にはなれなかった。
📚 登場
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(言及のみ)
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 『ハリー・ポッターと呪いの子』
- 『吟遊詩人ビードルの物語』(言及のみ)
- ポッターモア
🪺 『ハリー・ポッターと呪いの子』での設定
ネタバレ注意
この項目には『ハリー・ポッターと呪いの子』の重要な設定が含まれています。未読・未視聴の方はご注意ください。
『ハリー・ポッターと呪いの子』では、ヴォルデモートに関する新たな設定が明かされます。ヴォルデモートとベラトリックス・レストレンジジとの間にはデルフィニ (Delphini) という娘がいたことが判明します。婚姻関係はありませんでしたが、この血縁関係が物語の重要な要素となります。
デルフィニはヴォルデモートの死後、父を蘇らせようと時間を操作する計画を実行しようとしますが、ハリー・ポッターとその息子アルバス、そしてドラコ・マルフォイとその息子スコーピウスによって阻止されます。