10世紀ころの魔法使いで、当時の最も優れた魔法使いのひとりです。ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクローとともにホグワーツ魔法魔術学校を創設しました。
基本データまとめ
サラザール・スリザリン(Salazar Slytherin)
10世紀ころ
11世紀ころ
人間・魔法族
男性
灰色(「今月の魔法使い」のイラストによる)
灰色(「今月の魔法使い」のイラストによる)
ホグワーツ魔法魔術学校の創設者で教師
来歴
生い立ち
湿原から来たスリザリン
俊敏狡猾スリザリン
――組み分け帽子 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第12章
10世紀ころ、サラザール・スリザリンはアイルランドもしくはグレートブリテン島のどこかで生まれたと考えられます。のちの「組分け帽子」の歌によれば、スリザリンは「湿原」(”fen”)から来たといわれています。これはアイルランドもしくはイングランド東部の沼沢地帯を指すと思われますが、どこを指しているかははっきりしません。
スリザリンの家系は蛇語(パーセルタング)を話すことができ、これは珍しい能力です。また、スリザリンは開心術に長けていたことも知られています(ポッターモア)。
若い頃は同時代の魔法使い、ゴドリック・グリフィンドールと友人でした。
スリザリンはあるとき、杖の木材にはスネークウッド、芯はバジリスクの牙でできた杖を手にしました。この杖は蛇語で「眠る」ように命令すると、杖としての能力を失うようにできています。(ポッターモア)
ホグワーツの設立
10世紀末、サラザール・スリザリンはゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクローとともにホグワーツ魔法魔術学校を設立しました。創設者の4人はそれぞれ若者を選び、魔法教育を施したといいます。
スリザリンは祖先が純血、すなわち非魔法族の祖先がいない若者を生徒に選びました。スリザリンが選んだ生徒には、蛇語や機知、決意、規則を無視する傾向など、スリザリン自身が誇りにしていた様々な資質を備えていたといわれます。
スリザリン寮のシンボルは蛇、寮の色は銀と緑です。スリザリン生は野心家や狡猾な人物が多いことでも知られています。
他の創設者との決別
「数年の間、創設者たちは和気藹々で、魔法力を示した若者たちを探し出しては、この城に誘って教育したのであります。しかしながら、四人の間に意見の相違が出てきた。スリザリンと他の三人との亀裂は広がっていった。スリザリンは、ホグワーツには選別された生徒のみが入学を許されるべきだと考えた。魔法教育は、純粋に魔法族の家系にのみ与えられるべきだという信念を持ち、マグルの親を持つ生徒は学ぶ資格がないと考えて、入学させることを嫌ったのであります。しばらくして、この問題をめぐり、スリザリンとグリフィンドールが激しく言い争い、スリザリンが学校を去ったのであります」
――ビンズ先生 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』第9章
サラザール・スリザリンは純血の家系を重んじ、魔法教育は純粋に魔法族の家系にのみ与えられるべきだと考えていました。しかし、これは他の創設者3人の考えとは相容れないものでした。あるとき、スリザリンはかつて友人だったグリフィンドールと激しく言い争い、スリザリンはホグワーツを去りました。
スリザリンがホグワーツを去ったことに関連して、やがて「秘密の部屋」の伝説が生まれました。スリザリンは他の創設者に知られていない隠された部屋を作り、自身の真の継承者が現れるまで開けられることのないよう封印したといいます。その継承者のみが「秘密の部屋」の封印を解き、その中の恐怖を解き放ち、それを用いてホグワーツから魔法を学ぶにふさわしくない者を追放するとされました。
スリザリンは実際に「秘密の部屋」を作り、彼自身の能力である蛇語で封印していました。「秘密の部屋」にはバジリスクが棲んでいて、スリザリンの継承者は蛇語でこの大蛇を操ることができました。
死後
秘密の部屋
スリザリンの作った秘密の部屋は、彼の死後3回は開けられたことがわかっています。
1回目は18世紀、ホグワーツにトイレが作られたころです。秘密の部屋の入口はトイレの予定地になり、危機にさらされました。当時ホグワーツに在籍していたスリザリンの子孫、コルビヌス・ゴーントが、最新の配管設備が完成したあとも秘密の部屋に入れるよう、入口を隠したものと考えられます(ポッターモア)。
2回目は1943年、スリザリンの子孫であるトム・リドルが秘密の部屋を開け、このときはバジリスクがマグル生まれの女子生徒、マートル・ワレンを殺害しました。
3回目は1992年から1993年にかけてで、トム・リドルの魂に憑かれたジニー・ウィーズリーが「秘密の部屋」を開けました。このときのバジリスクの被害者は直接バジリスクの目を見ておらず、死は免れたものの、石にされました。
スリザリンのロケット
スリザリンはロケットをかつて所有しており、彼の死後はその子孫に受け継がれていました。スリザリンの子孫であるゴーント家に受け継がれたロケットは、一時的にハッフルパフの子孫であるヘプジバ・スミスの所有となり、最終的に、ゴーント家の母を持つトム・リドルの手に渡りました。
トム・リドルはやがてヴォルデモート卿と知られる闇の魔法使いとなり、複数の分霊箱を作ります。ヴォルデモート卿はスリザリンのロケットを自身の分霊箱にすると、幼いころ訪れたことのある洞窟に隠しました。分霊箱となったスリザリンのロケットは、1997年、グリフィンドールの剣を用いて破壊されました。
スリザリンの杖
スリザリンの所有していた杖は、子孫であるゴーント家の人物に受け継がれていました。17世紀にはゴームレイス・ゴーントという名の魔女がこの杖を使っていました。
ゴームレイスは自身の妹夫婦を殺害し、その娘イゾルトを連れ去り、純血主義の思想を植えつけようと育てていましたが、ある日イゾルトがこの杖を盗んでゴームレイスのもとから逃げ出します。イゾルトはマグルに混じってアメリカに渡り、そこでマグルの青年ジェームズ・スチュワードと結婚し、双子の姉妹をもうけ、さらに二人の魔法族の兄弟、チャドウィック・ブートとウェブスター・ブートを養子として育てていました。やがて、イゾルトはジェームズやチャドウィック、ウェブスターとともに、マサチューセッツ州のグレイロック山にイルヴァーモーニー魔法学校を開きました。
この魔法学校の評判を聞きつけたゴームレイス・ゴーントは、復讐のためにアメリカに渡りました。ゴームレイスはイゾルトと家族が住む家を見つけると、イゾルトが奪ったスリザリンの杖が「眠る」よう蛇語で命令し、スリザリンの杖は力を失いました。ゴームレイスはここで結局命を落とし、これ以来スリザリンの杖は杖として機能することはありませんでした。
ゴームレイスの攻撃から生き延びたイゾルトとジェームズは、家の敷地の外にスリザリンの杖を埋めました。1年もしないうちに、その場所からスネークウッドの一種の見知らぬ木が生えてきました。枝を落とそうとしても切り倒そうとしても頑として逆らったこの木は、数年すると、葉に強力な薬効があることがわかったといいます。(ポッターモア)
蛙チョコレートのカード
サラザール・スリザリンは、ホグワーツ魔法魔術学校の他の3人の創設者同様、蛙チョコレートのカードの1枚になっています。ホグワーツ校の創設者であること、記録に残っている蛇語使い(パーセルマウス)としては最も古い時代の人物であること、開心術に長けていること、純血主義の支持者であることが記載されています。
外見
かつてJ.K. ローリング公式サイトで公開されていた「今月の魔法使い」のイラストによれば、サラザール・スリザリンの瞳の色は灰色。髪型はスキンヘッドないしは禿げていて、眉毛や髭は灰色です。
登場箇所
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- J.K. ローリング公式サイト
- 「今月の魔法使い」
- ポッターモア(現:Wizarding World)