テッド・リーマス・ルーピン(通称テディ)はリーマス・ルーピンとニンファドーラ・トンクスの一人息子であり、母親ゆずりの異形態変身士(メタモルフォーゼ)として生まれながらに外見を自在に変える能力を持つ混血の魔法使いです。1998年4月に生まれたテディは、その数週間後に起きたホグワーツの戦いで両親を同日に失い、祖母アンドロメダ・トンクスに育てられました。ハリー・ポッターが名付け親(ゴッドファーザー)を務めており、「ハリー・ポッターと死の秘宝」のエピローグではビクトワール・ウィーズリーと交際していることが示されています。
名前: テッド・リーマス・ルーピン(Ted Remus Lupin)
別名: テディ(Teddy)
生まれ: 1998年4月(推定。HP7-25でリーマス・ルーピンが息子の誕生をハリーに告げる場面があり、ホグワーツの戦いが5月2日であることから4月生まれと推定される。正確な日付は原作に明示されていない)
性別: 男性
血統: 混血(父リーマス・ルーピンは混血の魔法使い、母ニンファドーラ・トンクスは混血の魔女)
種: 人間・魔法族
杖: 不明(原作に明記なし)
守護霊: 不明
ボガート: 不明
特殊能力: 異形態変身(メタモルフォーゼ)――母ニンファドーラ・トンクスと同様に生まれながらに自在に外見・髪色・顔立ちを変えられる非常に稀な能力
出身校: ホグワーツ魔法魔術学校(ハッフルパフ寮、ポッターモア)
- リーマス・ルーピン(父)†
- ニンファドーラ・トンクス(母)†
- アンドロメダ・トンクス(母方祖母・養育者)
- テッド・トンクス(母方祖父)†
- ライアル・ルーピン(父方祖父)
- ホープ・ハウエル(父方祖母)
- ハリー・ポッター(名付け親)
- ビクトワール・ウィーズリー(交際相手)
来歴
生い立ち
テッド・リーマス・ルーピンは1998年4月に生まれました(推定)。名前の「テッド」は、すでに死喰い人に殺されていた母方の祖父テッド・トンクスにちなんでいます(HP7-25)。テッド・トンクスはマグル生まれの魔法使いであり、ヴォルデモート体制下でマグル生まれを標的にした死喰い人によって命を落としていました(HP7-22)。「リーマス」というミドルネームは父の名前に由来します。
息子の誕生を知ったルーピンは、喜びに溢れた様子でシェル・コテージにいるハリーたちのもとへ駆けつけ、次のように語りました(HP7-25)。
"He's just like you, Harry," said Lupin in a choked voice. "He's got Tonks's hair, but..."
(「ハリー、あの子はあなたそっくりです」ルーピンはかすれた声で言いました。「トンクスの髪の色をしているけれど……」)
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第25章(HP7-25)
このとき、ルーピンはハリーに名付け親(ゴッドファーザー)になってほしいと依頼し、ハリーはこれを快く引き受けました(HP7-25)。
ホグワーツの戦いと孤児になった幼少期
テディが生後数週間のとき、ホグワーツの戦い(1998年5月2日)が起こりました。父リーマス・ルーピンと母ニンファドーラ・トンクスは同じ日に戦場で命を落とし(HP7-33)、テディは生後まもなく両親を失う孤児となりました。
ハリーが大広間に引き返した際、そこには戦いで命を落とした人々の遺体が並んでいました。
……リーマス・ルーピンが横たわっていた。トンクスの隣に。
(HP7-33、意訳)
二人は夫婦として、同じ戦場で、同じ日に命を落としました。J.K.ローリングはこの二人の死について明確な意図を語っています(PotterCast #131、2007年)。
両親を失ったテディは、母方の祖母アンドロメダ・トンクスに引き取られて育てられました。アンドロメダは同じホグワーツの戦いで娘夫婦を失い、夫テッド・トンクスにも先立たれていましたが、孫テディの養育を一身に引き受けました(HP7エピローグ、PM)。ポッターモアによれば、アンドロメダとハリー・ポッターはともにテディの養育に深く関わり、二人はそれぞれの深い悲しみを乗り越えながらテディを見守っていきました(PM)。
名付け親となったハリーは、テディを頻繁に自宅の夕食に招くなど積極的に関わり続けました。J.K.ローリングは後のインタビューで、テディが週に数回ポッター家の食事に招かれていたと語っています(JKR、Open Book Tour 2007年)。
ホグワーツ時代
テディの生年(1998年4月)から逆算すると、ホグワーツ入学は2009年頃、卒業は2016年頃と推定されます。ポッターモアによれば、テディはハッフルパフ寮に組み分けられました。母ニンファドーラ・トンクスと同じ寮への入寮となります(PM)。
ホグワーツ在学中の具体的なエピソードは原作に描かれていません。J.K.ローリングは2007年のOpen Book Tourにおいて、テディがホグワーツで首席監督生(ヘッドボーイ)を務めたと語っています(JKR)。
エピローグ(2017年)
1998年から19年後の2017年9月1日、テディ(当時19歳)はキングズ・クロス駅の9と3/4番線でビクトワール・ウィーズリーとキスをしているところを、ジェームズ・シリウス・ポッターに目撃されました(HP7-Epilogue)。ジェームズが父ハリー・ポッターに報告する場面が、テディに関する原作中唯一の具体的な登場シーンです。
"I saw him! He was hugging her!"
"Maybe he was saying good-bye."
"He was kissing her," James said, disgusted. "And she was kissing him back."(「見たんだよ!ハグしてたよ!」「お別れを言ってたんじゃないかな」「キスしてたんだよ」ジェームズは顔をしかめて言いました。「しかも彼女もキスを返してた」)
『ハリー・ポッターと死の秘宝』エピローグ(HP7-Epilogue)
ジェームズが「うちのビクトワール(our Victoire)」と親しみを込めて呼んでいることからも、テディがポッター家・ウィーズリー家の大きな家族の輪の中に自然に溶け込んでいたことが示されています(HP7-Epilogue)。この報告を聞いたハリーが静かに微笑む様子からは、テディとビクトワールの関係が周囲にある程度知られていたことが読み取れます。
外見
テディは生まれながらの異形態変身士であるため、「自然な」外見を固定することは難しいですが、父ルーピンは「トンクスの髪の色をしている」と描写しています(HP7-25)。これはテディが生まれた時点での外見であり、母親の能力を引き継いでいることを示す最初の描写でもあります。
J.K.ローリングは、テディが幼い頃から異形態変身の能力を活発に発揮し、気分や状況に応じて髪の色を変えていたと語っています(JKR)。エピローグの時点では特定の外見についての言及はなく、テディがどのような姿で19歳を迎えていたかは原作では明示されていません。
性格・人物像
テディの性格を直接描写する場面は原作にほとんどなく、その人物像の多くはJ.K.ローリングのインタビューや周囲の人物の言動から推測するほかありません。
父ルーピンが「きっと素晴らしい子になると思います」と語ったこと(HP7-25)、エピローグでウィーズリー家の次世代と自然に溶け込んでいる様子、そしてハリーが名付け親として積極的にテディとの関係を築いてきたという事実からは、テディが愛情ある環境のもとで育ったことが窺えます。
J.K.ローリングは「テッドには祖母がいて、ハリーがいる。ハリーがかつて持っていたものよりずっと多くのものが彼にはある」と語っています(JKR、Open Book Tour 2007年)。孤児として育ちながらも、ハリーとは異なり豊かな家族的つながりに支えられたテディの姿は、「戦争の傷跡の先にある再生」というシリーズのテーマの体現のひとつと言えるでしょう。
魔法の能力
異形態変身(メタモルフォーゼ)
テディの最も重要な特殊能力は、生まれながらの異形態変身(Metamorphmagus)です。これは母ニンファドーラ・トンクスと同じ能力であり、魔法の訓練なしに自在に外見・顔・体型・髪色を変えることができる、魔法界でも極めて稀なものです。
異形態変身の能力は遺伝的なものですが、必ずしも親から子へ受け継がれるわけではなく、テディに自然に備わりました。この能力が母から息子へと受け継がれたという事実は、ローリングも特にコメントしており(JKR)、テディが母の最も顕著な資質を体現していることを示しています。
人間関係
リーマス・ルーピン(父)†
テディが父と過ごした時間は生後数週間に過ぎませんでした。父リーマス・ルーピンはホグワーツの戦い(1998年5月2日)で命を落としたためです(HP7-33)。しかし、息子の誕生を心から喜び「きっと素晴らしい子になる」と信じた父の言葉は(HP7-25)、テディが成長する中で祖母や名付け親を通じて伝えられたと考えられます。
リーマス・ルーピンは長年にわたる狼人間への差別と貧困のなかで誠実に生き続けた人物であり、その人生とその死はテディのアイデンティティの根底をなす部分です。テディが父の名前「リーマス」をミドルネームとして生涯携えることは、父への追悼であるとともに、父の存在がテディの中に息づき続けていることの象徴と言えます。
ニンファドーラ・トンクス(母)†
母ニンファドーラ・トンクスも父と同じ日にホグワーツの戦いで命を落としました(HP7-33)。テディは母の最も顕著な特性である異形態変身の能力を受け継ぎました。母が戦場に向かうとき、テディは生後数週間で祖母アンドロメダ・トンクスに預けられていたと考えられます。
トンクスは「出自ではなく、その人そのものを選ぶ」という価値観を体現した人物であり、差別や偏見を拒否したアンドロメダを母に持ち、狼人間への偏見を跳ね返してルーピンを愛した魔女でした。この母の精神は、孫として育てたアンドロメダを通じてテディへと受け継がれていると解釈できます。
アンドロメダ・トンクス(母方祖母・養育者)
テディの育ての親となった母方の祖母です。アンドロメダは純血の名家ブラック家に生まれながら純血主義を拒否し、マグル生まれの魔法使いテッド・トンクスと結婚したことで家系図から名前を消された人物です(HP5、HP7)。
ホグワーツの戦いでアンドロメダは娘トンクスと婿リーマスを同日に失い、夫テッドもその前に死喰い人に殺されていました(HP7-22)。孤独な状況のなかで孫テディの養育を引き受けたアンドロメダの存在なくして、テディの育ちは語れません。ポッターモアによれば、アンドロメダとハリーはともにテディを見守る存在として戦後の人生を歩んでいきました(PM)。
ハリー・ポッター(名付け親)
ハリーはテディの名付け親(ゴッドファーザー)として、テディが生まれた日から(HP7-25)その成長を見守り続けました。ハリー自身が生後1歳で両親を失い、魔法界での名付け親シリウス・ブラックとは長年会うことができなかった経験を持つだけに、テディに対しては積極的に関わろうとしたと推測されます。
J.K.ローリングは後のインタビューで、ハリーがテディを週に数回自宅の夕食に招いていたと語っており(JKR、Open Book Tour 2007年)、ハリーが実質的に叔父と名付け親の両方の役割を果たしていたことが示されています。エピローグでジェームズが「うちのビクトワール」と自然に言うように(HP7-Epilogue)、テディはポッター家の大きな家族の輪の中に完全に溶け込んでいました。
ビクトワール・ウィーズリー(交際相手)
ビル・ウィーズリーとフルール・デラクールの長女であり、テディとの交際関係はエピローグで示されています(HP7-Epilogue)。ビクトワールは1999年前後の生まれと推定され、テディとの年齢差は1歳程度です。J.K.ローリングはインタビューで「テディは最終的にビクトワールと結ばれると、私はずっと思っていました」と述べています(JKR)。
父リーマス・ルーピンが親友ジェームズ・ポッターの息子ハリーと深く結びついていたように、テディとビクトワールの関係はウィーズリー家・ポッター家・ルーピン家という三つの家族の絆を次世代においても継続するものとして読み取れます。二人の関係は、両親の世代が戦争の中で失ったものの先に実を結んだ次世代の希望の一幕として、エピローグ全体を締めくくる象徴的な場面となっています。
名前の由来
「テッド(Ted)」は「エドワード(Edward)」の愛称であり、母方の祖父テッド・トンクス(Edward Tonks)にちなんでいます(HP7-25)。祖父テッド・トンクスはマグル生まれの魔法使いで、ヴォルデモート体制下で死喰い人に殺されました(HP7-22)。息子に祖父と同じ名を贈ることは、失われた家族への追悼と記憶の継承の表れです。
「リーマス(Remus)」はテディのミドルネームであり、父リーマス・ルーピンの名に由来します。「リーマス」はローマ建国神話に登場するロームルスとレムス(Remus)の兄弟の一方であり、伝説では双子の兄弟が狼に育てられたとされています。父の姓「ルーピン(Lupin)」もラテン語の"lupus"(オオカミ)に由来するもので、「リーマス・ルーピン」という名前全体が狼のイメージを重層的に含んでいました。テディが父の名前をミドルネームとして携えることは、その名の由来ごと受け継ぐことでもあります。
愛称「テディ(Teddy)」はエドワード→テッドのさらなる愛称形であり、原作中でも家族や友人からはテディと呼ばれています。
J.K.ローリングのコメント
The deaths of Tonks and Lupin were, in terms of [their] impact on the children they left behind, very deliberate. I wanted to show the real cost of war and that is having children who don't know their parents.
(トンクスとルーピンの死は、残された子どもたちへの影響という点で、非常に意図的なものでした。私は戦争の本当の代償を見せたかった。それは、両親を知らずに育つ子どもたちの存在です。)
J.K.ローリング、PotterCast #131(2007年)
I wanted to kill parents. I wanted there to be an orphan. ...Teddy has his grandmother and he's got Harry. He's got a lot more than Harry ever had.
(私は親を死なせたかった。孤児を生み出したかった。……でも、テッドには祖母がいて、ハリーがいる。ハリーがかつて持っていたものよりずっと多くのものが彼にはある。)
J.K.ローリング、Open Book Tour(2007年)
このコメントは、ローリングがテディの状況をハリーの孤独と意識的に対比させていたことを示しています。ハリーが幼少期に家族的なつながりをほとんど持てなかったのとは異なり、テディには祖母アンドロメダという養育者がおり、名付け親ハリーを中心とした大きな家族の輪があります。「戦争の代償」として孤児になりながらも、より豊かな支えの中で育つというテディの状況は、ローリング自身の設計によるものでした。
I always imagined Teddy ending up with Victoire.
(テディは最終的にビクトワールと結ばれると、私はずっと思っていました。)
J.K.ローリング(インタビュー発言)
舞台裏
- テディがハッフルパフ寮に所属したことはポッターモアで明かされた情報です。母ニンファドーラ・トンクスもハッフルパフ出身であり(PM)、親子で同じ寮に属したことになります。テディが父方に倣えばグリフィンドールの可能性もありますが、ハッフルパフの美徳――忠実さ、誠実さ、忍耐強さ――は、両親の遺産を大切にしながら育ったテディの姿にも重なります。
- J.K.ローリングは2007年のOpen Book Tourで、テディがホグワーツで首席監督生(ヘッドボーイ)を務めたことを示唆しています(JKR)。
- 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011年公開)のエピローグでは、テディとビクトワール・ウィーズリーがキスをする場面が映像として描かれています。
- テディの異形態変身能力は、原作では「母から受け継いだ」と明示されています(HP7-25)が、異形態変身が必ずしも遺伝するものではないこと(トンクスの記事でも言及されている通り)を考えると、テディが能力を持ったことは偶然ではなく、特別な事実として受け取られます。
年表
1998年4月
1998年5月2日
- ホグワーツの戦いにて父リーマス・ルーピン・母ニンファドーラ・トンクスが同日に戦死(HP7-33)
- 母方祖母アンドロメダ・トンクスに引き取られる
2009年頃
- ホグワーツ魔法魔術学校入学(推定)、ハッフルパフ寮(PM)
2015〜16年頃
- 首席監督生(ヘッドボーイ)就任(推定。JKRのコメントによる)
2016年頃
- ホグワーツ魔法魔術学校卒業(推定)
2017年9月1日
- キングズ・クロス駅9と3/4番線でビクトワール・ウィーズリーとキスをしているところをジェームズ・シリウス・ポッターに目撃される(HP7-Epilogue)
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』(誕生の言及および名付け親の依頼 HP7-25、エピローグ HP7-Epilogue)
- ポッターモア/WizardingWorld.com
- ハッフルパフ寮の記述(ハッフルパフ寮所属の情報)
- リーマス・ルーピンの来歴(ライアル・ルーピンの物語)
- J.K.ローリングへのインタビュー
- PotterCast #131(2007年)
- Open Book Tour(2007年)