イルマ・ピンス
イルマ・ピンス (Irma Pince) はホグワーツ魔法魔術学校の図書館で司書を務める魔女です。痩せて怒りっぽく、飢えたハゲタカを思わせる容姿で描写され、蔵書の扱いに極端に神経質です。
名前: イルマ・ピンス(Irma Pince)
別名: マダム・ピンス(Madam Pince)
性別: 女性
種: 人間・魔法族
職業: ホグワーツ図書館の司書[1]
来歴
ホグワーツ図書館の司書として
イルマ・ピンスは、ハリーがホグワーツに入学した年にはすでに図書館の司書を務めていました。ハリーが初めて図書館を訪れた際、書架を調べていた彼を羽根ばたきを振りかざして追い出しています[2]。
翌年、ロンがギルデロイ・ロックハートの著書に挟んだ許可証を確認したうえで、禁書の棚から本を貸し出しました[1:1]。装丁の金箔を磨いていた際には、乱暴に図書館を飛び出したドラコ・マルフォイを咎めるような目つきで見送っています[3]。
ハリーが三大魔法学校対抗試合の第二の課題に向けて呪文を探した際には珍しく自ら手を貸そうとしましたが、目当ての呪文は見つからず、閉館時にはランプを消してハリーを図書館から追い出しました[4]。
5年生になると、ダンブルドア軍団の結成を相談する中で、ハリーは図書室での呪文練習をマダム・ピンスが許すはずがないと指摘しています(本人は登場しません)[5]。実際、貴重な蔵書に触れる生徒には首筋に息がかかるほど接近し、通路を巡回する様子も見られます[6]。
ハンナ・アボットの本に貸出印を押していた際には、ハリーとジニー・ウィーズリーが図書館にチョコレートを持ち込んでいるのを見咎めて激怒しました[7]。
マダム・ピンスが萎びた顔を怒りに歪めて、二人に襲いかかってきた。
「図書室でチョコレートなんて!」マダム・ピンスが叫んだ。「出てけ――出てけ――出てけっ!」
マダム・ピンスの杖が鳴り、ハリーの教科書、カバン、インク瓶が二人を追い立て、ハリーとジニーは頭をボンボン叩かれながら走った。
翌年には、ハリーの『上級魔法薬』に書き込みがあるのを見咎めています[8]。
『クィディッチ今昔』の刊行をめぐる逸話
『クィディッチ今昔』の刊行にあたり、著者は本書をより広く読まれるよう複製する許可を得るため、マダム・ピンスから蔵書を1冊譲り受けようとしました。マグルにも読めるようにすると告げると、マダム・ピンスは言葉を失い、数分間身動きも瞬きもしなかったといいます[9]。
この本がもっと広く読まれるよう複製したいので、蔵書を1冊提供してくれるよう、司書のマダム・ピンスを説き伏せるのは、かなり難しかったことを告白せねばなるまい。実は、この本をマグルが読めるようにするのだと告げると、マダム・ピンスは言葉を失い、数分間、身動きも瞬きもしなかったのであります。
マダム・ピンスは、図書館が火事で焼けたことにする、あるいは著者が急死して指示を残さなかったことにするなど、貸し出しを避けるための代替案をいくつも提案しました。結局しぶしぶ本を引き渡すことに同意しましたが、実際に手放す段になると気がくじけ、著者は彼女の指を一本ずつ本の背から引き剥がさなければならなかったといいます[9:1]。
マダム・ピンスはいくつかの代替案を出しました。たとえば、図書館が火事で焼けてしまったことにするとか、私が急死して、図書館は私から何も指示を受けていないと、コミック・リリーフの人々にそう言ったらどうかという意見でありました。結局のところ、私が最初に立てた計画のほうが好ましいと言うと、マダム・ピンスはしぶしぶ本を引きわたすことに同意しました。もっとも、実際に本を手放す段になると、マダム・ピンスは気がくじけたらしく、私はその指を一本ずつ、本の背からむりやりひっぺがさなければなりませんでした。
管理する本には、通常の図書館の呪文とは別に、独自の異常な呪いをかけていることも語られています[9:2]。
マダム・ピンスが自分の管理下にある本に、さらに異常な呪いをかけていることがあります。私自身も昨年、『超物質的変身術理論』の本に、何気なくいたずら書きをしたところ、次の瞬間、その本に頭を激しくぶたれるという憂き目にあいました。
『クィディッチ今昔』の巻頭には、イルマ・ピンス本人の署名が入った警告文も掲げられています[9:3]。
注意:この本を引き裂いたり、破ったり、ずたずたにしたり、曲げたり、折ったり、落書きしたり、外観をそこねたり、よごしたり、しみをつけたり、投げたり、落としたり、他のどんなやりかたにせよ、この本を傷つけたり、乱暴に扱ったり、大事にしなかったりするとその結果は、私の能力の及ぶかぎり恐ろしい目にあわせます。
ホグワーツ司書 イルマ・ピンス
ダンブルドアの葬儀
アルバス・ダンブルドアの葬儀には、アーガス・フィルチと並んで参列しました。膝まで届く厚い黒のベールをかぶっていたと描写されています[10]。
玄関ホールに出ると、マダム・ピンスが、膝まで届く分厚い黒ベールをかぶってフィルチの脇に立っていた。
外見
痩せて怒りっぽく、飢えたハゲタカのような容姿だと繰り返し描写されます[1:2]。
司書のマダム・ピンスは痩せて怒りっぽい人で、飢えたハゲタカのようだった。
落ち窪んだ頬、羊皮紙のような肌、鉤鼻というハゲタカを思わせる容貌は、後年の場面でも同様に描かれています[8:1]。
物陰から、ハゲタカのような容貌のマダム・ピンスが現れた。落ち窪んだ頬に羊皮紙のような肌、そして高い鉤鼻が、手にしたランプで情け容赦なく照らし出されていた。
性格・人物像
蔵書の扱いに極度に神経質で、書物を汚す・傷めることを許しません。図書館でチョコレートを持ち込んだ生徒に激怒して杖で追い立てたり[7:1]、書き込みをした本の持ち主を咎めたりする姿から[8:2]、その徹底ぶりがうかがえます。
蔵書の貸し出し自体にも消極的で、『クィディッチ今昔』刊行の際には、マグルへの公開を渋り、貸し出しを避けるための代替案をいくつも提案しました[9:4]。管理下の本に独自の呪いをかける習性もあり、いたずら書きをした者が本に頭を叩かれるという事態も起きています[9:5]。
一方で、三大魔法学校対抗試合の第二の課題に向けてハリーが呪文を探した際には、珍しく自ら手を貸そうとしました[4:1]。日頃の厳格さとは異なる、職務上の対応と読める一場面です。
人間関係
アーガス・フィルチ
アルバス・ダンブルドアの葬儀では、アーガス・フィルチと並んで参列しました[10:1]。前年、ハリーの『上級魔法薬』への書き込みを咎めた場面では、ハリーとハーマイオニー・グレンジャーが、彼女とフィルチが密かに恋仲なのではないかと冗談交じりに話しています[8:3]。これは二人の憶測であり、作中で裏づけられた事実ではありません。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 第12章「みぞの鏡」
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 第10章「狂ったブラッジャー」
- 第11章「決闘クラブ」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第26章「第二の課題」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第16章「ホッグズ・ヘッドで」(言及のみ)
- 第24章「閉心術」
- 第29章「進路指導」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第15章「破れぬ誓い」
- 第30章「白い墓」
- 『クィディッチ今昔』