リディクラス ばかばかしい

リディクラス (Riddikulus) は、ボガート(まね妖怪)を退治するための呪文である[1]。詠唱だけでは効果を発揮せず、ボガートが変身している恐ろしい姿を、術者が滑稽だと感じる形へ変えることに精神を集中させる必要がある[2]。声を上げて笑うことができれば、ボガートはたちまち消え去る[1:1]

基本情報

呪文: Riddikulus(リディクラス)
分類: 呪文(charm)
対象: ボガート
語源: ラテン語 ridiculus(ばかばかしい、滑稽な)

効果

リディクラスは、ボガートを攻撃したり消滅させたりする呪文ではない。ボガートが術者の恐怖を読み取って変身した「最も恐ろしい姿」を、術者の想像力によって滑稽な姿へと強制的に変えるための呪文である[1:2]

呪文を発動させる手順は以下の通りである[2:1]

  1. ボガートが変身した「自分が最も恐れているもの」と対峙する
  2. それを「面白い・ばかばかしい」と感じる別の姿に変える方法を頭の中で具体的に思い描く
  3. 杖を構え、その姿に精神を集中させながら「リディクラス!」と唱える

ルーピンは授業の冒頭で、呪文の発音だけを杖なしで全員に練習させた上で、「ことばだけでは十分でない」と明言している[2:2]。実際にネビル・ロングボトムが最初に成功させたのも、スネイプの姿に変身したボガートを、自分の祖母の派手な服装に置き換えるという具体的な想像をともなったからであった[2:3]

呪文が成功するとボガートはコミカルな姿に変わり、声を上げて笑うことでボガートは破裂し、無数の煙の筋となって消える[2:4]。一方、術者の恐怖が深く笑いの感情にたどり着けない場合、呪文は効果を発揮しない。第5巻でモリー・ウィーズリーが家族の死体に変身したボガートに対し、繰り返し詠唱しても呪文が機能しなかったのはその例である[3]

名前の由来

呪文 Riddikulus は、ラテン語の形容詞 ridiculus(「ばかばかしい」「滑稽な」)に綴りを変えた形に基づくと考えられる。英語の ridiculous と同根の語幹であり、呪文の効果(恐怖を笑いに変える)と直結した命名になっている。

日本語版(松岡佑子訳)では、原作で詠唱が「Riddikulus!」のみであるところを、訳出時に「リディクラス、ばかばかしい!」のように呪文の音訳と意味の和訳を併記するスタイルで統一されている[2:5]

使用例

使用者 場面 効果・結果
ネビル・ロングボトム 第3巻 第7章 スネイプ姿のボガートを、祖母の服を着た姿に変えて退治[2:6]
パーバティ・パチル 第3巻 第7章 ミイラ姿のボガートを、包帯がほどけて頭が転がる姿に[2:7]
シェーマス・フィネガン 第3巻 第7章 バンシー姿のボガートの声をかすれさせる[2:8]
ディーン・トーマス 第3巻 第7章 切断された手の姿のボガートをネズミ捕りに挟む[2:9]
ロン・ウィーズリー 第3巻 第7章 巨大蜘蛛姿のボガートの脚を消失させる[2:10]
リーマス・ルーピン 第3巻 第7章 ハリーに変身しかけたボガートを引き受け、銀色の球体(満月の暗喩)に変える[2:11]
リーマス・ルーピン 第3巻 第12章 守護霊の呪文の予行演習中、吸魂鬼に変身したボガートを片付ける[4]
ハリー・ポッター 第4巻 第31章 三大魔法学校対抗試合の迷路内で吸魂鬼の姿を取ったボガートを退治[5]
モリー・ウィーズリー 第5巻 第9章 家族の死体に変身したボガートに繰り返し詠唱するが、効果を発揮できず[3:1]
リーマス・ルーピン 第5巻 第9章 モリーに代わってボガートを片付ける[3:2]
著名なボガート退治の歴史

J.K. ローリングは Pottermore 記事「まね妖怪」で、リディクラスによって退治された歴史的なボガート3例を挙げている[1:3]

  • カンタベリーのオールド・ボグル — 地元のマグルたちには洞窟にひとりで暮らす頭のおかしな人食い人だと思われていたが、実際には山びこを大いに活用することを覚えた、ごくごく小さなまね妖怪だった
  • オールド・ロンドン・タウンの殴り屋ボガート — 19世紀のロンドンの裏通りを徘徊していた殺人鬼の姿のまね妖怪で、簡単な呪文ひとつでハムスターに変えられた
  • ストラスタリーの絶叫ボギー— 地元のマグルたちの恐怖を餌にしていたスコットランドのまね妖怪で、ギラギラ光る白い目をした巨大な黒い影にまで成長したが、最後は魔法省のライアル・ルーピンによってマッチ箱に閉じ込められた

登場・言及箇所


  1. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「まね妖怪」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第7章「洋箪笥のまね妖怪」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第9章「ウィーズリーおばさんの嘆き」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第12章「守護霊」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第31章「第三の課題」 ↩︎