ヤギ

ヤギ (goat) は、魔法界でも飼われている動物です。物語のなかでは、たいていの毒の解毒剤となるベゾアール石の出どころとして、そしてアバーフォース・ダンブルドアをめぐる噂と逸話の題材として、繰り返し名前が出てきます。

基本情報

名前: ヤギ (goat)
ベゾアール石: ヤギの胃から取り出される、たいていの毒の解毒剤[1]
原作の表記: 「山羊」と「ヤギ」の両方が使われる

メモ 表記のゆれ

原作日本語版では、同じ動物が「山羊」と表記される箇所と「ヤギ」と表記される箇所があります。ベゾアール石の説明(『賢者の石』第8章・『謎のプリンス』第18章)や『死の秘宝』第28章のホッグズ・ヘッドの場面は「山羊」、『炎のゴブレット』第24章のダンブルドアの話と『不死鳥の騎士団』第16章の酒場の描写は「ヤギ」です。この記事の見出しには「ヤギ」を採り、引用は原作の表記のままにしています。

ベゾアール石の出どころ

ホグワーツでの最初の魔法薬学の授業で、セブルス・スネイプはハリー・ポッターにベゾアール石のありかを問い、答えられないと知ると自ら説明しました[1:1]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第8章「魔法薬の先生」

ベゾアール石は山羊の胃から取り出す石で、たいていの薬に対する解毒剤となる。

この一言は6年後に効いてきます。ゴルパロットの第三法則の課題で解毒剤に行き詰まったハリーは、教科書の走り書きをきっかけにスネイプの言葉を思い出し、材料棚からベゾアール石を持ってきて提出しました[2]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」

「ベゾアール石は山羊の胃から取り出す石で、たいていの毒薬に対する解毒剤となる」

同じ章の終わりに、ロン・ウィーズリーが毒入りの蜂蜜酒を飲んで倒れたとき、ハリーはこの石をロンの口に押し込んで命を救っています[2:1]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」

ハリーはロンのそばに飛んで戻り、顎をこじ開け、ベゾアール石を口に押し込んだ。

アバーフォース・ダンブルドアとヤギ

起訴の逸話

三大魔法学校対抗試合の代表選手が決まった夜、アルバス・ダンブルドアは、マグルの親戚に恥をかかされているというハリーの話を受けて、自分の弟のことを持ち出しました[3]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」

「よいところに気づいた」ダンブルドア校長が言った。「わしの兄弟のアバーフォースは、ヤギに不適切な呪文をかけた咎で起訴されての。あらゆる新聞に大きく出た。しかしアバーフォースが逃げ隠れしたかの? いや、しなかった。頭をしゃんと上げ、いつものとおり仕事をした! もっとも、字が読めるのかどうか定かではない。したがって、勇気があったということにはならんかもしれんがのう……」

この起訴が何をめぐるものだったのかを、原作は説明していません。

ホッグズ・ヘッドの匂い

アバーフォースが店主を務めるホグズミードの酒場「ホッグズ・ヘッド」は、ハリーたちが初めて訪れたとき、その匂いで描写されました[4]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第16章「ホッグズ・ヘッドで」

「ホッグズ・ヘッド」のバーは、小さくみすぼらしい、ひどく汚い部屋で、ヤギのようなきつい臭いがした。

噂と伝記

アルバス・ダンブルドアの死後、リータ・スキーターは弟についても筆を向けています[5]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第2章「追悼」

山羊と戯れるのがお好きな弟なんかよりはるかに悪質で、マグル傷害事件の父親よりもさらに質が悪いざんす

ダンブルドアにまつわる噂話のなかにも、この話は形を変えて現れます[6]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第10章「クリーチャー語る」

アバーフォースと同じに「山羊使い」の術を学んだとか……。

ゴドリックの谷に住んでいたイーニッド・スミークの証言も、スキーターの本に引かれました。マグルからの伝聞が本に引用され、それをハリーたちが読むという、二重の伝聞になっています[7]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第18章「アルバス・ダンブルドアの人生と嘘」

アバーフォースは私の頭にしょっちゅう山羊の糞を投げつけるような子でしたからね。

守護霊

ホグズミードに現れたハリーが吸魂鬼を追い払うために牡鹿の守護霊を出したとき、それを見咎めた死喰い人に対して、酒場の主は自分も守護霊の呪文を唱えてみせ、いまのは自分のものだと言い張りました[8]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

「牡鹿だと?」バーテンが吠え返した。「山羊だ、バカめ!」

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

「それだけの脳みそがあれば、フン、死喰い人になれるかもしれんな。たったいま、俺の守護霊は山羊だと証明してみせただろうが?」

ただし、このとき杖から飛び出したものを、地の文はヤギとは書いていません[8:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

杖から何か大きくて角のあるものが飛び出し、頭を低くしてハイストリート大通りに突っ込んで、姿が見えなくなった。

アバーフォースの守護霊が本当にヤギの姿をしているのか、牡鹿を隠すためのその場しのぎだったのかは、この場面からは決まりません。あとで彼自身が、同じ手はもう使えないと言っています[8:2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

牡鹿を山羊と言いくるめるのも、二度目はうまくいくとは思えん。

アリアナとの思い出

同じ夜、アバーフォースは妹のアリアナ・ダンブルドアについて語るなかで、ヤギの世話に触れました[8:3]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

状態が落ち着いているときは、俺が山羊に餌をやるのを手伝ってくれた

弟のお気に入りの物語

『吟遊詩人ビードルの物語』に付されたアルバス・ダンブルドアの注釈には、幼いころの兄弟の姿が書き留められています。アルバスが「三人兄弟の物語」をせがんだのに対し、アバーフォースが好んだのは別の話でした[9]

『吟遊詩人ビードルの物語』「三人兄弟の物語」(ダンブルドアの注釈)

弟のお気に入りは「汚れたヤギのブツブツ君」の物語であった。

魔法生物の餌として

『幻の動物とその生息地』は、いくつかのドラゴンの餌としてヤギを挙げています。ハンガリー・ホーンテイル種は「山羊、羊を餌とし、チャンスがあればヒトも食べる」とされ[10]、ペルー・バイパーツース種は「山羊と牛を好んで食す」とされます[11]

キメラの姿を説明する一節にも、ヤギが現れます[12]

『幻の動物とその生息地』キメラの項

キメラはライオンの頭、山羊の胴体、ドラゴンの尾を持つ希少なギリシャの怪物である。

巨人族の食べ物

ルビウス・ハグリッドは、巨人族の族長カーカスの暮らしぶりを語るなかで、ほかの巨人たちが運んでくる食べ物としてヤギを挙げました[13]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」

みんなが食いもんを持ってくるのを、ただ座って待っとった。死んだ山羊とか、そんなもんを。

アイルランドの箒競技

『クィディッチ今昔』は、クィディッチ以前からアイルランドで行われていた箒競技エインジンジェインを紹介しています。選手が持って飛ぶ「ドム」は、ヤギの体の一部でできていました[14]

『クィディッチ今昔』「古代の箒競技」の節

選手はそれぞれ「ドム」すなわちボール(実際は山羊の膀胱)を持ち、やぐらを組んで空中高くしつらえられた、何個もの燃える樽の中をすばやく飛び抜ける。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第8章「魔法薬の先生」 ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」 ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」 ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第16章「ホッグズ・ヘッドで」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第2章「追悼」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第10章「クリーチャー語る」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第18章「アルバス・ダンブルドアの人生と嘘」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  9. 『吟遊詩人ビードルの物語』「三人兄弟の物語」(ダンブルドアの注釈) ↩︎

  10. 『幻の動物とその生息地』ハンガリー・ホーンテイル種の項 ↩︎

  11. 『幻の動物とその生息地』ペルー・バイパーツース種の項 ↩︎

  12. 『幻の動物とその生息地』キメラの項 ↩︎

  13. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」 ↩︎

  14. 『クィディッチ今昔』「古代の箒競技」の節 ↩︎