ノーバート

ノーバート (Norbert) は、ルビウス・ハグリッドが1992年に孵したノルウェー・リッジバック種のドラゴンです。ハグリッドが村のパブで見知らぬ相手との賭けトランプに勝って手に入れた卵から孵り、ハリー・ポッターたちの手でルーマニアのチャーリー・ウィーズリーのもとへ送り出されました[1]。五年後、雌だったことが判明し、ノーベルタ (Norberta) と呼ばれるようになります[2]

基本情報

名前: ノーバート(Norbert)
別名: ノーベルタ(Norberta)
種: ドラゴン(ノルウェー・リッジバック種)
性別:
飼い主: ルビウス・ハグリッド
誕生: 1992年、ホグワーツのハグリッドの小屋

卵の入手

1992年の春、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人は、ホグワーツの図書館でハグリッドと出くわします。ハグリッドが立っていた書棚をロンが調べると、『イギリスとアイルランドのドラゴンの種類』『ドラゴンの飼い方――卵から焦熱地獄まで』が並んでいました[1:1]

その日のうちに小屋を訪ねると、暑い日にもかかわらずカーテンは閉め切られ、暖炉には炎が上がっていました。やかんの下には大きな黒い卵が置かれています[1:2]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

「賭けに勝ったんだ。昨日の晩、村まで行って、ちょっと酒を飲んで、知らないやつとトランプをしてな。はっきり言えば、そいつは厄介払いして喜んでおったな」

ハグリッドは図書館から借りた『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』を読み込んでおり、卵の見分け方の記述から、自分の卵をノルウェー・リッジバック種と見立てていました[1:3]。ドラゴンの飼育は一七〇九年のワーロック法で違法とされています[1:4]

孵化

ある朝、ハグリッドから「いよいよ孵るぞ」という一行だけの手紙が届きました。三人は午前中の休憩時間に小屋へ駆けつけます。卵はテーブルの上で深く亀裂が入り、中でコツン、コツンと音を立てていました[1:5]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

突然キーッと引っ掻くような音がして卵がパックリ割れ、赤ちゃんドラゴンがテーブルにポイと出てきた。かわいいとはとても言えない。シワくちゃの黒いこうもり傘のようだ、とハリーは思った。やせっぽちの真っ黒な胴体に不似合いな、巨大な骨っぽい翼、長い鼻に大きな鼻の穴、こぶのような角、オレンジ色の出目金だ。

くしゃみをすると鼻から火花が散りました。ハグリッドが手を伸ばして頭をなでようとすると、尖った牙を見せて指に噛みつき、ハグリッドは「こりゃすごい、ちゃんとママちゃんがわかるんじゃ!」と喜んでいます[1:6]

ハーマイオニーがノルウェー・リッジバック種の成長の早さを尋ねたところで、ハグリッドはカーテンの隙間から誰かが覗いていたことに気づきました。ハリーが戸口から外を見ると、学校のほうへ駆けていくドラコ・マルフォイの姿がありました[1:7]

一週間で体長は三倍になり、ハグリッドは世話に追われて森番の仕事も手につかなくなります。この時期に名前が付きました[1:8]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

「この子をノーバートと呼ぶことにしたんだ」

ドラゴンを見るハグリッドの目は潤んでいる。

「もう俺がはっきりわかるらしいよ。見ててごらん。ノーバートや、ノーバート! ママちゃんはどこ?」

ルーマニアへの移送

二週間もすれば小屋ほどの大きさになる、マルフォイがいつダンブルドアに言いつけるかわからない、とハリーは説きましたが、ハグリッドは手放すことを承知しません。そこでハリーは、ルーマニアでドラゴンを研究しているロンの兄チャーリー・ウィーズリーに預けることを思いつき、ハグリッドはチャーリーに頼むふくろう便を送ることに同意しました[1:9]

その週、ロンは小屋で餌やりを手伝ううちに手を噛まれます。翌朝には手が二倍に腫れ上がり、午後には傷口が緑色に変わって、牙に毒があったことがわかりました。医務室に運ばれたロンのもとへはマルフォイが現れ、何に噛まれたかをマダム・ポンフリーに言いつけると脅しています[1:10]

チャーリーの返事はヘドウィグが運んできました[1:11]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

手紙をありがとう。喜んでノルウェー・リッジバックを引き受けるよ。だけどここに連れてくるのはそう簡単ではない。来週、僕の友達が訪ねてくることになっているから、彼らに頼んでこっちに連れてきてもらうのが一番いいと思う。問題は彼らが法律違反のドラゴンを運んでいるところを、見られてはいけないということだ。

土曜日の真夜中、一番高い塔にリッジバックを連れてこられるかい? そしたら、彼らがそこで君たちと会って、暗いうちにドラゴンを運び出せる。

ハリーとハーマイオニーは透明マントを使うことにしました。ロンは、チャーリーの手紙をマルフォイに持ち去られた本に挟んだままだったことを思い出しますが、ふくろうを出し直す時間はなく、計画は変えられませんでした[1:12]

土曜の夜、ハグリッドはノーバートを大きな木箱に詰め、長旅のためのねずみとブランデー、それに寂しがらないようにとテディベアの縫いぐるみを入れていました。箱の中からは、その縫いぐるみが引き裂かれる音がしています[1:13]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

「ノーバート、バイバイだよ」

ハリーとハーマイオニーが透明マントを箱にかぶせ、自分たちもその下に隠れると、ハグリッドはしゃくり上げた。

「ママちゃんは決しておまえを忘れないよ」

二人は箱を透明マントの下に隠したまま城の中を運び上げ、一番高い塔へ向かいます。途中、マクゴナガル先生がマルフォイの耳をつかんで罰則と減点を言い渡している場に出くわしました。マルフォイは「ハリー・ポッターが来るんです……ドラゴンを連れてるんです!」と訴えましたが、取り合ってもらえていません[1:14]

塔の上で十分ほど待つと、四本の箒が闇の中から舞い降りてきました。チャーリーの友人たちは、箒のあいだにノーバートを吊るして運べるよう装具を用意しており、六人がかりでそれにつなぎ止めます[1:15]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」

ついにノーバートは出発した……だんだん遠くなる……遠くなる……遠くなる……見えなくなってしまった。

ただし二人は透明マントを塔のてっぺんに置き忘れ、階段を降りたところでフィルチに捕まりました[1:16]。マクゴナガル先生の研究室に連れていかれたハリーは、ノーバートのことと透明マントを忘れたことが重なり、荷物をまとめて帰る仕度をしたほうがよさそうだと考えています[3]。そこへ、二人に警告しようと探し回っていたネビル・ロングボトムまでが連れてこられました[3:1]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第15章「禁じられた森」

ハリーは激しく頭を振ってネビルを黙らせたが、マクゴナガル先生に見られてしまった。三人を見下ろす先生の鼻から、ノーバートより激しく火が吹き出しそうだ。

卵の出所

学年末、賢者の石をめぐる筋道を追っていたハリーは、卵の出所に思い当たります。魔法界の法律で禁じられているドラゴンの卵を持ち歩く人物が、ドラゴンを欲しがっていたハグリッドにたまたま出会う。話がうますぎる、と考えたのです[4]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」

「ううん。僕たち急いでるんだ。ハグリッド、聞きたいことがあるんだけど。ノーバートを賭けで手に入れた夜のことを覚えているかい。トランプをした相手って、どんな人だった?」

「わからんよ。マントを着たままだったしな」

ハグリッドによれば、相手はホッグズ・ヘッドでフードをかぶったままで、顔は見ていません。酒をおごられるうちに、森番としてどんな動物を飼っているかを尋ねられ、ずっとドラゴンが欲しかったと話し、卵を賭けたトランプに応じたといいます。そのとき、フラッフィーは音楽を聞かせればすぐ眠ってしまうことも教えていました[4:1]。ハリーはこの人物をスネイプヴォルデモートだと考え、ダンブルドアのもとへ向かいます[4:2]。相手が誰だったのかは語られていません。

別れのあと

1994年、吸魂鬼のショックから回復する薬を飲まされたハグリッドは、アズカバンで浮かんだ辛い記憶を三人に語りました[5]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第11章「炎の雷」

「あんなとこは行ったことがねえ。気が狂うかと思ったぞ。ひどい想い出ばっかしが思い浮かぶんだ……ホグワーツを退校になった日……親父が死んだ日……ノーバートが行っちまった日……」

同じ年、尻尾爆発スクリュートの授業でハーマイオニーが「かわいくないからって役に立たないとはかぎらないわ」と反論したとき、ハリーとロンはハグリッドを見て笑いました。ハグリッドが本当に飼いたいペットはドラゴンだと、三人ともよく知っていたからです[6]。その秋、馬車から出てきたマダム・マクシームに話しかけるハグリッドの、うっとりと目の潤んだ表情を見て、ハリーは同じ顔を一度だけ見たことがあると思い出します。赤ちゃんドラゴンのノーバートを見るときの顔でした[7]

1996年6月、異父弟のグロウプに英語を教えてほしいとハグリッドに頼まれたハリーは、ハーマイオニーに「なんだか、ノーバートが戻ってきてくれたらいいのにっていう気になるね?」と言いました[8]。この約束は破るべきだと主張したロンは、「ノーバートを憶えてるか? アラゴグは? ハグリッドの仲良し怪物とつき合って、よかった例があるか?」と並べています[9]

ノーベルタ

1997年7月、ハリーの十七歳の誕生日を祝う夕食の席にチャーリーが来ており、ハグリッドが近況を尋ねました[2:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」

「手紙を書こう書こうと思っちょったんだが。ノーバートはどうしちょる?」

「ノーバート?」チャーリーが笑った。「ノルウェー・リッジバックの? いまはノーベルタって呼んでる」

「何だって――ノーバートは女の子か?」

「ああ、そうだ」チャーリーが言った。

「どうしてわかるの?」ハーマイオニーが聞いた。

「ずっと獰猛だ」チャーリーが答えた。

チャーリーのもとでの暮らしについて、これ以上のことは語られていません。

翌1998年5月、禁じられた森へ向かうハリーは、明かりの消えたハグリッドの小屋のそばを通りながら、そこで過ごした日々を思い返しています[10]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第34章「再び森へ」

何度もハグリッドを訪ねたっけ。暖炉の火に輝く銅のヤカン、固いロックケーキ、巨大な蛆虫、そしてハグリッドの大きなひげもじゃの顔。ロンがナメクジを吐いたり、ハーマイオニーがハグリッドのドラゴン、ノーバートを助ける手伝いをしたり……。

成長と性質

孵化してから一週間で体長は三倍になり、鼻の穴からは絶えず煙が出ていました[1:17]。餌は、ハグリッドが本の指示どおりに与えたブランデーと鶏の血を混ぜたものから始まり、まもなく死んだねずみを木箱に何杯も食べるようになります[1:18]。牙には毒があり、ハグリッド自身も指や脚やブーツを噛まれています。尾を壁に叩きつけて窓を揺らすこともありました[1:19]

ノルウェー・リッジバック種

ノーバートの種であるノルウェー・リッジバックは、『幻の動物とその生息地』では次のように解説されています[11]

『幻の動物とその生息地』「ノルウェー・リッジバック種」の項

ノルウェー・リッジバック種は多くの点でホーンテイル種に似ているが、尾のとげの代わりに、背中にそって、非常に目立つ漆黒の隆起部がある。同種のドラゴンに対して、桁外れに攻撃的であり、今では、リッジバック種は最も希少なドラゴン種になっている。陸上に棲むほとんどすべての大型哺乳類を襲うことで知られるが、ドラゴンには珍しく、水中に生息する生物をも食する。未確認情報だが、1802年、リッジバックがノルウェー沖で子鯨をさらったといわれている。卵は黒く、ほかのドラゴンより早く、火を吐く能力が発達する(生後1〜3か月ころ)。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第14章「ノルウェー・ドラゴンのノーバート」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」 ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第15章「禁じられた森」 ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第11章「炎の雷」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第13章「マッド‐アイ・ムーディ」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第16章「炎のゴブレット」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第30章「グロウプ」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第34章「再び森へ」 ↩︎

  11. 『幻の動物とその生息地』「ノルウェー・リッジバック種」の項 ↩︎