忍びの地図

忍びの地図 (Marauder's Map) は、ホグワーツ城と敷地の全域、そこにいる全員の現在位置、そして秘密の抜け道までを映し出す魔法の羊皮紙です。リーマス・ルーピンら4人の生徒が在学中に作りました。ふだんは何も書かれていない古びた羊皮紙にしか見えず、合言葉によって地図が浮かび上がります。

基本情報

名称: 忍びの地図 (Marauder's Map)
製作者: ムーニー(リーマス・ルーピン)、ワームテール(ピーター・ペティグリュー)、パッドフット(シリウス・ブラック)、プロングズ(ジェームズ・ポッター)の4人
製作時期: 4人のホグワーツ在学中
機能: 城と敷地の地図、全員の現在位置の追跡、秘密の抜け道の表示
合言葉: 「われ、ここに誓う。われ、よからぬことを企む者なり」/解除は「いたずら完了!」

概要

忍びの地図は、一見するとただの巨大で使い古された羊皮紙です。杖で触れて「われ、ここに誓う。われ、よからぬことを企む者なり」と唱えると、インクの線が広がってホグワーツ城と敷地の詳細な地図が現れます[1]

ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ
われら魔法いたずら仕掛人のご用達商人がお届けする自慢の品
忍びの地図[1:1]

地図には城内にいる全員が、名前付きの小さなインクの点として表示され、点は実際の動きに合わせて移動します。管理人フィルチも把握していない七本の秘密の抜け道を含む通路も記されています[1:2]。使い終えたら再び触れて「いたずら完了!」と唱えると、地図は消えて元の白紙に戻ります[1:3]

表示するものと限界

忍びの地図の際立った特徴は、その正確さにあります。透明マントを着ていても点は地図上に表示され、ポリジュース薬などで変装していても、点は変装後ではなく本来の氏名で表示されます[2][3]。ルーピンはこの性質を「忍びの地図はけっして嘘をつかない」と表現しました。

「私自身もそう信じていた——今夜地図を見るまではね。『忍びの地図』はけっして嘘はつかないから……ピーターは生きている。ロンがあいつを握っているんだよ、ハリー」[4]

一方で限界もあります。地図はホグワーツの校地の境界までしか表示できず、校地の外は映りません[5]。また「必要の部屋」は地図に一度も現れたことがなく、ハーマイオニーはこれを、必要とあらば場所を隠せるという部屋の魔法の一部だろうと推測しました[6]

製作

製作者の4人は、ムーニー(リーマス・ルーピン)、ワームテール(ピーター・ペティグリュー)、パッドフット(シリウス・ブラック)、プロングズ(ジェームズ・ポッター)です。J.K.ローリングによれば、彼らが夜な夜な城を探検したのは、ただの悪戯心からではなく、狼人間である親友ルーピンの毎月の変身に付き添うためでした。ジェームズ・シリウス・ピーターの3人は無登録の動物もどき(アニメーガス)となり、ジェームズの透明マントの助けも借りて、時間をかけて城の内部を地図に描き上げていったのです[7]

製作に使われた魔法は高度なもので、持ち主が城内の全員の動きを追える「ホムンクルスの術」が含まれます。さらに、宿敵セブルス・スネイプの詮索を、できる限り無礼に永久に撃退する魔法もかけられています[7:1]。第3巻では、呪文で無理に地図の正体を暴こうとしたスネイプに対し、製作者たちを名乗る侮辱のメッセージが次々と浮かび上がりました。

「私、ミスター・ムーニーからスネイプ教授にご挨拶申し上げる。他人事に対する異常なお節介はお控えくださるよう、切にお願いいたす次第」

「私、ミスター・プロングズもミスター・ムーニーに同意し、さらに、申し上げる。スネイプ教授はろくでもない、いやなやつだ」

「私、ミスター・パッドフットは、かくも愚かしき者が教授になれたことに、驚きの意を記すものである」

「私、ミスター・ワームテールがスネイプ教授にお別れを申し上げ、その薄汚いどろどろ頭を洗うようご忠告申し上げる」[8]

物語での役割

忍びの地図は物語の各所で鍵となります。第3巻では、フレッドとジョージのウィーズリー兄弟が、一年生のときにフィルチの没収品の引き出しから盗み出した地図をハリーに譲りました[1:4]。のちにこの地図が、ロンのペット「スキャバーズ」の正体がピーター・ペティグリューであることをルーピンに確信させ、シリウス・ブラックの冤罪を晴らす決め手の一つとなります[4:1]

第4巻では、「ムーディ」に変装していたバーティ・クラウチ・ジュニアが地図を借りて持ち去り、地図に映った父バーティ・クラウチ・シニアの動きを監視する道具として使いました[3:1]。第6巻では、ハリーがドラコ・マルフォイの不審な行動を追うために地図を使い続けますが、マルフォイがしばしば地図から消えることに気づき、その消失先が「必要の部屋」だと突き止めます[9][6:1]。第7巻でも、ルーピンは自らを「忍びの地図の製作者の一人」と名乗って本人確認をしています[10]

伝来

地図は、4人の製作者が在学中に作ったのち、いつしか管理人フィルチに没収されました。その引き出しから地図を盗み出したフレッドとジョージが、これをハリーへと受け継ぎ、ハリーの手で第3巻から第7巻まで使われ続けました[7:2]

名前の由来

英語名 Marauder は「略奪者」「うろつく者」を意味し、夜のホグワーツを徘徊した4人の製作者たちの自称に由来します。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第10章「忍びの地図」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第17章「猫、ネズミ、犬」 ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第25章「玉子と目玉」 ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第18章「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ」 ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第29章「夢」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第21章「不可知の部屋」 ↩︎ ↩︎

  7. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「忍びの地図」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第14章「スネイプの恨み」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第11章「賄賂」 ↩︎