マルシベール (Mulciber) は、セブルス・スネイプのホグワーツ在学中の友人で、のちに死喰い人となった魔法使いです。服従の呪文の使い手として知られ、第一次魔法戦争・第二次魔法戦争の双方で死喰い人として活動しました。本人が姿を見せたり台詞を発したりする場面は原作に一度もなく、いずれも他の人物の証言や記憶の中で名前が挙がるのみです。

人物情報

名前: マルシベール(Mulciber)※ファーストネームは原作に記載がありません
性別: 男性
種: 人間・魔法族

魔法特性

その他の能力: 服従の呪文(Imperius Curse)を得意とした[1]

所属

出身校: ホグワーツ魔法魔術学校
団体: 死喰い人

同名の人物について

この記事の「マルシベール」は、『炎のゴブレット』『不死鳥の騎士団』『死の秘宝』に登場するマルシベールを指します。3箇所に共通するのは「スネイプやリリーと同世代の死喰い人」という点であり、これらが同一人物であることを原作が明示しているわけではありません。

また、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」には、ヴォルデモート卿自身とほぼ同時代(1970年前後と推定される)の死喰い人としても「マルシベール」の名が登場します。この人物はスネイプの学友であるこのマルシベールより一世代上と考えられ、本記事では別人として扱い、事実として含めていません。

来歴

ホグワーツ時代

マルシベールは、セブルス・スネイプのホグワーツ在学中の友人でした。ハリーがペンシーブで見たスネイプの記憶(HP7-33)には、スネイプの友人としてエイブリーとともに登場しますが、本人の台詞や描写はなく、リリー・エバンズがスネイプに彼らへの不満を訴える会話の中で名前が挙がるだけです。[2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章「プリンスの物語」

「そうよ、セブ。でも、あなたが付き合っている人たちの、何人かが大嫌いなの! 悪いけど、エイブリーとかマルシベール。マルシベール! セブ、あの人のどこがいいの? あの人、ぞっとするわ! この間、あの人がメリー・マクドナルドに何をしようとしたか、あなた知ってる?」

リリーは、マルシベールとエイブリーの「冗談」を「邪悪」と断じ、スネイプがなぜ二人と友人でいられるのか理解できないと言い切っています。[2:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章「プリンスの物語」

「あなたに言われるまでもないわ。でも、マルシベールとかエイブリーが冗談のつもりでしていることは、邪悪そのものだわ。セブ、邪悪なことなのよ。あなたが、どうしてあんな人たちと友達になれるのか、わたしにはわからない」

このやり取りで示唆される「メリー・マクドナルドに何かをしようとした」出来事の詳細は、原作では語られていません。

第一次魔法戦争

マルシベールは死喰い人となり、服従の呪文を得意として、数え切れない人間に恐ろしいことを行わせました。この経歴は、イゴール・カルカロフが自分の減刑と引き換えに他の死喰い人の名を売った裁判の場で語られています。ハリーはこの裁判の様子を、ダンブルドアのペンシーブに保管された記憶として見ています。[1:1]

ヴォルデモート卿が最初に姿を消した直後にあたるこの裁判の時点で、マルシベールはトラバースとともに、すでに魔法省に捕らえられていました。[1:2]

第二次魔法戦争

1996年、ルシウス・マルフォイに率いられた死喰い人の一団が、予言を奪うために魔法省の神秘部に侵入した際、マルシベールもその一員でした。予言の間からハリーたちが逃げたあと、ルシウスは死喰い人たちに追跡の指示を出し、マルシベールを名指しで自分に同行させています。[3]

性格・人物像

原作でマルシベール自身の言動が描かれる場面はなく、性格を直接示す描写はありません。リリー・エバンズは彼を「ぞっとする」人物と評し、彼とエイブリーの「冗談」を「邪悪」と断じています。[2:2] カルカロフの証言によれば、服従の呪文を用いて多くの人間に恐ろしい行為を強制していました。[1:3]

人間関係

セブルス・スネイプ

ホグワーツ在学中、マルシベールはエイブリーとともにスネイプの友人でした。二人の関係の具体的な内容は原作に描かれていませんが、リリーがスネイプに友人関係を断つよう求める場面(HP7-33)から、スネイプが在学中から闇の魔術に親しむ生徒たちと交友していたことがうかがえます。[2:3]

リリー・エバンズ

リリー・エバンズはマルシベールを毛嫌いしており、スネイプに対して「ぞっとする」人物だと評しました。メリー・マクドナルドという生徒に何かをしようとしたことを引き合いに出し、彼とエイブリーの「冗談」を「邪悪」だと断じています。[2:4]

J.K.ローリングのコメント

2007年7月30日のブルームズベリー社のライブチャットで、読者から「リリーがマルシベールとエイブリーを毛嫌いしていたのなら、リリーを想うスネイプがなぜ二人との付き合いを断たなかったのか」という趣旨の質問を受け、J.K. ローリングはスネイプの心理を説明しました[4]。このライブチャットに公式の日本語訳はないため、以下は原文を示したうえで訳を添えています。

J.K. ローリングのライブチャット(2007年7月30日)

He wanted Lily and he wanted Mulciber too. He never really understood Lily's aversion; he was so blinded by his attraction to the dark side he thought she would find him impressive if he became a real Death Eater.

(スネイプはリリーも、マルシベールも欲しがっていたのです。リリーの拒絶反応を彼は本当の意味では理解しておらず、闇の陣営への憧れに目がくらんで、自分が本物の死喰い人になればリリーも自分を魅力的に思うはずだと考えていました)

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第30章「ペンシーブ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章「プリンスの物語」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第35章「ベールの彼方に」 ↩︎

  4. J.K. ローリングのライブチャット(2007年7月30日) ↩︎