狼人間

狼人間 (Werewolf) は、ほとんどの時間を人間として過ごしながら、月に一度、満月の夜に狼の姿へと変身する魔法生物です。変身中は人間としての良心を失い、他のどんな獲物よりも人間を襲おうとします。人間が狼人間になるのは、狼の姿の狼人間に噛まれた場合に限られ、既知の治療法はありません[1]

基本情報

名称: 狼人間 (Werewolf)
別名: 狼男、人狼
分類: 魔法生物(魔法省の区分では存在課と動物課の間で揺れ動いてきた)
原産地: 北ヨーロッパと考えられている
感染経路: 満月の夜、狼の姿の狼人間に噛まれること
関連する人物: リーマス・ルーピンフェンリール・グレイバック

概要

狼人間は世界中に分布しますが、原産は北ヨーロッパと考えられています。普段は魔法使いともマグルとも変わらない人間として暮らし、満月でないときは他の人間と同じように無害です[1:1]

狼人間は、ほとんどの時間をヒト(魔法使いまたはマグル)として過ごす。しかし一か月に一度、ヒトとしての良心を持たず、殺意に満ちた、残忍な四足獣に変身する。[1:2]

同書は、幻の動物の中でほぼ唯一、狼人間だけが他のどんな獲物よりも人間を積極的に狙う存在だと記しています[1:3]

感染と治療

人間が狼人間になるのは、満月の夜に狼の姿の狼人間に噛まれ、その唾液が被害者の血液と混じり合ったときだけです[2]。既知の治療法はありません[1:4][3]。ただし20世紀後半以降、狼に変身する症状を緩和する魔法薬がいくつか開発され、中でもトリカブト系の脱狼薬が最も効果的とされます[2:1]

満月でないときに、あるいは人間の姿の狼人間に噛まれた場合は、真の狼人間になることはありません。しかしその傷は「呪われた傷」として完全には癒えず、噛まれた者に生肉を好むなどの軽い狼じみた特徴が残ることがあります[3:1]。銀の弾丸で狼人間を殺すことはできませんが、噛まれたばかりの傷に銀粉とハナハッカのエキスを混ぜて塗ると、傷口がふさがって出血死を防げます[2:2]

変身と姿

毎月の変身は、手当てをしなければ極めて苦痛を伴い、その前後数日は青白い顔色と体調不良に悩まされます。狼の姿の間、狼人間は人間としての善悪の感覚を完全に失います[2:3]

動物の姿の狼人間は本物の狼とほとんど見分けがつきませんが、鼻づらがやや短く、瞳孔が小さく、尾が房状である点が異なります。最大の違いは行動にあり、本物の狼が人間を襲うことは稀なのに対し、狼人間はほぼ人間だけを狙います[2:4]。この識別法はホグワーツの闇の魔術に対する防衛術でも教えられ、スネイプは本物の狼との見分け方と退治法をレポートに課しました[4]。O.W.L.試験でも「狼人間を見分ける五つの兆候を挙げよ」という問題が出され、鼻づらの形・瞳孔・房状の尾がその答えとされています[5]

繁殖

狼人間は通常、狼人間ではない人間を襲って仲間を増やします。狼人間であることを恥とする風潮が根強いため、結婚して子をもうける者は極めて少なく、人間の配偶者との間に生まれた子に、狼に変身する体質が受け継がれた例は確認されていません[2:5]。満月の夜に狼人間同士が交わった例は二度しか知られておらず、その場合に生まれるのは、異常に高い知能を除けば本物の狼と変わらない子狼です。かつてこうした子狼の群れが、ダンブルドアの許可のもと極秘に禁じられた森へ放たれました[2:6]

魔法省の分類と差別

狼人間は、魔法生物規制管理部の中で長年「動物(Beast)」と「存在(Being)」の区分の間をたらい回しにされてきました。『幻の動物とその生息地』の新版が書かれた時点では、存在課に狼人間援助室が、動物課に狼人間登録室と狼人間捕獲部隊が置かれています[6]。この分類はあくまで変身した状態を指すもので、満月でないときの狼人間は無害です[1:5]

狼人間は魔法界で根深い差別の対象でもあります。ハーマイオニーは、巨人や屋敷しもべ妖精への差別を狼人間の隔離と並べ、いずれも魔法使いが他の生物より優れているという思い込みに根差した偏見だと語りました[7][8]アンブリッジが起草した反狼人間法により、狼人間であるリーマス・ルーピンは職を得ることがほぼ不可能になります[9]。ヴォルデモートが勢力を取り戻すと、フェンリール・グレイバックを筆頭に狼人間の大半がヴォルデモート側につき、魔法省はいっそう狼人間に敵対的になっていきました[10][11]

登場・言及箇所

脚注


  1. 『幻の動物とその生息地』「狼人間」の項 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「狼人間」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第29章「不死鳥の嘆き」 ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第9章「恐怖の敗北」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第28章「スネイプの最悪の記憶」 ↩︎

  6. 『幻の動物とその生息地』(新版)まえがき ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第9章「ウィーズリーおばさんの嘆き」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第14章「パーシーとパッドフット」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第16章「冷え冷えとしたクリスマス」 ↩︎

  11. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第8章「結婚式」 ↩︎