ゼノフィリウス・ラブグッド
ゼノフィリウス・ラブグッド (Xenophilius Lovegood) は、雑誌『ザ・クィブラー』の編集長です[1]。ルーナ・ラブグッドの父にあたります[2]。死の秘宝の伝説を信じ、その内容をハリー・ポッターたちに説きました[3]。娘を人質に取られたとき、娘を取り戻すためにハリーを死喰い人に売っています[3:1]。
- パンドラ・ラブグッド(妻)[7]
- ルーナ・ラブグッド(娘)[2:1]
『ザ・クィブラー』の編集長
ゼノフィリウスが最初に話題にのぼるのは、娘の口からです。ホグワーツ特急のコンパートメントでハーマイオニーが『ザ・クィブラー』を「くだらない」と言ったとき、ルーナはそれまでの夢見るような声を消して口を挟みました[1:1]。
「あら」ルーナの声が急に夢見心地でなくなった。「あたしのパパが編集してるんだけど」
この雑誌は、しわしわ角スノーカックのような未確認の生き物を追いかける記事で知られていました[1:2]。ハリーがヴォルデモートの復活を語ったインタビューを載せたのも『ザ・クィブラー』です[8]。
第二次魔法戦争でヴォルデモートが魔法省を掌握すると、この雑誌の性格は変わります。逃亡中のテッド・トンクスは、川辺の焚き火でその変化をこう語りました[4:1]。
「近ごろはそう能天気でもない」テッドが言った。「試しに読んでみるといい。ゼノは『予言者』が無視している事柄をすべて活字にしている。最新号では『しわしわ角スノーカック』に一言も触れていない。
『日刊予言者新聞』が伝えない事柄をすべて載せ、毎号の巻頭で、ヴォルデモートに反対する魔法使いはハリーを助けることを最優先にすべきだと書いていました[4:2]。テッドはそのうえで、「このままだと、いったいいつまで無事でいられるか」と続けています[4:3]。
妻の死
妻の名はパンドラです。自分でかけた実験中の魔法が失敗して亡くなりました。J.K.ローリングがポッターモアの記事で明かしています[7:1]。
ルーナ・ラブグッドの母親のパンドラが、実験の最中にかけた魔法で失敗して死んでしまったり
この記事は、魔法界では「一般的な」原因による傷は治せても「魔法的な」原因による傷は治せない、という決めごとを説明したものです。ロックハートの記憶喪失、ロングボトム夫妻の障害、マッド‐アイ・ムーディの義足と魔法の目と並べて、パンドラの死が挙げられています[7:2]。
ルーナが母を亡くしたのは9歳のときでした。ハリーに話したとき、母は「とってもすごい魔女」だったけれど実験好きで、あるとき自分の呪文でひどく失敗したのだ、と説明しています[9]。その話をルーナはこう締めくくりました[9:1]。
「うん。かなり厳しかったなぁ」ルーナは何気ない口調で言った。「いまでもときどき、とっても悲しくなるよ。でも、あたしにはパパがいる。それに、二度とママに会えないっていうわけじゃないもン。ね?」
ビルとフラーの結婚式
ゼノフィリウス本人が姿を見せるのは、ビルとフラーの結婚式です。マグルに変装したハリーに、彼は自分から名乗りました[2:2]。
「ゼノフィリウス・ラブグッドです」男はハリーに手を差し出した。「娘と二人であの丘の向こうに住んでいます。ウィーズリーご夫妻が、ご親切にも私たちを招いてくださいました。君は、娘のルーナを知っていますね?」
このときの服装は目立ちました。ミュリエルおばさんは「まるでオムレツみたいじゃないか」と評しています[2:3]。娘が庭小人に噛まれた指を差し出すと、彼はそれをつかんで血の出た傷を調べ、「庭小人の唾液はとても有益なんだ!」と喜びました[2:4]。庭小人を学名の「ゲルヌンブリ・ガーデンシ」で呼び、その魔法についてたくさん研究しているのだとルーナは言います[2:5]。
胸には三角形のしるしを下げていました。ビクトール・クラムはそれを見て激怒します。祖父をグリンデルバルドに殺されたクラムには、それがグリンデルバルドの印に見えたのです[2:6]。ハリーは、ルーナの父が闇の魔術の支持者だとは思えず、しるしの意味を知らないのではないかと考えました[2:7]。
丘の上の家
数か月後、ハリーたちはそのしるしの意味を尋ねるためにラブグッド家を訪ねます。丘の上に建つ黒い円筒形の塔で、円形のキッチンには花や虫や鳥の絵が描かれ、上の階では印刷機が休みなく音を立てていました[10]。
出てきたゼノフィリウスは、結婚式のときとはまるで様子が違いました[10:1]。
ものの十秒も経たないうちに、扉がパッと開き、そこにゼノフィリウス・ラブグッドが立っていた。裸足で、汚れたシャツ型の寝巻きのようなものを着ている。綿菓子のような長くて白い髪は、汚れてくしゃくしゃだ。ビルとフラーの結婚式のゼノフィリウスは、これに比べれば確実にめかし込んでいた。
いったんは「そうするべきではない」と口ごもりながらも、三人を家に入れます[10:2]。部屋にはしわしわ角スノーカックの角と称するものが飾ってありました。ハーマイオニーは『幻の動物とその生息地』の記述からそれがエルンペントの角だと見抜き、爆発の危険があると警告しましたが、ゼノフィリウスは聞き入れませんでした[10:3]。
部屋にはロウェナ・レイブンクローの大理石の胸像もありました。失われた髪飾りを自分で作って被せたもので、ハリーはのちにホグワーツで本物を探すとき、この像を思い出すことになります[10:4][11]。
死の秘宝を説く
しるしの意味を問われたゼノフィリウスは、『吟遊詩人ビードルの物語』の「三人兄弟の物語」を読み聞かせ、そこから死の秘宝の説明を始めました[3:2]。しるしは三つの品を組み合わせた図で、縦線がニワトコの杖、円が蘇りの石、三角形が透明マントを表します[3:3]。三つすべてを手にした者が「死を制する者」になる、というのが伝説です[3:4]。
ニワトコの杖については、真の持ち主になるには前の持ち主から奪わねばならないと説き、悪人エメリックからロクシアスまでの歴代の持ち主を数え上げました[3:5]。
『極悪人エグバート』が『悪人エメリック』を虐殺して杖を手に入れた話は、もちろん聞いたことがあるだろうね? ゴデロットが、息子のヘレワードに杖を奪われて、自宅の地下室で死んだ話も? あの恐ろしいロクシアスが、バーナバス・デベリルを殺して、杖を手に入れたことも?
ハーマイオニーは、存在しないことを証明できないから存在するという論法はおかしいと反論しましたが、ゼノフィリウスは「君の心が少し開いてきたようで、喜ばしい」と受け流します[3:6]。彼女がペベレル家の名を出すと、態度が変わりました。秘宝の探求者の多くはペベレル家こそすべてを握っていると考えている、物語の三兄弟は実在したアンティオク・カドマス・イグノタスの三兄弟だ、と語ります[3:7]。
ハリーが手にした透明マントが「本物」であることは、このときの説明ではじめて意味を持ちました。ゼノフィリウスによれば、市販のマントは呪文が古くなれば効かなくなり、破られれば穴が開きますが、秘宝のマントは永久に隠しつづけます[3:8]。
娘と引き換えに
説明のあいだ、ゼノフィリウスは何度も窓の外を気にし、階下との間を行き来していました[10:5][3:9]。ハリーが娘の居場所を尋ねたとき、その理由が明らかになります[3:10]。
「私のルーナが連れ去られた」ゼノフィリウスが囁くように言った。「私が書いていた記事のせいで。あいつらは私のルーナを連れていった。どこにいるのか、連中がルーナに何をしたのか、私にはわからない。しかし、私のルーナを返してもらうのには、もしかしたら――もしかしたら――」
彼は死喰い人を呼んでいました。到着したセルウィンの言葉から、これが初めてではなかったことも分かります。以前は自作の髪飾りと娘の交換を持ちかけ、その前の週にはしわしわ角スノーカックの実在の証拠を提供すると言っていたのです[3:11]。
三人は「透明マント」で姿を隠して脱出しました。逃げる前にハリーの姿を死喰い人にわざと見せたのは、ゼノフィリウスが嘘をついたと思われないようにするためだ、とハーマイオニーは説明しています[6:1]。その場でゼノフィリウスの放った呪文がエルンペントの角を爆発させ、家は半壊しました[3:12]。
その後
ルーナは、クリスマス休暇でホグワーツから帰る汽車から連れ去られていました。ネビル・ロングボトムは、それが父の言動のせいだと説明しています[5:1]。
「本当に危ないのは、学校の外で友達とか家族が問題を起こしている生徒たちなんだ。そういう子たちは、人質に取られている。あのゼノ・ラブグッドは『ザ・クィブラー』でちょっとずばずば言いすぎたから、クリスマス休暇で帰る途中の汽車で、ルーナが引っ張っていかれた」
ゼノフィリウス自身もほどなく投獄されます。ハリーたちがそれを知ったのは、ポッターウオッチの放送でした[6:2]。
「そうですね、この番組をいつもお聞きの方にはもうおわかりのことでしょうが、ハリー・ポッターをもっとも大胆に支持してきた人々が数人、投獄されました。たとえばゼノフィリウス・ラブグッド、かつての『ザ・クィブラー』編集長などですが――」
リーマス・ルーピンがそう伝えたきり、ゼノフィリウスの消息は語られません。ルーナはマルフォイの館の地下室に囚われ、のちに救い出されてホグワーツの戦いに加わりますが、父がどうなったのかは最後まで書かれていません[6:3]。
ハーマイオニーは、脱出したあとで彼を責めきれずにいました[6:4]。
「ゼノフィリウスがかわいそうだわ。もし――」
同じ章でハリーは、彼の話した秘宝のことを繰り返し思い返しています。透明マントを指で滑らせながら、これはゼノフィリウスが説明したとおりの品だと考えました[6:5]。
名前
「ゼノフィリウス」という名について、J.K.ローリングはポッターモアの記事で、子どもの個性や運命をあらわす名前の例として挙げています[12]。
魔法使いの両親が子どもたちに付ける名前はさまざまです。まるでマグルかと思われるような名前(たとえば、ジェームズやハリー、ロナルドなど)を付ける両親もいれば、子どもの個性や運命をあらわす独特な名前(たとえば、ゼノフィリウスやリーマス、アレクトなど)を付ける両親もいます。
この記事は名前の意味そのものを説明したものではなく、魔法界には子どもの名前を予見者に相談する習わしがある、という話が主題です[12:1]。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第6章「移動キー」(「ラブグッド一家」として言及)
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第10章「ルーナ・ラブグッド」(ルーナの言及)
- 第25章「追い詰められたコガネムシ」(ルーナの言及)
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第8章「結婚式」
- 第15章「小鬼の復讐」(テッド・トンクスの言及)
- 第20章「ゼノフィリウス・ラブグッド」
- 第21章「三人兄弟の物語」
- 第22章「死の秘宝」
- 第25章「貝殻の家」(回想)
- 第26章「グリンゴッツ」(回想)
- 第29章「失われた髪飾り」(ネビルの言及)
- 第31章「ホグワーツの戦い」(回想)
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「病気と障害」
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「命名予見者」