尻尾爆発スクリュート
尻尾爆発スクリュート (Blast-Ended Skrewt) は、マンティコアと火蟹を掛け合わせた危険な交配種です[1]。ルビウス・ハグリッドが飼育し、名前も自ら付けました[1:1]。尾の先から火花や火を噴射して進むのが特徴で、ホグワーツの魔法生物飼育学の授業で一学年をかけて飼われました[2]。
姿と成長
ハグリッドが授業に持ち込んだ孵化直後のスクリュートを、ハリーはこう見ています[2:3]。
「ギャーッ」の一言が、尻尾爆発スクリュートのすべてを表している、とハリーは思った。殻をむかれた奇形の伊勢エビのような姿で、ひどく青白いヌメヌメした胴体からは、勝手気ままな場所に脚が突き出し、頭らしい頭が見えない。一箱におよそ百匹ほどいる。体長約十五、六センチで、重なり合って這い回り、やみくもに箱の内側にぶつかっていた。腐った魚のような強烈な臭いを発する。ときどき尻尾らしいところから火花が飛び、パンと小さな音を立てて、そのたびに十センチほど前進している。
成長は速く、体長が一メートルを超えるころには姿がまったく変わります。殻なし色なしの体は分厚い灰色の鎧のようなものに覆われ、巨大なサソリと引き伸ばしたカニを掛け合わせたような姿になりますが、頭も目も相変わらず見分けがつきません。力は強く、生徒の手には負えなくなります[4:1]。さらに二メートル近くまで育つと、灰色の分厚い甲殻、速く動く強力な脚、火を噴射する尾、棘と吸盤がそろいます[5]。三大魔法学校対抗試合の第三の課題で迷路に置かれた個体は、体長三メートルに達していました[3:1]。
雌雄の見分け方について、ハグリッドは次のように話しています。ただしこれはハグリッド自身の見立てで、以降の巻で確かめられてはいません[2:4]。
「ああ。針を持ったやつもいる」ハグリッドの言葉に熱がこもった(ラベンダーはさっと箱から手を引っ込めた)。「たぶん、雄だな……雌は腹ンとこに吸盤のようなものがある……血を吸うためじゃねえかと思う」
出自と規制
スクリュートの正体が公になったのは、リータ・スキーターが『日刊予言者新聞』に書いた記事によってです。魔法生物の新種を生み出すことは魔法生物規制管理部の監視下にある行為で、ハグリッドはその許可を得ていませんでした[1:4]。
しかし、ハグリッドは威嚇作戦の手を緩める気はさらさらない。先月、「日刊予言者新聞」の記者の取材に答えて、ハグリッドは、「尻尾爆発スクリュート」と自ら命名した、マンティコアと火蟹とをかけ合わせた危険極まりない生物を飼育していると認めた。魔法生物の新種を創り出すことは、周知のとおり「魔法生物規制管理部」が常日頃厳しく監視している行為だ。どうやらハグリッドは、そんな些細な規制など自分にはかかわりなしと考えているらしい。
リータがこの名前を聞き出したのは、スクリュートが逃げ出して大騒ぎになっていた現場でした。ハグリッドは不機嫌なまま名前を答えています[5:1]。
ホグワーツでの飼育
ハグリッドは孵化したばかりのスクリュートを木箱ごと授業に持ち込み、生徒に餌を試させました。何を食べるのかはハグリッド自身も知らず、そもそも口があるようにも見えませんでした[2:5]。ドラコ・マルフォイに、こいつらは何の役に立つのだろう、何の意味があるのかと問い詰められたハグリッドは、答えに詰まっています[2:6]。世話は「プロジェクト」として生徒の負担になり、一晩おきに小屋へ通って観察日記をつけることになりました[6]。
やがてスクリュートは共食いを始めます[7]。
「外のかぼちゃ畑の脇だ」ハグリッドがうれしそうに答えた。「でっかくなったぞ。もう一メートル近いな。ただな、困ったことに、お互いに殺し合いを始めてなあ」
ハグリッドは、殺し合うのはエネルギーを発散しきれないからだと考え、生徒に一匹ずつ引き綱をつけて散歩させました[4:2]。冬には冬眠させようと枕と毛布を詰めた箱に押し込めましたが、スクリュートは冬眠せず、箱を破壊してかぼちゃ畑で暴れ回ります。生徒の多くは小屋に立てこもり、残った者が火傷と切り傷を負いながら取り押さえました[5:2]。
この騒ぎのあと、ハグリッドは直接世話をするのをやめ、遠巻きに餌を用意するだけになりました[8]。数は減り続け、二匹まで減ったころ、授業はユニコーンに切り替わります[9]。学年末、ハグリッドは最後の一匹を見に行かないかと生徒を誘い、すぐに冗談だと言い直しました[10]。
第三の課題での遭遇
三大魔法学校対抗試合の第三の課題で、迷路に置かれた障害の一つがスクリュートでした。先に遭遇したセドリック・ディゴリーは「ものすごい大きさだ」と告げて走り去ります[3:2]。
セドリックの言うとおりだった――ものすごく大きい。長さ三メートルはある。何よりも巨大な蠍にそっくりだった。長い棘を背中のほうに丸め込んでいる。ハリーが杖灯りを向けると、その光で分厚い甲殻がギラリと光った。
ハリーの放った「ステューピファイ」も「インペディメンタ」も甲殻に当たって撥ね返りました。三度目に殻のない下腹部の肉の部分へ当てたことで、スクリュートはハリーの数センチ手前でようやく動きを止めました。ただし妨害呪文の効果は一時的で、ハリーはその場を離れて走り出しています[3:3]。
同じ迷路で巨大蜘蛛に捕らえられたときも、ハリーはスクリュートのときと同じように下腹部を狙っています[3:4]。
マグルの世界にはない危険
J.K. ローリングは、魔法使いが病気や怪我にどう対処するかを論じたなかで、マグルの世界には存在しない危険の例としてスクリュートを挙げています[11]。
マグルの世界には「悪魔の罠」や「尻尾爆発スクリュート」といった危険なものは存在しませんし、「機密保持法」があるため、「龍痘」(その名前が示すとおり、元々は「ペルー・バイパーツース種」と密接に関わる仕事をしていた魔法使いから感染させられるものでした)や「黒斑病」をうつす可能性のある者にマグルが接触することもないのです。
同じ一文で並べられている悪魔の罠も、マグルには縁のない危険として挙げられています。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第13章「マッド‐アイ・ムーディ」
- 第14章「許されざる呪文」
- 第15章「ボーバトンとダームストラング」
- 第16章「炎のゴブレット」
- 第18章「杖調べ」
- 第19章「ハンガリー・ホーンテール」
- 第21章「屋敷しもべ妖精解放戦線」
- 第22章「予期せぬ課題」
- 第24章「リータ・スキーターの特ダネ」
- 第26章「第二の課題」
- 第28章「クラウチ氏の狂気」
- 第31章「第三の課題」
- 第37章「始まり」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第13章「アンブリッジのあくどい罰則」
- 第21章「蛇の目」
- 第31章「ふ・く・ろ・う」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第11章「ハーマイオニーの配慮」
- 第14章「フェリックス・フェリシス」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第2章「追悼」
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「病気と障害」