レタス食い虫
レタス食い虫 (Flobberworm) は、じめじめしたどぶに生息する褐色の太い虫です。体長は二十五センチ程度まで成長し、ほとんど動きません[1]。両端から分泌する粘液は魔法薬を濃くするのに使われ[1:1]、ホグワーツではハグリッドの魔法生物飼育学の教材として繰り返し登場します[2]。
姿と生態
『幻の動物とその生息地』は、この生き物を次のように紹介しています[1:7]。
フロバーワームは、じめじめしたどぶに生息する。体長25センチ程度まで成長する褐色の太い虫で、ほとんど動かない。前後まったく区別がつかず、両端から粘液を分泌するのがフロバーという名の由来。この粘液は魔法薬を濃くするのに使うことがある。ほとんどどんな野菜でも食べるが、好物はレタス。
魔法省の危険度分類は最も低いXです[1:8]。歯を持たないため、噛まれることもありません[3]。
両端がまったく同じであることは、ゲーム Book of Potions でも繰り返されています。どちらの端も同じように植物を噛み、同じくらいの量の粘液をにじませると書かれています[4]。同書は、レタス食い虫をじっと横たわって食べていることに向いた退屈な生き物と呼び、好物がレタスだという点については「判断できるかぎりでは」という留保を付けています[4:1]。
放っておくのが一番よく育つ生き物です[5]。Book of Potions も、放っておくのが最善だと述べています[4:2]。
その退屈さは、しばしばそのまま比喩に使われます。フレッド・ウィーズリーは、ありえないことを言うときの言い回しにこの虫を持ち出しました[6]。
「ジニーは目をばっちり開けて寝てる。下でみんなが何を言ったか、ハーマイオニーが全部教えてくれるのを待ってるさ。もしそうじゃなかったら、俺、レタス食い虫並みだ」
粘液と魔法薬
魔法薬の作り手がこの生き物に関心を持つのは、もっぱらその粘液のためです[4:3]。粘液を魔法薬のとろみづけに使うことは『幻の動物とその生息地』にも記されており[1:9]、J・K・ローリングはポッターモアの『薬草ときのこ千種』の記事でも同じことに触れています[7]。
レタス食い虫の粘液は、魔法薬の濃度を高めるのに広く用いられます。
粘液は必要なときに絞り出すことができ、その際レタス食い虫が傷つくことはなく、気づく素振りさえ見せないとされます[4:4]。Book of Potions のおできを治す薬のレシピでは粘液をひと垂らし加えて勢いよくかき混ぜ、眠り薬のレシピでは搾り取った濃い粘液を大鍋に加えます[4:5]。
材料としては、腐ったものを選り分ける手間もかかります。セブルス・スネイプはハリーへの罰則として、魔法薬に使う腐ったレタス食い虫とそうでないものをより分ける仕事を課しました[8]。
捕まえ方と世話
捕まえること自体はさして難しくありません。頑丈でおとなしいので、害を与えずに粘液を採ることができます。ただし捕まえたあとは、餌をやりすぎないよう気をつける必要があるとされます[4:6]。
原作でも、餌のやりすぎで死なせてしまった例があります。落ち込むハグリッドを励まそうとしたロン・ウィーズリーが、「あ――レタス食い虫は元気?」と話題を振ったときのことです[9]。
「死んだ」ハグリッドが暗い表情をした。「レタスのやりすぎだ」
呼び寄せ呪文はほとんどの生き物には効きませんが、レタス食い虫は呼び寄せられる数少ない生き物のひとつです。もっともゲーム『ブックオブスペルズ』は、呼び寄せる価値のあるものはめったにないと付け加えています[10]。
魔法生物飼育学の授業で
ハグリッドが魔法生物飼育学の最初の授業でヒッポグリフを扱い、ドラコ・マルフォイが怪我をする騒ぎになったあと、ハグリッドはレタス食い虫にしておけばよかったと悔やみました[11]。
「俺がはじめっから飛ばしすぎたって、理事たちが言うとる。ヒッポグリフはもっとあとにすべきだった。……レタス食い虫かなんかっから始めていりゃ……イッチ番の授業にはあいつが最高だと思ったんだがな……みんな俺が悪い……」
その後、授業は毎回レタス食い虫の世話に費やされることになります[2:1]。
「魔法生物飼育学」の授業は、最初のあの大活劇のあと、とてつもなくつまらないものになり、誰も心から好きにはなれなかった。ハグリッドは自信を失ったらしい。生徒は毎回毎回、レタス食い虫の世話を学ぶはめになったが、こんなにつまらない生き物は、またとないに違いない。
世話の中身は、刻んだレタスをヌラリとした喉に押し込むことでした[2:2]。学年末の試験でも、取れたばかりのレタス食い虫を一時間生かしておくという課題が出されています[5:1]。
二年後、グラブリー‐プランク先生の授業で小枝のような生き物に歓声が上がったとき、ハリーはこれまでのハグリッドの授業を思い返しました。レタス食い虫はたしかにつまらなかったが、火とかげやヒッポグリフは十分おもしろかった、というのがハリーの内心です[12]。
授業の評判は、外へ出れば形を変えて伝わりました。リータ・スキーターが『日刊予言者新聞』に書いたハグリッド批判の記事には、マルフォイの談話として、ビンセント・クラッブがレタス食い虫にひどく噛まれたという話が載っています。ハリーはそれを一言で退けました[3:1]。
「こいつが――」ハリーはクラッブを指差しながら言った。「――レタス喰い虫にひどく噛まれた? デタラメだ。あいつらには歯なんかないのに!」
ホグワーツの戦いで
ハグリッドの前任者だった魔法生物飼育学の教師シルバヌス・ケトルバーンは、肉体的な衰えのためホグワーツの戦いに参加できませんでした。それでも自分なりの役目を果たそうと、飼っていたレタス食い虫を武器にしています[13]。
ケトルバーンはホグズミードに引退しましたが、肉体的な衰えのため、ホグワーツの戦いには参加できませんでした。しかし彼には、自分なりに何かの役目を果たそうという決意がありました。そこで、屋根裏部屋によじ登り、明かり取りの窓から、飼っていたレタス食い虫という生物を、死喰い人に向かって投げつけました。戦いの結果にはたいした影響はなかったかもしれませんが、これは正しい心のお手本であると一般に考えられています。
名前の由来
日本語版の名は好物のレタスにちなみますが、英語名の「フロバー」(flobber) は、両端から分泌する粘液に由来すると『幻の動物とその生息地』は説明しています[1:10]。
登場・言及箇所
- 『幻の動物とその生息地』(レタス食い虫の項)
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
- 第6章「鉤爪と茶の葉」
- 第8章「「太った婦人」の逃走」
- 第11章「炎の雷」
- 第16章「トレローニー先生の予言」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第24章「リータ・スキーターの特ダネ」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第6章「高貴なる由緒正しきブラック家」
- 第13章「アンブリッジのあくどい罰則」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第11章「ハーマイオニーの配慮」
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「薬草ときのこ千種」
- Pottermore Presents『エッセイ集ホグワーツ勇気と苦難と危険な道楽』第4章「シルバヌス・ケトルバーン」
- ゲーム『ブックオブスペルズ』第4章「Summoning Charm」の Notes
- ゲーム Book of Potions 第4章「Sleeping Potion」の材料解説「Flobberworm Mucus」
脚注
ゲーム Book of Potions(PS3 Wonderbook、2012年)第4章「Sleeping Potion」の材料解説「Flobberworm Mucus」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第6章「高貴なる由緒正しきブラック家」 ↩︎
ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「薬草ときのこ千種」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第11章「ハーマイオニーの配慮」 ↩︎
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第11章「炎の雷」 ↩︎
ゲーム『ブックオブスペルズ』(PS3 Wonderbook、2012年)第4章「Summoning Charm」の Notes ↩︎
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第6章「鉤爪と茶の葉」 ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第13章「アンブリッジのあくどい罰則」 ↩︎
Pottermore Presents『エッセイ集ホグワーツ勇気と苦難と危険な道楽』第4章「シルバヌス・ケトルバーン」 ↩︎