ユニコーン
ユニコーン (Unicorn) は、北ヨーロッパの森全体に生息する魔法生物です。完全に成長すると純白で角の生えた馬になり、角・血・たてがみなどの毛はいずれも強い魔法特性を持ちます[1]。角は薬問屋で売られ、毛は杖の芯として使われます[2]。
姿と生育段階
完全に成長すると純白で角の生えた馬になりますが、仔馬は初めのうち黄金色で、成熟する前に銀色に変わります[1:5]。金色から銀色、そして純白へと変わる過程は、ハグリッドが魔法生物飼育学の授業で説明しています[3]。
「大人より見つけやすいぞ」ハグリッドがみんなに教えた。「二歳ぐれえになると、銀色になるんだ。そんでもって、四歳ぐれえで角が生えるな。すっかり大人になって、七歳ぐれえになるまでは、真っ白にはならねえ。赤ん坊のときは、少しばっかり人懐っこいな……男の子でもあんまり嫌がらねえ……
成獣の白さは、周りの雪が灰色に見えるほどです。金色の蹄で地を掻き、角のある頭をのけ反らせます[4]。
ハグリッドは禁じられた森で新しく生まれた個体の世話もしており、ユニコーンの赤ん坊が何頭か生まれたとハリーたちに話しています[5]。
生息地と性質
生息地と人との関わりについて、『幻の動物とその生息地』はこう述べます[1:6]。
通常ヒトとの接触をさける。魔法使いより魔女のほうをより容易に受け入れ、近づかせるようだ。駿足なので、捕獲するのは非常にむずかしい。
ゲーム Book of Potions は、ユニコーンは捕らえることがほぼ不可能で、魔法生物のなかでも最も美しいものの一つだと述べています[6]。神話のなかでもよく知られており、マグルでさえその存在をおぼろげに知っているようだとも書かれています[6:1]。
禁じられた森には狼男がいるのではないかと不安がるロンに、ハリーは質問に直接答えず、森にはケンタウルスやユニコーンのようによい生き物もいると返しています[7]。
角
ダイアゴン横丁の薬問屋では、銀色の角が1本21ガリオンで売られています[2:1]。
ホグワーツの魔法薬学の材料棚にも角が置かれており、ハリーは干した薬草に混じった角をかき分けて、いちばん奥のベゾアール石の箱を見つけています[8]。
Book of Potions によれば、マグルの間には角に薬効があると信じてのユニコーンの角の取引があるとされます。しかし角の魔法特性は魔法族以外の者には何の役にも立たず、マグルの手にある角のほとんどは偽物です[6:2]。
たてがみと毛
杖作りのギャリック・オリバンダーは、自分の杖の芯に使う三種の素材の一つとしてユニコーンの毛を挙げています[2:2]。
「ポッターさん。オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力を持った物を芯に使っております。一角獣のたてがみ、不死鳥の尾の羽根、ドラゴンの心臓の琴線。一角獣も、ドラゴンも、不死鳥も皆それぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はない。
ポッターモアには、オリバンダー自身の覚え書きという体裁で三種の芯の性質を解説した文章が載っています。それによれば、ユニコーンの毛を芯とする杖は最も安定した魔法を生み、揺らぎや詰まりが起きにくく、闇の魔術に転じさせるのが最も難しい杖になります[9]。持ち主が優れた魔法使いであるかどうかにかかわらず、最初の持ち主に強く結びついたまま忠実であり続けます。いっぽうで最も強力な杖にはなりにくく、ひどく粗末に扱われると芯が気落ちして毛が死んでしまい、取り替えが必要になることもあります[9:1]。
原作でも、ロンの古い杖と買い替えた新しい杖、セドリック・ディゴリーの杖、ネビル・ロングボトムの杖、メアリー・カターモールの杖、ドラコ・マルフォイの杖が、いずれもユニコーンの毛を芯としています[10][11][12][13][14][15]。
毛の採取について、Book of Potions は、木や茨に引っかかった毛を集めるのが普通で、それ以外の方法で手に入れようとするのは厄介だと述べています[6:3]。ハグリッドの小屋の天井にも、絹糸のような輝く白い長い毛が糸束になって下がっていました。ホラス・スラグホーンに尋ねられたハグリッドは、森の木の枝に引っかかって抜けた尻尾の毛だと答えています。どんなに高価なものか知っているのかと驚くスラグホーンに、ハグリッドは用途をこう説明しました[16]。
「俺は、けがした動物に、包帯を縛ったりするのに使っちょる」ハグリッドは肩をすくめて言った。「うんと役に立つぞ……なにせ頑丈だ」
Book of Potions も、毛はその強靭さゆえに魔法動物学者が魔法生物用の包帯を作るのに使うと述べています[6:4]。また美容薬の材料でもあり、一房を加えて勢いよくかき混ぜると書かれています[6:5]。
血
罰則で禁じられた森に入ったハリーたちは、ひどく傷つけられたユニコーンの血をたどり、森の奥の開けた場所でその死骸を見つけました[17]。
まさに一角獣だった。死んでいた。ハリーはこんなに美しく、こんなに悲しい物を見たことがなかった。
そこへ、マントを着たフードの影が現れ、ユニコーンのかたわらに身を屈めて傷口から血を飲みはじめました[17:1]。
ハリーを救ったケンタウルスのフィレンツェは、ユニコーンの血が何に使われるかを問い、その代償を説明しました[17:2]。
「それはね、ユニコーンを殺すなんて非情きわまりないことだからなんです。これ以上失うものは何もない、しかも殺すことで自分の命の利益になる者だけが、そのような罪を犯す。ユニコーンの血は、たとえ死の淵にいる時だって命を長らえさせてくれる。でも恐ろしい代償を払わなければならない。自らの命を救うために、純粋で無防備な生物を殺害するのだから、得られる命は完全な命ではない。その血が唇に触れた瞬間から、そのものは呪われた命を生きる、生きながらの死の命なのです」
血を飲んでいたのはクィレルでした。ヴォルデモートはのちに、森でクィレルに飲ませたその血が数週間にわたって自分を強くしたと語っています[18]。さらに、ワームテールに作らせたユニコーンの血とナギニの毒からなる魔法薬によって、ほとんど人の形にまで戻り、旅ができるまで力を取り戻したと語っています[19]。
Book of Potions も、ユニコーンの血を流すことは疑いようのない闇の行為だと述べています。血には命を保つ力があり、死の淵にあっても生かしますが、それほど純粋なものを殺したがゆえに、以後の命は呪われた半分の命になるとされます[6:6]。
ホグワーツでの授業
ユニコーンは魔法生物飼育学の教材でもあります。グラブリー‐プランク先生は、禁じられた森の端の木に繋いだ一頭の前で、女子生徒を前に出しました[4:1]。
「男の子は下がって!」グラブリー‐プランク先生は腕をさっと伸ばし、ハリーの胸のあたりでがっしり行く手を遮り、大声で言った。「一角獣は女性の感触のほうがいいんだよ。女の子は前へ。気をつけて近づくように。さあ、ゆっくりと……」
授業を引き継いだハグリッドは、純粋な金色の仔馬2頭を連れてきました[3:1]。ハグリッドは前の週の授業でユニコーンの単元の終わりを告げ、次の授業ではニフラーを紹介しています[20]。翌年度、視察を受けたグラブリー‐プランク先生は、この学年の生徒はすでにユニコーンとニフラーを学んだと述べています[21]。
魔法生物飼育学のO・W・Lの実技試験では、たくさんある餌の中から病気のユニコーンに与える食餌を選ぶ課題が出されました[22]。
日本語版での表記
原作日本語版には、カタカナの「ユニコーン」と漢字の「一角獣」の両方の表記が現れます。第1巻第15章では、森でユニコーンを探すよう指示するハグリッドの一続きの台詞のなかで両方が入れ替わっています[17:3]。
『幻の動物とその生息地』の項目名も、ユニコーンと一角獣を並べた形です[1:7]。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 第5章「ダイアゴン横丁」
- 第6章「9と3/4番線からの旅」
- 第15章「禁じられた森」
- 第17章「二つの顔をもつ男」
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 第15章「アラゴグ」
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
- 第4章「漏れ鍋」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第18章「杖調べ」
- 第24章「リータ・スキーターの特ダネ」
- 第26章「第二の課題」
- 第28章「クラウチ氏の狂気」
- 第33章「死喰い人」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第15章「ホグワーツ高等尋問官」
- 第31章「ふ・く・ろ・う」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第7章「ナメクジ・クラブ」
- 第18章「たまげた誕生日」
- 第22章「埋葬のあと」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」
- 第13章「マグル生まれ登録委員会」
- 第24章「杖作り」
- 『幻の動物とその生息地』(ユニコーンの項)
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「杖の芯」
- ゲーム Book of Potions 第3章「Beautification Potion」の材料解説「Unicorn Hair」
脚注
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」 ↩︎
ゲーム Book of Potions(PS3 Wonderbook、2012年)第3章「Beautification Potion」の材料解説「Unicorn Hair」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』第15章「アラゴグ」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第18章「たまげた誕生日」 ↩︎
『ハリー・ポッターと賢者の石』第6章「9と3/4番線からの旅」 ↩︎
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第4章「漏れ鍋」 ↩︎
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第18章「杖調べ」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第7章「ナメクジ・クラブ」 ↩︎
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第13章「マグル生まれ登録委員会」 ↩︎
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第24章「杖作り」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第22章「埋葬のあと」 ↩︎
『ハリー・ポッターと賢者の石』第17章「二つの顔をもつ男」 ↩︎
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第33章「死喰い人」 ↩︎
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第28章「クラウチ氏の狂気」 ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第15章「ホグワーツ高等尋問官」 ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」 ↩︎