両面鏡

両面鏡 (two-way mirror) は、対になった二枚組の鏡です。二枚は互いに通じており、離れたまま姿と声をやりとりできます[1][2][3]シリウス・ブラックジェームズ・ポッターが学生時代に使い、のちにシリウスが片方をハリー・ポッターに贈りました[1:1]

基本情報

名前: 両面鏡 (two-way mirror)
外見: 小さな四角い鏡。古びて汚れている[1:2]
機能: 対になったもう一方の鏡と通じ、姿と声をやりとりできる[1:3][2:1][3:1]
持ち主: シリウス・ブラック、ジェームズ・ポッター、ハリー・ポッター(一方)/マンダンガス・フレッチャー、アバーフォース・ダンブルドア(もう一方)[1:4][3:2]

使い方

シリウスは、ハリーに渡した鏡の裏に走り書きを添えていました[1:5]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第38章「二度目の戦いへ」

これは両面鏡だ。わたしが対の鏡の片方を持っている。わたしと話す必要があれば、鏡に向かってわたしの名前を呼べばいい。わたしの鏡には君が映り、わたしは君の鏡の中から話すことができる。ジェームズとわたしが別々に罰則を受けていたとき、よくこの鏡を使ったものだ。

ここで説明されているのは、こちらから相手を呼び出したいときの手順です。名前を呼べば自分の姿が相手の鏡に映り、相手は自分の鏡の中から話しかけてくる、というものでした。

対の鏡を持つ側からは、呼ばれなくても相手の様子を見ることができます。ハリーの鏡が割れたあとにもう一方を手に入れたアバーフォース・ダンブルドアは、「ときどき君の様子を見るようにしてきた」と述べています[3:3]。ハリー自身も、名前を呼んでいないときに、欠片の向こうの明るいブルーの目を何度か目にしました[4][5][2:2]

声も通ります。マルフォイの館の地下牢でハリーが欠片に向かって叫んだ居場所は相手に伝わり、救援が差し向けられました[2:3][6]

歴史

シリウスとジェームズ

シリウスとジェームズは在学中、別々に罰則を受けたときにこの鏡で連絡を取り合っていました[1:6]。二人がどのようにして鏡を手に入れたかは語られていません。

ハリーへの贈り物

シリウスは、グリモールド・プレイス十二番地を離れる際に、包んだ鏡をハリーに手渡していました。ハリーは中身を確かめないまま、トランクの底に押し込んでしまいます[1:7]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第38章「二度目の戦いへ」

たちまちそれが何なのかを思い出した。シリウスが、グリモールド・プレイス十二番地での別れ際に、ハリーに渡したものだ。「私を必要とするときには、使いなさい。いいね?」

包みの存在に気づいたのは、シリウスが死んだあと、学期末の荷造りをしていたときでした[1:8]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第38章「二度目の戦いへ」

ハリーはベッドに座り込み、包みを開いた。小さな四角い鏡が滑り落ちた。古そうな鏡だ。かなり汚れている。鏡を顔の高さに持つと、自分の顔が見つめ返していた。

ハリーは鏡に「シリウス」、続けて「シリウス・ブラック!」と呼びかけますが、映るのは自分の顔だけでした。ハリーの頭の中で小さな声が、シリウスはあのアーチを通って行ったとき鏡を持っていなかったのだと告げます。ハリーは鏡をトランクへ投げ返しました[1:9]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第38章「二度目の戦いへ」

ハリーはしばらくじっとしていた。それから、いきなり鏡をトランクに投げ返した。鏡は割れた。ほんの一瞬、キラキラと輝く一瞬、信じたのに。シリウスにまた会える、また話ができると……。

割れた鏡の欠片

翌年の夏、プリベット通り四番地でトランクを片付けていたハリーは、その欠片で指を切ります[4:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第2章「追悼」

それからやっと、切り傷の犯人である刃物が見つかった。正体はすぐにわかった。名付け親のシリウスが死ぬ前にくれた魔法の鏡の、長さ六センチほどのかけらだった。

この欠片に、ハリーは明るいブルーの輝きを二度見ています。一度目は気のせいだと考え[4:2]、二度目には「ほんの一瞬、ダンブルドアの目が見えたような気がした」と感じました[5:1]

ハリーは欠片を、忍びの地図やR・A・Bのロケットとともに、ハグリッドからもらったモーク革の巾着に入れて首から下げます[7]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」

屋根裏部屋では、ロンが「灯消しライター」を入念に眺め、ハリーは、ハグリッドからのモーク革の巾着に、金貨ではなく、一見ガラクタのような物も含めて自分にとっていちばん大切な物を詰め込んでいた。忍びの地図、シリウスの両面鏡のかけら、R・A・Bのロケットなどだ。

以後、欠片はハリーの逃亡生活を通じて持ち歩かれました。凍った池に飛び込む前には、杖・母の手紙・古いスニッチとともに欠片の入った巾着を、脱いだ服の上に置いています[8]

マルフォイの館

マルフォイの館の地下牢に囚われたハリーは、上の階から響くハーマイオニーの悲鳴に耐えかね、巾着の中身をかき回しました。そのとき床に落ちた欠片に、青い目が映ります[2:4]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第23章「マルフォイの館」

鏡の破片がキラキラと床に落ちた。そして、ハリーは明るいブルーの輝きを見た――。ダンブルドアの目が、鏡の中からハリーを見つめていた。

ハリーは鏡に向かって助けを求め、まもなくドビーが地下牢に現れて一行を救い出しました[2:5][6:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第23章「マルフォイの館」

「助けて!」ハリーは、鏡に向かって必死に叫んだ。「僕たちはマルフォイの館の地下牢にいます。助けて!」

ドビーはベラトリックス・レストレンジに殺され、誰に遣わされたかを語らないまま逝きました。それでもハリーには、何が助けを呼んだのかが分かっていました[6:2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第24章「杖作り」

ドビーはもう、誰に言われて地下牢に来たのかを話してくれることはない。しかしハリーは、自分の見たものが何かわかっていた。鏡の破片から、心を見通すような青い目が覗いていた。そして救いがやってきた。

ロンも、救出の経緯を考える手がかりの一つに「ハリーが鏡の中に見た目」を挙げています[9]。ドビーの墓の前に立ったハリーは、巾着越しに欠片のギザギザした手触りを確かめながら、鏡の中の目のことを思い返しました[10]

もう一方の鏡

対になっていたもう一方の鏡は、ホッグズ・ヘッドにありました。死喰い人に追われた三人がこの店の一室にかくまわれたとき、ハリーはマントルピースの上にそれを見つけます[3:4]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

ハリーは、マントルピースの上にある何かに気を取られた。少女の絵の真下に、小さな長方形の鏡が立てかけてある。

助けてくれたバーテンの目は、鏡越しに見ていたあの青い目でした。ハリーは「僕がいままで鏡の中に見ていたのは、あなたの目だった」と告げ、相手がアバーフォース・ダンブルドアであることを言い当てます[3:5]。鏡の出所を尋ねると、アバーフォースはこう答えました[3:6]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」

「ダングから買った。一年ほど前だ」アバーフォースが言った。「アルバスから、これがどういうものかを聞いていたんだ。ときどき君の様子を見るようにしてきた」

「ダング」はマンダンガス・フレッチャーのことです。アバーフォースは兄アルバスからこの鏡が何であるかを聞き、以来ハリーの様子を見守っていました[3:7]

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第38章「二度目の戦いへ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第23章「マルフォイの館」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第28章「鏡の片割れ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第2章「追悼」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第3章「ダーズリー一家去る」 ↩︎ ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第24章「杖作り」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第19章「銀色の牝鹿」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第25章「貝殻の家」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」 ↩︎