庭小人
庭小人 (Gnome) は、北ヨーロッパと北アメリカに広く生息する、ありふれた庭の害獣です[1]。背丈はせいぜい三十センチほどで、不釣り合いに大きな頭とゴツゴツした足を持ちます[1:1]。ロン・ウィーズリーの家「隠れ穴」の庭にはいつも住み着いており、庭小人駆除は一家の季節の仕事になっています[2]。
原作の日本語版では「庭小人」ですが、『幻の動物とその生息地』は項目の見出しを「ノーム(庭小人)」とし、本文では「ノーム」と呼んでいます。『呪いの子』では「庭こびと」と平仮名で書かれています。この記事の見出しには、原作7冊で使われている「庭小人」を採り、引用はそれぞれの出典の表記のままにしています。
姿と生態
『幻の動物とその生息地』は、この生き物を次のように紹介しています[1:6]。
ノームは北ヨーロッパおよび北アメリカに広く生息するごくありふれた庭の害獣である。背丈はせいぜい30センチほどで不釣り合いに大きな頭と、ゴツゴツした足をしている。ノームを庭から駆除するには目を回すまで振り回し、塀の外に放り投げる。ジャービーを使って追い払うこともできるが、最近ではこの方法は残酷過ぎると考える魔法使いが多い。
魔法省の危険度分類はXXです[1:7]。ジャービーを使う駆除法は、同書によれば現在では残酷すぎると考える魔法使いが多いとされます[1:8]。
マグルが庭に置く飾りの小人とは似ても似つきません。ハリーが「隠れ穴」の庭で初めて実物を見たとき、ロンが芍薬の茂みから引き出して掲げてみせました[2:2]。
なるほど、サンタクロースとは似ても似つかない。小さく、ゴワゴワした感じで、ジャガイモそっくりの凸凹した大きな禿頭だ。硬い小さな足でロンを蹴飛ばそうと暴れるので、ロンは腕を伸ばして小人をつかんでいた。それから足首をつかんで小人を逆さまにぶら下げた。
捕まえられると「放せ! 放しやがれ!」とキーキー喚き、隙を見せた相手には剃刀のような歯で噛みつきます[2:3]。餌にはミミズを掘り出して食べる様子が描かれており、凍った土から引っ張り出そうと力を込めている場面があります[3]。
あまり利口ではないと、ジョージ・ウィーズリーは評しています[2:4]。
「庭小人駆除が始まったとわかると、連中は寄ってたかって見物に来るんだよ。巣穴の中でじっとしているほうが安全だって、いい加減わかってもいいころなのにさ」
庭小人駆除
庭に住み着いた庭小人を追い出す作業は「庭小人駆除」(de-gnoming)と呼ばれます。ハリーが「隠れ穴」に来た最初の朝、モリー・ウィーズリーは夜中に空飛ぶ車で出かけた息子たちへの罰として、この仕事を言いつけました[2:5]。
やり方はロンが実演してみせます。足首をつかんで逆さまにぶら下げ、頭の上で投げ縄のように振り回してから手を放すと、庭小人は垣根の外の草むらへ飛んでいきました[2:6]。
ロンは小人を頭の上に持ち上げて(「放せ!」小人が喚いた)投げ縄を投げるように大きく円を描いて小人を振り回しはじめた。ハリーがショックを受けたような顔をしているので、ロンが説明した。「小人を傷つけるわけじゃないんだ。――ただ、完全に目を回させて、巣穴に戻る道がわかんないようにするんだ」
もっとも、追い出しても長くはもちません。その日の夕方には、野原から一匹また一匹と垣根をくぐって庭へ戻ってくる姿が窓から見えています[2:7]。ロンによれば、庭小人はここが気に入っているうえ、父親のアーサー・ウィーズリーが彼らに甘く、おもしろいやつらだと思っているのだそうです[2:8]。
庭小人駆除は魔法界の外にも漏れ聞こえています。ポッターモアの記事によれば、魔法界のラジオ放送を偶然拾ったマグルが、キャベツ畑から庭小人を駆除する方法のヒントを耳にすることは珍しくないと魔法省も認めていました[4]。
「隠れ穴」の庭で
「隠れ穴」の庭小人は、その後も折にふれて顔を出します。
- ハリーがクィディッチ・ワールドカップの前に滞在したときには、ハーマイオニー・グレンジャーの猫クルックシャンクスが庭小人を追いかけ回していました。ハーマイオニーによれば、初めて見たものだから追いかけるのが好きなのだそうです[5]
- 6年生のクリスマス、ツリーのてっぺんの天使は、実は庭小人でした。クリスマス・ディナー用のにんじんを引き抜いていたフレッド・ウィーズリーの踵に噛みついたところを失神呪文で捕らえられ、金色に塗られてチュチュを着せられていたのです[3:1]
- 7年目の夏、結婚式に向けて庭がすっかり片づけられたとき、ハリーはいつものようにふざけ回る庭小人の群れがいない庭を侘しく感じています[6]。その後もロンが、新しい鉢植えの陰から顔を覗かせた庭小人に蹴りを入れて鬱憤を晴らす場面があります[6:1]
結婚式の当日、ミュリエルおばさんは大勢のウィーズリー家の面々を前にこう言いました[7]。
「またウィーズリーかね? お前たちゃ庭小人算で増えるじゃないか。ハリー・ポッターはここにいるのかぇ? 会えるかと思ったに。お前の友達かと思ったが、ロナルド、自慢してただけかぇ?」
「ヒトたる存在」と「動物」
魔法生物を「ヒトたる存在(being)」と「動物(beast)」に分ける議論のなかで、庭小人はヒトそっくりの外見にもかかわらず「動物」に分類されました[8]。
妖精、ピクシー小妖精、庭小人については、外見はヒトそっくりでも、きっちりと「動物」に分類された。
ラブグッド父娘の見方
ゼノフィリウス・ラブグッドと娘のルーナは、庭小人をまったく違う目で見ています。ビルとフラーの結婚式に着いたゼノフィリウスは、「隠れ穴」の庭の庭小人をこう評しました[7:1]。
「あの子はしばらく、お宅のチャーミングな庭で遊んでいますよ。庭小人に挨拶をしてましてね。すばらしい蔓延ぶりです! あの賢い庭小人たちからどんなにいろいろ学べるかを、認識している魔法使いがいかに少ないことか!――学名で呼ぶならゲルヌンブリ・ガーデンシですがね」
指を噛まれたルーナが父に見せると、ゼノフィリウスは唾液が有益だと喜び、突然オペラを歌いたくなったりマーミッシュ語で大演説したくなったりしたら抑えつけるなと娘に言い聞かせました[7:2]。
この「賢い」という評価も、「ゲルヌンブリ・ガーデンシ」という名も、唾液の効能も、ラブグッド父娘以外の誰かが語っている箇所はありません。二人はしわしわ角スノーカックのように、他の登場人物が裏づけを持たない事柄を確信をもって語る人物として描かれています。
玩具として
『呪いの子』では、ホグワーツ入学を控えたアルバスへの祝いの品が家族に配られた場面で、リリーが「おならをする庭こびと」をもらっています[9]。
登場・言及箇所
- 『幻の動物とその生息地』
- ノームの項
- まえがき
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 第3章「隠れ穴」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第5章「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第16章「冷え冷えとしたクリスマス」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第6章「パジャマ姿の屋根裏お化け」
- 第8章「結婚式」
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「テクノロジー」
- 『ハリー・ポッターと呪いの子』
- 第一幕第7場