妨害の呪い
妨害の呪い (Impediment Jinx) は、襲ってくる相手の動きを遅らせ、その場に縫い止める呪いです。呪文は「インペディメンタ」で、効果は一時的です。しばらく経てば自然に解けます[1]。『炎のゴブレット』から『死の秘宝』まで、ハリー・ポッターが戦いのたびに繰り返し使いました。
効果
杖を相手に向けて唱えると、当たった相手は吹き飛ばされたり、その場で動けなくなったりします。ハーマイオニー・グレンジャーは、三大魔法学校対抗試合の第三の課題に備えた練習の初日に、この呪文を最初の一つとして選びました[3]。
「この呪いなんか、よさそうだわ。『妨害の呪い』。あなたを襲う物のスピードを遅くします。ハリー、この呪いから始めましょう」
効果は永続しません。迷路の中でハリーが尻尾爆発スクリュートを止めたときも、そのまま長くは押さえておけないことを承知で走り去っています[1:2]。
ハリーはハァハァと息を切らしてスクリュートから離れ、必死で逆方向へと走った――妨害呪文は一時的なもので、スクリュートはすぐにも脚が動くようになるはずだ。
ダンブルドア軍団の練習で二人組になって掛け合ったときは、かけられたほうが一分ほど固まってから解けています[4]。
J.K. ローリングがテキストを執筆したPS3ゲーム「ブックオブスペルズ」は、この呪文を決闘に欠かせないものとして紹介しています[2:1]。
決闘に出る者は必ずこの呪文を用意しておきたいものだ
この呪文で動きを止められても、何も害が残ることはないが、変な体勢の時に止められると、かなり気まずいな
効かない相手
万能ではありません。迷路でセドリック・ディゴリーを襲った巨大な蜘蛛には、麻痺呪文と重ねて放っても通じませんでした[1:3]。
何の効き目もない――蜘蛛が大きすぎるせいか、魔力が強いせいか、呪文をかけても蜘蛛を怒らせるばかりだ――。
洞窟の湖から這い上がってきた亡者の群れにも、数体を倒すだけで決定打にはなりませんでした[5]。レシフォールドに襲われたフラビウス・ベルビーも、この呪文を試して退けられています(後述)。
作中での使用
第三の課題
迷路に入ったハリーは、行く手をふさいだ尻尾爆発スクリュートにこの呪文を2度放ちました。1度目は殻に弾かれ、2度目で殻のない下腹部に当たって動きが止まります[1:4]。
スクリュートはハリーからほんの数センチのところで動かなくなった――辛うじて殻のない下腹部の肉の部分に呪文を当てたのだ。
同じ迷路で、セドリックにのしかかろうとした巨大な蜘蛛にも麻痺呪文と続けざまに唱えましたが、こちらは効きませんでした[1:5]。
墓場からの脱出
蘇ったヴォルデモートの前から逃れる際、ハリーは追ってくる死喰い人たちに向かって、狙いも定めずにこの呪文を叫びました[6]。
「インペディメンタ! 妨害せよ!」杖を肩に担ぎ、追いかけてくる死喰い人に、当てずっぽうに杖先を向けながら、ハリーが叫んだ。
クィディッチ試合後の乱闘
グリフィンドール対スリザリンの試合のあと、ドラコ・マルフォイに殴りかかったハリーを引き離したのも、この呪文でした[7]。
近くの誰かが、「インペディメンタ! 妨害せよ!」と叫ぶまで、そして呪文の力で仰向けに倒されるまで、ハリーは殴るのをやめなかった。
ダンブルドア軍団の練習
必要の部屋での練習では、この呪文が課題に取り上げられ、部屋中に呼び声が飛び交いました[4:1]。
まもなく部屋中に「インペディメンタ! 妨害せよ!」の叫びが断続的に飛び交った。術をかけられたほうが一分ほど固まっている間、かけた相手は手持ちぶさたに他の組の様子を眺め、術が解けると、交代してかけられる側に回った。
湖畔の記憶
ハリーが憂いの篩で見た、セブルス・スネイプの学生時代の記憶のなかにも登場します。ジェームズ・ポッターに杖を飛ばされたスネイプが落ちた杖に飛びつこうとしたところへ、シリウス・ブラックがこの呪文を当てました[8]。
「インペディメンタ! 妨害せよ!」シリウスがスネイプに杖を向けて唱えた。スネイプは落ちた杖に飛びつく途中で、撥ね飛ばされた。
神秘部の戦い
神秘部では、双方がこの呪文を使っています。追い詰められたハリー・ハーマイオニー・ネビル・ロングボトムの3人は、死喰い人が放った呪文でまとめて吹き飛ばされました[9]。
ハリー、ハーマイオニー、ネビルが三人とも仰向けに吹っ飛んだ。
のちに予言の玉を抱えたネビルへ杖を向けたルシウス・マルフォイに、ハリーが肩越しにこの呪文を放ち、台座まで吹き飛ばしました[9:1]。
戦いのあと、ロン・ウィーズリーはネビルの戦いぶりを振り返って、この呪文を挙げています[10]。
ネビルは『妨害の呪い』のすごいやつを一発かましてくれたぜ
洞窟の亡者
分霊箱の隠された洞窟で湖から現れた亡者に対し、ハリーは金縛りの術に続けてこの呪文と縛り呪文を重ねました。何体かは倒れたものの、亡者は倒れた仲間を踏み越えて進んできます[5:1]。
「インペディメンタ! 妨害せよ! インカーセラス! 縛れ!」
天文台の塔のあとの戦い
アルバス・ダンブルドアが塔から落ちたあとの城内の乱闘で、ハリーはジニー・ウィーズリーに磔の呪文を放っていた死喰い人アミカスにこの呪文を当てました[11]。
呪いはアミカスの胸に当たった。キーッと豚のような悲鳴を上げて吹っ飛んだアミカスは、反対側の壁に激突して壁伝いにズルズルとずり落ち、ロン、マクゴナガル先生、ルーピンの背後に姿を消した。
敷地内でスネイプを追う途中、背後から迫った死喰い人の兄妹にも放ち、一人に命中してもう一人を巻き添えに転ばせています[11:1]。
七人のポッター
プリベット通りからの脱出行では、ルビウス・ハグリッドの飛ぶオートバイのサイドカーから、迫る死喰い人に向けて放ちました[12]。
呪詛が真ん中の死喰い人の胸に当たった。男は見えない障壁にぶつかったかのように、一瞬、大の字形の滑稽な姿をさらして宙に浮かび、死喰い人仲間の一人が、危うくそれに衝突しそうになった――。
レシフォールドとの遭遇
『幻の動物とその生息地』は、1782年にパプア・ニューギニアでレシフォールドに襲われたフラビウス・ベルビーの手記を引いています。ベルビーは失神呪文に続けてこの呪文を試みましたが、どちらも効きませんでした[13]。
そこで「妨害の呪い」に念力を込めたが、またしても効果なしだった。
なお『幻の動物とその生息地』の英語版はこの呪文を Impediment Hex と呼んでおり、原作7冊で使われる Impediment Jinx という呼び名とは異なります。日本語版はどちらも「妨害の呪い」です。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第29章「夢」
- 第31章「第三の課題」
- 第34章「直前呪文」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第19章「ライオンと蛇」
- 第21章「蛇の目」
- 第28章「スネイプの最悪の記憶」
- 第33章「闘争と逃走」
- 第35章「ベールの彼方に」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第26章「洞窟」
- 第28章「プリンスの逃亡」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第4章「七人のポッター」
- 『幻の動物とその生息地』レシフォールドの項
- PS3ゲーム「ブックオブスペルズ」