検知不可能拡大呪文
検知不可能拡大呪文 (Undetectable Extension Charm) は、入れ物の中を、外見から想像されるよりも広くする呪文です。原作でこの名が挙げられるのは一度だけで、ハーマイオニー・グレンジャーが自分の小さなビーズのハンドバッグにかけた場面です[1]。
呪文: 明示なし
分類: 呪文(charm)
効果: 入れ物の中を、外見から想像されるよりも広くする
初出: 『死の秘宝』第9章
効果
かけられた入れ物には、その大きさからは考えられない量の物が収まります。ハーマイオニーのバッグは片手に持てるほど小さく華奢に見えましたが、着替えや本や靴、さらには額縁のついた肖像画まで入っていました[1:1][2]。
呪文の仕組みや唱え言葉は原作に書かれていません。かけたハーマイオニー自身は、難しい呪文だとしながらも、うまくいったと述べています[1:2]。
「『検知不可能拡大呪文』」ハーマイオニーが言った。「ちょっと難しいんだけど。でも私、うまくやったと思うわ。とにかく、必要なものは何とか全部詰め込んだから」
外見と中身の落差は、音でも示されます[1:3]。
ハーマイオニーは華奢に見えるバッグをちょっと振った。すると中で重い物がたくさん転がる音がして、まるで貨物室の中のような音が響き渡った。
ハーマイオニーのビーズのバッグ
逃亡生活の支度
結婚式が死喰い人に襲われ、ハリー・ロン・ハーマイオニーの三人はロンドンのトテナム・コート通りへ姿くらましします。ハリーとロンはドレスローブ姿のままで、着替えも透明マントも手元にないと思っていました。人目のない横丁に入ると、ハーマイオニーはたった一つ手に持っていた小さなビーズのバッグから、次々と物を取り出してみせます[1:4]。
「ええ、ここにあるわ」その言葉とともにハーマイオニーは、呆気に取られているハリーとロンの目の前に、ジーンズ一着とTシャツ一枚、栗色のソックス、そして最後に銀色の「透明マント」を引っ張り出した。
中身は項目別に積んで整理されていました。もっとも、バッグを振ったことでその積み方は崩れてしまいます[1:5]。
「ああ、しまった! きっと本だわ」ハーマイオニーはバッグを覗き込みながら言った。「せっかく項目別に積んでおいたのに……しょうがないわね……ハリー、『透明マント』を被ったほうがいいわ。ロン、急いで着替えて……」
中を手探りする
以後の逃亡生活で、三人はこのバッグを物置として使い続けました。呪文の名がふたたび挙げられることはありませんが、同じバッグの中身の描写が、そのつど効果を示しています。
魔法省からの脱出で「ばらけ」て左腕を負傷したロンを手当てするため、ハリーがバッグに手を突っ込んだときには、目当ての小瓶に行き着く前に別の物が次々と手に触れました[3]。
ハリーは急いでハーマイオニーが着地したところに行き、小さなビーズのバッグをつかんで手を突っ込んだ。たちまち、次々といろいろな物が手に触れた。革製本の背表紙、毛糸のセーターの袖、靴のかかと――。
手探りでは見つからず、ハリーは杖先をバッグの奥へ差し入れて「アクシオ! ハナハッカよ、来い!」と唱えました。ハーマイオニーはこのとき、取ってほしい物を「『ハナハッカのエキス』というラベルが貼ってある小瓶よ――」と名指しで指示しています[3:1]。
額縁の肖像画
川辺のテントで外の話し声を盗み聞きした場面では、ハーマイオニーがバッグから伸び耳を三つ取り出しています[2:1]。
ハーマイオニーはビーズのバッグを素早くつかみ、中をかき回しはじめたが、やがて「伸び耳」を三個取り出して、ハリーとロンに、それぞれ一個ずつ投げ渡した。
同じ夜、ハーマイオニーはさらに大きなものを引き出しました。腕を脇の下まで沈めて取り出したのは、額縁だけのフィニアス・ナイジェラス・ブラックの肖像画です[2:2]。
ゆっくりと、装飾的な額縁の端が現れた。ハリーは急いで手を貸した。ハーマイオニーのバッグから、二人がかりで、額縁だけのフィニアス・ナイジェラスの肖像画を取り出すと、ハーマイオニーは杖を向けて、いつでも呪文をかけられる態勢を取った。
用が済むと、肖像画は同じバッグへ押し込まれました[2:3]。
ハーマイオニーは、フィニアス・ナイジェラスの肖像画をビーズバッグの中に再び押し込み、留め金をとめてバッグを脇に投げ出し、顔を輝かせてハリーを見上げた。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第9章「隠れ家」
- 第14章「盗っ人」
- 第15章「小鬼の復讐」