許されざる呪文

許されざる呪文 (Unforgivable Curses) は、アバダ ケダブラ・服従の呪文磔の呪文の3つをまとめて指す呼び名です。同類であるヒトに対してこのうちどれか一つの呪いをかけるだけで、アズカバンで終身刑を受けるに値するとされます[1]

基本情報

名称: 許されざる呪文 (Unforgivable Curses)
分類: 闇の魔術
含まれる呪文: アバダ ケダブラ(死の呪い)・服従の呪文磔の呪文
罰則: 同類であるヒトへの使用は、アズカバンでの終身刑に値する
分類された年: 1717年

三つの呪文

この呼び名と、それにともなう法的な重さを示したのは、ホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の授業で3つを取り上げたアラスター・ムーディです[1:1]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第14章「許されざる呪文」

「さて……この三つの呪文だが――『アバダ ケダブラ』、『服従の呪文』、『磔の呪文』――これらは『許されざる呪文』と呼ばれる。同類であるヒトに対して、このうちどれか一つの呪いをかけるだけで、アズカバンで終身刑を受けるに値する。おまえたちが立ち向かうのは、そういうものなのだ。そういうものに対しての戦い方を、わしはおまえたちに教えなければならない。備えが必要だ。武装が必要だ。しかし、何よりもまず、常に、絶えず、警戒することの訓練が必要だ。羽根ペンを出せ……これを書き取れ……」

ムーディは、このうちアバダ ケダブラを死の呪いと呼んでいます[1:2]

違法化と罰則

磔の呪文・服従の呪文・アバダ ケダブラの3つが、初めて許されざる呪文として分類されたのは1717年のことでした。この分類にともなって、使用には厳しい罰則が設けられています[2]

『吟遊詩人ビードルの物語』「バビティ兎ちゃんとペチャクチャ切り株」に寄せて(アルバス・ダンブルドアによる解説)の註6

「磔の呪文」「服従の呪文」「アバダ ケダブラ」の3つの呪いが、初めて「許されざる呪文」として分類されたのは1717年のことで、それらの使用には厳しい罰則が設けられた。

1717年という年に触れているのはこの註だけで、小説7冊の本文には制定の年が出てきません。

シリウス・ブラックによれば、ヴォルデモートの勢力と戦っていた時期の魔法省では、バーテミウス・クラウチ・シニアが疑わしい者に対する許されざる呪文の使用を許可していました[3]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第27章「パッドフット帰る」

クラウチは、暴力には暴力をもって立ち向かい、疑わしい者に対して、『許されざる呪文』を使用することを許可した。

ムーディの授業

ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術を担当したムーディは、4年生の授業でこの3つを取り上げました。魔法省の規定では、違法な闇の呪文が実際にどのようなものかを生徒に見せてよいのは六年生になってからです。ムーディは、アルバス・ダンブルドアが生徒たちの根性をより高く評価していること、そして戦うべき相手は早く知るほどよいという自身の考えを述べて、規定より早い実演に踏み切りました[1:3]

実演にはガラス瓶に入れて持ち込んだ3匹のクモが使われ、1匹ずつに呪文がかけられました[1:4]。授業の残りは、それぞれの呪文についてノートを取ることに費やされています[1:5]

作中での登場

第三の課題の迷路

三大魔法学校対抗試合の第三の課題で、ハリー・ポッターは迷路の中でビクトール・クラムセドリック・ディゴリーに磔の呪文をかけるのを目撃しました。ハリーはムーディに教わったこと——許されざる呪文を同類であるヒトに使えばアズカバンでの終身刑に値すること——を思い出し、クラムがそこまでして優勝杯を欲しがるはずがないと訝しみます[4]

魔法省の戦い

シリウス・ブラックの死の直後、ハリーは魔法省でベラトリックス・レストレンジに向けて磔の呪文を放ちました。呪文はベラトリックスをひっくり返しましたが、彼女は息を切らしながらすぐに立ち上がり、ハリーを挑発します[5]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第36章「「あの人」が恐れた唯一の人物」

「『許されざる呪文』を使ったことがないようだね、小僧?」ベラトリックスが叫んだ。もう赤ちゃん声を捨てていた。「本気になる必要があるんだ、ポッター! 苦しめようと本気でそう思わなきゃ――それを楽しまなくちゃ――まっとうな怒りじゃ、そう長くは私を苦しめられないよ――どうやるのか教えてやろうじゃないか、え? 揉んでやるよ――」

「盾」の商品

フレッドジョージは、自分たちが売り出した盾の帽子やマントについて、小から中程度の呪いや呪詛には効くものの、許されざる呪文に対してはあまり役に立たないとハリーに説明しています[6]

セクタムセンプラの一件

ハリーがセクタムセンプラドラコ・マルフォイを傷つけた件について、ジニー・ウィーズリーはハリーをかばいました[7]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第24章「セクタムセンプラ」

「話を聞いたら、マルフォイが『許されざる呪文』を使おうとしていたみたいじゃない。ハリーが、いい切り札を隠していたことを喜ぶべきよ!」

マルフォイが許されざる呪文を使おうとしていたというのはジニーの受け取り方で、その場でマルフォイが何をかけようとしたのかは書かれていません。

スネイプの逃亡

ダンブルドアが死んだ夜、ハリーは逃げるセブルス・スネイプに向けて磔の呪文を二度唱えようとしましたが、いずれも唱え終える前に阻まれました[8]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第28章「プリンスの逃亡」

「ポッター、おまえには『許されざる呪文』はできん!」

グリンゴッツ潜入

グリンゴッツに潜入したハリーは、居合わせた二人に服従の呪文をかけました。呪文が十分にかかったかどうか自信の持てないハリーの脳裏に、初めて許されざる呪文を使おうとしたときのベラトリックスの叫びがよみがえります[9]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」

「僕は、十分強く呪文をかけられなかったかもしれない。わからないけど……」

ハリーが許されざる呪文を実際に成立させたと本文に書かれているのは、魔法省での磔の呪文とこのグリンゴッツでの服従の呪文の2件です。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第14章「許されざる呪文」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『吟遊詩人ビードルの物語』「バビティ兎ちゃんとペチャクチャ切り株」に寄せて(アルバス・ダンブルドアによる解説)の註6 ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第27章「パッドフット帰る」 ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第31章「第三の課題」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第36章「「あの人」が恐れた唯一の人物」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第6章「ドラコ・マルフォイの回り道」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第24章「セクタムセンプラ」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第28章「プリンスの逃亡」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」 ↩︎