しわしわ角スノーカック
しわしわ角スノーカック (Crumple-Horned Snorkack) は、ルーナ・ラブグッドと父ゼノフィリウス・ラブグッドが実在を信じている生き物です[1]。角を持つ恥ずかしがり屋の魔法生物だとゼノフィリウスは語り[2]、ルーナは空を飛べないと説明します[3]。実在するかどうかは、原作のなかで最後まで決着がつきません。
しわしわ角スノーカックが実在するかどうかは、原作のなかで確かめられることも否定されることもありません。以下に挙げる姿や性質は、いずれも作中の登場人物が語ったことです。
語られている姿と性質
角を持つことは、ゼノフィリウスの説明にも、ルーナの主張にも共通しています。ゼノフィリウスは自宅を訪ねたハリーたちに、この生き物を次のように紹介しました[2:3]。
「しわしわ角スノーカックは」ゼノフィリウスは、てこでも動かない顔ではっきり言った。「恥ずかしがり屋で、高度な魔法生物だ。その角は――」
空を飛べないことは、ルーナ自身が述べています。魔法省へ向かう手段をめぐって、ロン・ウィーズリーが「カッキー・スノーグルかなんかの背中に乗っていくのか?」と問い詰めたのに対し、ルーナはこう答えました[3:2]。
「『しわしわ角スノーカック』は飛べません」ルーナは威厳のある声で言った。「だけど、あれは飛べるわ。それに、ハグリッドが、あれは乗り手の探している場所を見つけるのがとっても上手いって、そう言ってるもン」
角がひとりでに治るという性質は、ルーナが父から聞いたこととして語ります[4:1]。
実在をめぐって
ルーナとハーマイオニー
初めて名前が出るのは、ハグリッドが不在のあいだの「魔法生物飼育学」の授業前です。イヤリング代わりのオレンジ色の蕪を笑われたと思ったルーナは、声を大きくしてこう言いました[1:1]。
「笑ってもいいよ」ルーナの声が大きくなった。どうやら、パーバティとラベンダーがイヤリングではなく、自分の言ったことを笑っていると思ったらしい。「だけど、ブリバリング・ハムディンガーとか、しわしわ角スノーカックがいるなんて、昔は誰も信じていなかったんだから!」
ルーナがブリバリング・ハムディンガーと並べて名を挙げたこの生き物を、ハーマイオニー・グレンジャーは正面から否定しました[1:2]。
「でも、いないでしょう?」ハーマイオニーが我慢できないとばかりに口を出した。「ブリバリング・ハムディンガーとか、しわしわ角スノーカックなんて、いなかったのよ」
ルーナは何も言い返さず、蕪をブラブラ揺らしながら仰々しく立ち去りました[1:3]。
ラブグッド家の角
ラブグッド家の壁には、スノーカックの角と称するものが飾られていました。ハーマイオニーが目に留めたのは、螺旋状の巨大な灰色の角でした[2:4]。
指差していたのは、壁に取りつけられた螺旋状の巨大な灰色の角で、一角獣のものと言えなくもなかったが、壁から一メートルほども突き出している。
ゼノフィリウスは「しわしわ角スノーカックの角だが」と答えますが、ハーマイオニーは『幻の動物とその生息地』の記述を根拠に、それがエルンペントの角だと指摘しました[2:5]。
「ラブグッドさん、角の付け根に溝が見えます。あれはエルンペントの角で、信じられないくらい危険なものです――どこで手に入れられたかは知りませんが――」
ゼノフィリウスは取り合わず、角の出所を次のように説明しています[2:6]。
「二週間前、私がスノーカックというすばらしい生物に興味があることを知った、気持のよい若い魔法使いからだ。クリスマスにルーナをびっくりさせてやりたくてね。さて――」
この角は、ゼノフィリウスが放った失神の呪文がそれて命中したことで爆発し、家の一部を吹き飛ばしました[6]。
それでもルーナの見方は変わりません。のちに貝殻の家で、ハーマイオニーは角の正体を改めて説明しました[4:2]。
「ルーナ、教えてあげたじゃない」ハーマイオニーが向こうのほうから声をかけた。「あの角は爆発したのよ。エルンペントの角だったの。しわしわ角スノーカックのじゃなくて――」
「ううん、絶対にスノーカックの角だったわ」ルーナがのどかに言った。「パパがあたしにそう言ったもン。たぶんいまごろは元通りになってるわ。ひとりでに治るものなんだもン」
「ザ・クィブラー」と探索
ゼノフィリウスが編集する「ザ・クィブラー」にとって、スノーカックは看板の題材です。ハリーのインタビュー記事の掲載が遅れるかもしれないとルーナが話したときも、理由はスノーカックの目撃記事でした[7]。
ハリーをインタビューしたリータの記事が、いつ「ザ・クィブラー」に載るかはわからないと、ルーナは漠然と言った。パパは、「しわしわ角スノーカック」を最近目撃したという素敵に長い記事が寄稿されるのを待っているから、と言うのだ。「――もちろん、それって、とっても大切な記事だもン。だから、ハリーのは次の号まで待たなきゃいけないかも」
そのインタビューが売れた結果、ラブグッド父娘は夏の遠征に出られることになりました[5:1]。
「パパがそれを売ったんだもン」ルーナが「ザ・クィブラー」のページをめくりながら、漠然と言った。「それも、とってもいい値段で。だから、あたしたち、今年の夏休みに、『しわしわ角スノーカック』を捕まえるのに、スウェーデンに探検に行くんだ」
のちに雑誌の性格は変わります。潜伏中のテッド・トンクスは、川岸の焚き火のそばで、最新号にスノーカックの記事が一切ないと話しました[8]。
「近ごろはそう能天気でもない」テッドが言った。「試しに読んでみるといい。ゼノは『予言者』が無視している事柄をすべて活字にしている。最新号では『しわしわ角スノーカック』に一言も触れていない。ただし、このままだと、いったいいつまで無事でいられるか、そのあたりは私にはわからない。しかしゼノは、毎号の巻頭ページで、『例のあの人』に反対する魔法使いは、ハリー・ポッターを助けることを第一の優先課題にするべきだと書いている」
周囲の受け止め方
スノーカックは、ラブグッド父娘の突飛さを示す代名詞のように扱われます。ビルとフラーの結婚式で、ゼノフィリウスが首から下げていた死の秘宝の印について尋ねられたハリーは、こう推し量りました[9]。
「でも、もしかしたら」ハリーが言った。「ゼノフィリウスは、印の意味を実は知らないかもしれない。ラブグッド家の人はかなり……変わってるし。十分ありうることだと思うけど、どこかでたまたまあれを見つけて、しわしわ角スノーカックの頭の断面図か何かだと思ったかもしれない」
三人兄弟の物語を聞かされたあと、ロンも同じ調子で切り捨てています[6:1]。
「『しわしわ角スノーカック』を世に出したやつの、いかにも言いそうなことだぜ」ロンが言った。
嘲りは、より険しい形でも現れます。ゼノフィリウスがハリーの居場所を密告したあと、押し入った死喰い人は、それまで彼が持ちかけてきた取引を並べ立てました。そのなかには、この生き物が実在する証拠を提供するという申し出も含まれていました[6:2]。
「先週言ったはずだぞ、ラブグッド、もっと確実な情報でなければ我々は来ないとな! 先週のことを覚えているだろうな? あのばかばかしい髪飾りと娘を交換したいと言ったな? その一週間前は――」またバーンという音と叫び声。「――お前は何を考えていた? 何とか言う変な動物が実在する証拠を提供すれば、我々が娘を返すと思ったと? しわしわ――」バーン「――アタマの――」バーン「――スノーカックだと?」
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第13章「アンブリッジのあくどい罰則」
- 第26章「過去と未来」
- 第33章「闘争と逃走」
- 第38章「二度目の戦いへ」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第8章「結婚式」
- 第15章「小鬼の復讐」
- 第20章「ゼノフィリウス・ラブグッド」
- 第21章「三人兄弟の物語」
- 第25章「貝殻の家」