イノシシ
イノシシ (Boar) は、魔法界の景色のなかに意匠として繰り返し現れる動物です。ホグワーツの校門の石柱には羽の生えたイノシシの像が載り[1]、ホグズミードの旅籠「ホッグズ・ヘッド」の看板にはちょん切られたイノシシの首が描かれています[2]。守護霊の呪文が生む銀色の姿としても現れます[3]。
原作日本語版では、この動物はおおむね「イノシシ」と表記されます。例外は『死の秘宝』第32章の守護霊の場面で、そこだけは「猪」と書かれています。この記事の見出しには用例の多い「イノシシ」を採り、引用は原作の表記のままにしています。
ホグワーツの校門
ホグワーツの校門は、二本の石柱に羽の生えたイノシシの像を載せた鉄の門です。ハリーたちを乗せた馬車がこの門を通り抜ける場面で、初めて姿を見せます[1:2]。
馬車は壮大な鉄の門をゆるゆると走り抜けた。門の両脇に石柱があり、そのてっぺんに羽を生やしたイノシシの像が立っている。
以後、この像は城への出入りを描く場面の目印として繰り返し置かれます。三大魔法学校対抗試合の年の到着[4]、第二の課題のあとにハーマイオニーが校庭を駆け抜ける場面[5]、新学期の馬車移動[6]と、いずれも門の描写に添えられます。
ハーマイオニーは突然走り出した。二人を従え、帰り道を走り続け、羽の生えたイノシシ像が一対立っている校門を駆け抜け、校庭を突き抜けて、ハグリッドの小屋へと走った。
最後に置かれるのは、ハリーが傷痕を通して見た光景です。ヴォルデモートが門の外から城を見ており、そこでも門柱の上にイノシシが立っています[7]。
両側の門柱には羽の生えたイノシシが立っている。暗い校庭を通して城を見ると、煌々と明かりが点いていた。
ホッグズ・ヘッドの看板
ホグズミードの旅籠「ホッグズ・ヘッド」は、店先に掲げた看板でそれと分かります。ハリーたち三人が初めてこの店を訪れたとき、看板はこう描かれました[2:2]。
その道のどん詰まりに小さな旅籠が建っている。ドアの上に張り出した錆びついた腕木に、ボロボロの木の看板が掛かっていた。ちょん切られたイノシシの首が、周囲の白布を血に染めている絵が描いてある。
同じ看板は、冬の夜の場面でもう一度出てきます。夜の騎士バスでホグワーツへ戻る途中、ハリーは雪のホグズミードの脇道の奥にそれを認めました[8]。
バスは雪深いホグズミードを走っていた。脇道の奥に、ハリーはちらりとホッグズ・ヘッドを見た。イノシシの生首の看板が冬の風に揺れ、キーキー鳴っていた。
守護霊の姿として
守護霊の呪文が生み出す銀色の動物のなかにも、イノシシがいます。ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人が吸魂鬼に追い詰められたところへ、三頭の守護霊が飛び込んできました[3:2]。
しかしそのとき、銀の野ウサギが、猪が、そして狐が、ハリー、ロン、ハーマイオニーの頭上を越えて舞い上がった。吸魂鬼は近づく銀色の動物たちの前に後退した。暗闇からやってきた三人が、杖を突き出し、守護霊を出し続けながら、ハリーたちのそばに立った。ルーナ、アーニー、シェーマスだった。
原作は三頭の動物(野ウサギ・猪・狐)と、続いて現れた三人(ルーナ・アーニー・シェーマス)を同じ順で並べています。猪の守護霊はアーニー・マクミランのものです[3:3]。
イノシシの守護霊は、ゲーム『ブックオブスペルズ』が語るイリウスの物語にも出てきます。山奥の村を吸魂鬼の大群が襲ったとき、村人たちは守護霊を並べて防衛線を張りました[9]。
最初のうちは、守護霊たちがくい止めていた クマや狼、イノシシなどが、大活躍
やがて数で勝る吸魂鬼に押し切られ、この防衛線は崩れます。村を救ったのは、少年イリウスが呼び出したネズミの姿の守護霊でした[9:1]。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
- 第5章「吸魂鬼」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第12章「三大魔法学校対抗試合」
- 第24章「リータ・スキーターの特ダネ」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第11章「組分け帽子の新しい歌」
- 第16章「ホッグズ・ヘッドで」
- 第24章「閉心術」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第30章「セブルス・スネイプ去る」
- 第32章「ニワトコの杖」
- ゲーム『ブックオブスペルズ』第5章「Patronus Charm」