水晶玉

水晶玉 (crystal ball) は、占い学で用いられる球形の道具です。玉を覗き込み、そこに現れる像から未来を読み取ります。手相術や鳥の腸による占いと並ぶ基礎的な占い術の一つに数えられ、カッサンドラ・バブラツキーの著書『未来の霧を晴らす』が扱う技法の一つです[1]

基本情報

名前: 水晶玉 (crystal ball)
用途: 占い学の道具。玉を覗き込み、現れた像から未来を読む
外見: 銀色の球。真珠色の靄が詰まり、仄かに光る[2][3]
扱われる場: ホグワーツの占い学の授業と学年末試験、普通魔法レベル試験の実技[3:1][4]

概要

水晶玉による占いは、占い学の入門書が最初に挙げる技法の一つです。ホグワーツの三年生が『未来の霧を晴らす』を教科書として買い求めた際、フローリッシュ・アンド・ブロッツの店長は同書をこう紹介しています[1:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第4章「漏れ鍋」

「これですね」店長が梯子を上り、黒い背表紙の厚い本を取り出した。「『未来の霧を晴らす』これは基礎的な占い術のガイドブックとしていい本です。――手相術、水晶玉、鳥の腸……」

外見

北塔の占い学教室では、丸い壁面を巡る棚に無数の水晶玉が置かれています[2:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第6章「鉤爪と茶の葉」

丸い壁面一杯に棚があり、埃をかぶった羽根、蝋燭の燃えさし、何組ものボロボロのトランプ、数えきれないほどの銀色の水晶玉、ずらりと並んだ紅茶カップなどが、雑然と詰め込まれていた。

授業で使われる玉は真珠色の靄を内に湛え、薄暗い教室の中で仄かに光ります[3:2]。教室の中央には、教師が用いる大きな水晶玉も据えられていました[5]

作中での使用

ホグワーツの占い学(1993–1994年)

占い学の初回授業で、トレローニー先生は水晶玉の実習を夏の学期に行うと予告します[2:2]。しかし実際にはそれより早く、ハリーたちが三年生の学年末を迎える前に始められました[3:3]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第15章「クィディッチ優勝戦」

「あたくし、計画しておりましたより少し早めに水晶玉をお教えすることにしましたの」

先生は、その学年の六月の試験が水晶玉を扱うものになると告げています[3:4]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第15章「クィディッチ優勝戦」

「六月の試験は球に関するものだと、運命があたくしに知らせましたの。それで、あたくし、みなさまに十分練習させてさし上げたくて」

この予告に対し、ハーマイオニーは、試験を作るのは先生自身なのだから予言になっていないと指摘しました[3:5]

実習の最中、トレローニー先生はハリー・ロン・ハーマイオニーのテーブルの玉を覗き込み、そこに死神犬を見たと告げます[3:6]。ハリー自身が玉に見たのは、渦巻く白い霧だけでした[3:7]

学年末の試験は一人ずつ呼ばれる形式で行われ、生徒たちは水晶玉に何が見えるかを問われました[5:1]ネビル・ロングボトムは、順番を待ちながら何も見えないことを気にしています[5:2]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第16章「トレローニー先生の予言」

「君たち、水晶玉の中に、何でもいいから、何か見えたことある?」ネビルは惨めそうに聞いた。

ハリーの番でも、玉は何も映しませんでした[5:3]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第16章「トレローニー先生の予言」

ハリーは水晶玉に覆いかぶさるようにしてじっと見た。白い靄が渦巻いている以外に何か見えますようにと、必死で見つめた。しかし、何も起こりはしない。

アンブリッジによる査察(1996年)

ホグワーツ高等尋問官となったドローレス・アンブリッジは、占い学の授業を査察した際、水晶玉占い・茶の葉占い・石のルーン文字盤占いを次々に実演するようトレローニー先生に要求しました[6]

普通魔法レベル試験(1996年)

O・W・Lの占い学の実技試験でも水晶玉が課されましたが、ハリーの玉は何も見せませんでした[4:1]。ロンは試験官に、玉の中に鼻に疣のある醜い男が見えると詳しく語ったあとで、それが試験官自身の映り込みだったと気づいています[4:2]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」

大理石の階段を上りながら、ロンががっくりして言った。ロンの打ち明け話で、ハリーは少し気分が軽くなっていた。ロンは水晶玉に鼻に疣がある醜い男が見えると、試験官に詳しく描写してみせたらしい。目を上げてみれば、玉に映った試験官本人の顔を説明していたことに気づいたと言うのだ。

ホグワーツの戦い(1998年)

ホグワーツの戦いでは、水晶玉が武器として使われました。ハーマイオニーの呪文で吹き飛ばされたフェンリール・グレイバックの頭上に、水晶玉が落下します[7]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」

そのとき、白く輝く水晶玉がフェンリールの頭にバーンと落ちて割れた。フェンリールは倒れて、体を丸めたまま動かなくなった。

投げたのはトレローニー先生でした。先生は続けて、もう一つの水晶玉を杖で飛ばしています[7:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」

トレローニー先生は、テニスのサーブのような動作で、バッグから取り出したもう一個の巨大な水晶玉を持ち上げ、杖を振るって飛ばせた。水晶玉は玄関ホールを横切って、窓をぶち割った。

水晶玉と取り違えられた言及

闇の魔術に対する防衛術の授業で、リーマス・ルーピンの前に現れたまね妖怪は「銀白色の玉」の姿を取りました[8]。これを見たラベンダー・ブラウンは、ルーピン先生は水晶玉を怖がっているのかと口にしています[8:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第7章「洋箪笥のまね妖怪」

「ルーピン先生は、どうして水晶玉なんかが怖いのかしら?」

この玉は水晶玉ではありません。のちにルーピン自身が、自分を前にしたまね妖怪は月に変身すると述べています[9]。狼人間である彼にとって、恐怖の対象は満月でした[9:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第17章「猫、ネズミ、犬」

「スネイプ先生は、私の症状が何を意味するのか、誰か気づいてほしいと思って、あの宿題を出したんだ。月の満ち欠け図を見て、私の病気が満月と一致することに気づいたんだね? それとも『まね妖怪』が私の前で月に変身するのを見て気づいたのかね?」

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第4章「漏れ鍋」 ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第6章「鉤爪と茶の葉」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第15章「クィディッチ優勝戦」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第16章「トレローニー先生の予言」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第25章「追い詰められたコガネムシ」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」 ↩︎ ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第7章「洋箪笥のまね妖怪」 ↩︎ ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第17章「猫、ネズミ、犬」 ↩︎ ↩︎