偽物のロケット
偽物のロケット (fake locket) は、レギュラス・ブラックが洞窟の水盆から本物のスリザリンのロケットを持ち出すために用意した、身代わりの金のロケットです[1]。中にはヴォルデモートに宛てた「R・A・B」署名の書き置きが押し込まれていました[2]。
ハリー・ポッターは、アルバス・ダンブルドアが命を懸けて持ち帰ったこのロケットが分霊箱ではなかったことを、その死の直後に知ることになります[2:1]。
外見
本物のロケットとの違いは、ハリーが手の中で裏返した場面で描かれています[2:4]。
ハリーは、手の中でロケットを裏返した。「憂いの篩」で見たロケットほど大きくないし、何の刻印もない。スリザリンの印とされるS字の飾り文字もどこにもない。しかも、中には何もなく、肖像画が入っているはずの場所に、羊皮紙の切れ端が折りたたんで押し込んであるだけだった。
肖像画の入るべき場所に収められていたのが、「R・A・B」と署名された書き置きです[2:5]。ハリーが憂いの篩の中で見た本物は、これより大きく、S字の飾り文字が刻まれていました[2:6]。
歴史
洞窟でのすり替え
このロケットの出どころは、ロンとハーマイオニーとともにハリーが聞いた、クリーチャーの語りによって明らかになります[1:3]。
ヴォルデモートは、本物のロケットを洞窟の水盆に沈める実験にクリーチャーを使いました。それを知ったレギュラスは、のちにクリーチャーを連れて同じ洞窟へ戻ります。そのとき彼がポケットから取り出したのが、闇の帝王の持っていたものによく似たこのロケットでした[1:4]。
「ご――ご主人様は、ポケットから闇の帝王の持っていたロケットと似た物を取り出しました」クリーチャーの豚鼻の両脇から、涙がぼろぼろこぼれ落ちた。「そしてクリーチャーにこうおっしゃいました。それを持っていろ、水盆が空になったら、ロケットを取り替えろ……」
レギュラスは水盆の毒を飲み干し、クリーチャーは命じられたとおりロケットを取り替えて、本物を持ち帰りました[1:5]。
ハリーの手に渡る
数年後、ダンブルドアとハリーが同じ洞窟から持ち帰ったのは、すでに置き換えられていたこちらのロケットでした。ダンブルドアの死の直後、そのポケットから落ちたロケットを拾ったハリーは、書き置きを読み、これが分霊箱ではないと悟ります[2:7]。
この書付けが何を意味するのか、ハリーにはわからなかったし、どうでもよかった。ただ一つのことだけが重要だった。これは分霊箱ではなかった。ダンブルドアはむだにあの恐ろしい毒を飲み、自らを弱めたのだ。
その夜、グリフィンドール塔に戻ったハリーは、黙ってこのロケットをロンに手渡しています[4]。
翌年の夏、プリベット通りを去る支度をしていたハリーは、トランクの底からこのロケットを見つけ、リュックサックの前ポケットにしまいました[3:1]。
リュックの前ポケットには、忍びの地図と「R・A・B」の署名入りメモが入ったロケットをしまった。ロケットに名誉ある特別席を与えたのは、それ自体に価値があるからではなく――普通に考えればまったく価値のないものだ――払った犠牲が大きかったからだ。
ハグリッドから贈られたモーク革の巾着を身につけてからは、忍びの地図や両面鏡のかけらと並ぶ、いちばん大切な品の一つとしてその中に納められました[5]。
クリーチャーへの贈り物
グリモールド・プレイス十二番地で本物のロケットを探していたとき、ハリーは洞窟でこのロケットに呼び寄せ呪文が効かなかったことを思い出しています[1:6]。
本物を盗んだマンダンガス・フレッチャーを捜しに出るクリーチャーに、ハリーはこのロケットを託しました[1:7]。
「クリーチャー、僕、あの、君にこれを受け取ってほしいんだ」ハリーはロケットをしもべ妖精の手に押しつけた。「これはレギュラスのものだった。あの人はきっと、これを君にあげたいと思うだろう。君がしたことへの感謝の証に――」
ブラック家の家宝を自分のものとして贈られたクリーチャーは、感激のあまり立ち上がれなくなり、落ち着くまでに半時間を要しました[1:8]。
その後グリモールド・プレイスの厨房に立つクリーチャーは、このロケットを胸に下げています[6]。
ハリーのほうにいそいそと駆け寄ったしもべ妖精は、真っ白なタオルを着て、耳の毛は清潔で綿のようにふわふわしている。レギュラスのロケットが、その痩せた胸でポンポン飛び跳ねていた。
ホグワーツの戦い
ホグワーツの玄関ホールに屋敷しもべ妖精たちがなだれ込んだとき、その先頭に立っていたのがクリーチャーでした。胸には、レギュラスのロケットが躍っています[7]。
その先頭に立ち、レギュラス・ブラックのロケットを胸に躍らせたクリーチャーが、この喧騒の中でもはっきり聞こえる食用ガエルのような声を張り上げていた。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第28章「プリンスの逃亡」
- 第29章「不死鳥の嘆き」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第2章「追悼」
- 第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」
- 第10章「クリーチャー語る」
- 第12章「魔法は力なり」
- 第36章「誤算」