エルンペント
エルンペント (Erumpent) は、アフリカに生息する大型の魔法生物です。体重は1トンにもなり、遠目にはサイと見まちがわれることがあります[1]。鼻の上の角はあらゆるものを貫き、そこに含まれる毒液を注入されたものは破裂します[1:1]。『死の秘宝』では、ゼノフィリウス・ラブグッドが自宅の壁に取りつけていたこの角が爆発し、家の一部を吹き飛ばしました[2]。
姿と生態
『幻の動物とその生息地』によれば、エルンペントは強大な力をもつ大型で灰色のアフリカ産の動物です。体重は1トンにもなり、遠目にはサイと見まちがわれることがあります[1:8]。サイに似た体つきのなかで目を引くのが、鼻の上に生えた大きく鋭い角と、ロープのような長い尾です。皮膚は厚く硬く、大方の呪文も呪いもはねつけるため、魔法で制するのは容易ではありません[1:9]。
繁殖力は高くなく、1度の出産で生まれる仔は1頭だけです[1:10]。そのうえ交尾シーズンになると雄同士がしばしば互いを破裂させあうため、生息数は多くありません[1:11]。
角と破裂液
この生き物を危険にしているのは角です。ひどく刺激しないかぎり自分から攻撃してくることはありませんが、いったん攻撃に移ると、結果はたいてい大惨事になります[1:12]。
エルンペントの角は、皮膚から金属まで、ありとあらゆるものを貫くことができるし、致死的な毒液を持っており、その液を注入されたものは、すべて破裂してしまう。
角そのものが貫通力をもつだけでなく、角に含まれる液体が注入先を破裂させる、という二重の危険があります。雄同士が互いを破裂させあうのも、この液体の働きによるものです。
角・尾・破裂液は、いずれも魔法薬の材料として使われます。しかし取り扱いの危険さから、取引可能品目Bクラス(危険物扱い・厳重管理品目)に指定されており、アフリカの魔法使いたちはこの生き物の扱いに非常に気を使っています[1:13]。角が「家の中に置くには危険すぎる品」であることは、次に述べる『死の秘宝』の場面でハーマイオニーが口にする言葉でもあります[3]。
ラブグッド家の角
原作7冊のなかでエルンペントが登場するのは、『死の秘宝』のゼノフィリウス・ラブグッドの家を訪ねる場面です。生き物そのものではなく、壁に取りつけられた角として現れます。
ゼノフィリウスの家の壁には、螺旋状の巨大な灰色の角が飾られていました。彼はそれをしわしわ角スノーカックの角だと信じていましたが、ハーマイオニー・グレンジャーはひと目でエルンペントの角だと見抜き、取引可能品目Bクラスの危険物であって家の中に置くには危険すぎると訴えました[3:1]。根拠として挙げたのは『幻の動物とその生息地』の記述と、角の付け根に見える溝です[3:2]。
「ラブグッドさん、角の付け根に溝が見えます。あれはエルンペントの角で、信じられないくらい危険なものです――どこで手に入れられたかは知りませんが――」
ゼノフィリウスは取り合わず、2週間前にスノーカックに興味があることを知った若い魔法使いから買ったものだと答えました[3:3]。作中の登場人物が『幻の動物とその生息地』を根拠に魔法生物を見分ける、という場面でもあり、この本が作中世界でも図鑑として扱われていることがわかります。
角は、ゼノフィリウスが放った失神の呪文がそれて命中したことで爆発します[2:1]。
ゼノフィリウスの「失神の呪文」は、部屋を横切ってエルンペントの角に当たった。
爆発は部屋が吹っ飛んだかと思うほどで、天井は半分吹き飛び、印刷機は横倒しになりました。ゼノフィリウス自身も吹き飛ばされて螺旋階段を落ちていったと、音からハリーは察しています[2:2]。ハーマイオニーが、ちょっとでも触れたら爆発するかもしれないと警告していた品です[3:4]。その警告どおりの結果になりました。脱出したあとハーマイオニーは、だからエルンペントの角だと言ったのに、あの人の家は吹き飛んでしまったと、自分の見立てを改めて口にしています[4]。
のちに貝殻の家で、ハーマイオニーはルーナ・ラブグッドにも、爆発した角はスノーカックのものではなくエルンペントの角だったと説明しました。しかしルーナは、父からスノーカックの角だと聞いたことを根拠に、これを受け入れませんでした[5]。
角に突かれた最初の魔法使い
蛙チョコレートのカードには、アフリカン・エルンペントの角に突かれた最初の魔法使いとして、ウィルフレッド・エルフィックが記録されています[6]。カードの文面はこの一点だけで、どのような状況で突かれたのかは書かれていません。
登場・言及箇所
- 『幻の動物とその生息地』エルンペントの項
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第20章「ゼノフィリウス・ラブグッド」
- 第21章「三人兄弟の物語」
- 第22章「死の秘宝」
- 第25章「貝殻の家」
- ポッターモア
- 「ウィルフレッド・エルフィックのカード」