秘密の守人

秘密の守人 (Secret-Keeper) は、忠誠の術によって秘密を託された人物です。術がかけられると秘密はその人の中に封じ込められ、守人が自分の意志で明かさないかぎり、誰もその秘密にたどり着けません。ジェームズリリー・ポッターの隠れ家、不死鳥の騎士団の本部、隠れ穴、貝殻の家がこの術で守られ、それぞれに秘密の守人がいました。

基本情報

名前: 秘密の守人 (Secret-Keeper)
分類: 忠誠の術 (Fidelius Charm) によって定められる役割
関連する人物: アルバス・ダンブルドアシリウス・ブラック、ピーター・ペティグリュー、アーサー・ウィーズリービル・ウィーズリー

概要

忠誠の術は、生きた人間の中に秘密を魔法で封じ込める術です。フリットウィック先生はこの術を「恐ろしく複雑な術ですよ」と評し、その仕組みを次のように説明しています[1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第10章「忍びの地図」

「一人の、生きた人の中に秘密を魔法で封じ込める。選ばれた者は『秘密の守人』として情報を自分の中に隠す。かくして情報を見つけることは不可能となる――『秘密の守人』が暴露しないかぎりはね。『秘密の守人』が口を割らないかぎり、『例のあの人』がリリーとジェームズの隠れている村を何年探そうが、二人を見つけることはできない。たとえ二人の家の居間の窓に鼻先を押しつけるほど近づいても、見つけることはできない!」

秘密の守人とは、この術で「選ばれた者」を指す呼び名です。J.K. ローリングはポッターモアの記事で、この役割を「危険な役割」と評しています。あまりに重大で拘束力の強い魔法であるため、気軽に引き受ける者はいないと述べています[2]

特徴・仕組み

秘密を明かせるのは守人だけ

術がかけられたあと、守られた情報を他人に明かせるのは秘密の守人だけになります。それ以前にその情報を知っていた者が何人いても変わりません。守人が誰かに秘密を打ち明けると、打ち明けられた相手も忠誠の術に縛られ、さらに別の人へ伝えることはできなくなります[2:1]

作中では、この仕組みが本部の安全を支えていました。グリモールド・プレイス12番地が不死鳥の騎士団の本部だったころ、秘密の守人はダンブルドアでした。屋敷しもべ妖精のクリーチャーがナルシッサ・マルフォイに騎士団の情報を漏らしたときも、クリーチャーは秘密の守人ではないため、本部の所在を教えることはできませんでした[3]。スネイプもまた、スピナーズ・エンドを訪ねてきたナルシッサとベラトリックス・レストレンジに対し、自分は秘密の守人ではないのでその場所の名を言うことはできないと告げています[4]

秘密は自発的にしか明かせない

秘密の守人は、その気になればいつでも秘密を漏らすことができます。一方で、明かすつもりのない守人から、暴力や魔法や拷問によって情報を引き出すことはできません。秘密は本人がみずからの意志で明かす必要があります[2:2]

それにもかかわらず、多くの守人が情報を引き出そうとする相手に服従の呪文や磔の呪文をかけられてきました[2:3]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「秘密の守人」

一般的に、「秘密の守人」は危険な役割です。あまりに重大で拘束力の強い魔法なので、気軽に引き受ける者はいません。また、秘密は本人が自発的に明かさないかぎり漏れないにもかかわらず、多くの「守人」が情報を引き出そうとした相手に「服従の呪文」や「磔の呪文」をかけられています。

守人が死んだとき

秘密の守人が死ぬと、その守人から秘密を打ち明けられていた者が、あらたに秘密の守人になります。新たな守人は大勢になる可能性があり、そのうちの誰かが秘密を明かそうという気にならないとはかぎりません[2:4]

不死鳥の騎士団の本部では、実際にこれが起こりました。秘密の守人だったダンブルドアの死後、本部の場所を打ち明けられていた騎士団員が、ダンブルドアに代わって秘密の守人を務めることになったのです[5]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第6章「パジャマ姿の屋根裏お化け」

「しかし、守人は二十人ほどいるから、『忠誠の術』も相当弱まっている。死喰い人が、我々のうちの誰かから秘密を聞き出す危険性は二十倍だ。秘密が今後どれだけ長く保たれるか、あまり期待できないね」

作中での登場

ポッター夫妻の秘密の守人

ジェームズとリリーがヴォルデモートから身を隠すことになったとき、ダンブルドアは忠誠の術を勧め、自分がポッター夫妻の秘密の守人になろうと申し出ました。しかし二人が選んだのは、シリウス・ブラックでした。マクゴナガル先生は、当時のいきさつを次のように振り返っています[1:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第10章「忍びの地図」

「ジェームズ・ポッターは、ブラックだったら二人の居場所を教えるぐらいなら死を選ぶだろう、それにブラックも身を隠すつもりだとダンブルドアにお伝えしたのです。……それでもダンブルドアはまだ心配していらっしゃった。自分がポッター夫妻の『秘密の守人』になろうと申し出られたことを覚えていますよ」

ところが、秘密の守人は最後の最後になってピーター・ペティグリューに代えられていました。勧めたのはシリウス自身です。ヴォルデモートはきっと自分を追うはずで、ピーターのような弱虫を利用しようとは思わないだろう、という目眩ましの計画でした[6]。ピーターはヴォルデモートにポッター一家を売り、二人は殺されます。シリウスは叫びの屋敷でハリーにこう打ち明けています[6:1]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第19章「ヴォルデモート卿の召使い」

「最後の最後になって、ジェームズとリリーに、ピーターを守人にするように勧めたのはわたしだ。ピーターに代えるように勧めた……わたしが悪いのだ。たしかに……二人が死んだ夜、わたしはピーターのところに行く手はずになっていた。ピーターが無事かどうか、確かめにいくことにしていた。ところが、ピーターの隠れ家に行ってみると、もぬけの殻だ。しかも争った跡がない。どうもおかしい。わたしは不吉な予感がして、すぐ君のご両親のところへ向かった。そして、家が壊され、二人が死んでいるのを見た時――わたしは悟った。ピーターが何をしたのかを。わたしが何をしてしまったのかを」

ハグリッドは、崩れた家からハリーを連れ出した夜に現れたシリウスが秘密の守人だとは知らず、彼を慰めてしまったことを悔やんでいます[1:2]。ダンブルドア自身も、シリウスがポッター夫妻の秘密の守人だったと魔法省に証言していました。そのため真相を知ったあとも、ダンブルドアはハリーとハーマイオニーに、二人の証言だけでは誰も納得しないと告げています[7]

不死鳥の騎士団の本部

グリモールド・プレイス12番地が不死鳥の騎士団の本部として使われたとき、秘密の守人を務めたのはダンブルドアでした。シリウスは初めてこの屋敷に来たハリーに、ダンブルドア自身が誰かにこの場所を教えないかぎり、誰も本部を見つけることはできないと説明しています[8]

ダンブルドアの死後は、前述のとおり本部の場所を知らされていた騎士団員が秘密の守人になりました[5:1]ハリーロンハーマイオニーの三人がグリモールド・プレイス12番地に身を寄せることができたのも、秘密の守人だったダンブルドアから直接この屋敷の存在を教えられていたためです[9]

しかしこの隠れ家は、三人自身の手で失われます。ハーマイオニーは姿くらましをしたときに死喰い人のヤックスリーにつかまれ、彼を忠誠の術の保護圏内に連れ込んでしまいました。ダンブルドアの死後は三人も秘密の守人だったため、これはハーマイオニーがヤックスリーに秘密を渡してしまったことを意味しました[10]。三人は二度とグリモールド・プレイスに戻れなくなります。

隠れ穴と貝殻の家

隠れ穴の秘密の守人はアーサー・ウィーズリーです。ビル・ウィーズリーは貝殻の家にも同じ術をかけ、みずから秘密の守人を務めています。誰も仕事に行くことはできないけれど、いまはそんなことは枝葉末節だとビルは語っています[11]

貝殻の家を訪ねてきたリーマス・ルーピンは、扉の外から「君は『貝殻の家』の『秘密の守人』で、私にここの住所を教え、緊急のときには来るようにと告げた!」と叫んで自分の身元を示し、ビルに中へ入れてもらっています[12]

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第10章「忍びの地図」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「秘密の守人」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第37章「失われた予言」 ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第2章「スピナーズ・エンド」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第6章「パジャマ姿の屋根裏お化け」 ↩︎ ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第19章「ヴォルデモート卿の召使い」 ↩︎ ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第21章「ハーマイオニーの秘密」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第6章「高貴なる由緒正しきブラック家」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第9章「隠れ家」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第14章「盗っ人」 ↩︎

  11. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第24章「杖作り」 ↩︎

  12. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第25章「貝殻の家」 ↩︎