巨人

巨人 (giant) は、身の丈六メートルほどの巨大な種族です[1]。血に飢えた狂暴な性質で知られ、前世紀に仲間内の戦争で互いに殺し合って絶滅寸前となり、生き残ったほんの一握りはヴォルデモートに与しました[1:1]ハリーの時代のイギリスには巨人はもう残っておらず、海外の山岳地帯に隠れて暮らしています[2]ルビウス・ハグリッドは女巨人フリドウルファを母に持つ半巨人で、その異父弟グロウプは純粋な巨人です[1:2][3]

基本情報

名前: 巨人 (giant)。女性は女巨人 (giantess)[1:3]
分類: 魔法生物
身長: 六メートルほど[1:4][4]
生息地: 海外の山岳地帯。イギリスには現存しない[2:1]
性質: 狂暴で殺すことを好む。トロールに似てタフで、失神させるのが難しい[2:2][5]
社会: ガーグ (Gurg) と呼ばれる頭に率いられる[6]

姿と性質

巨人の身長は六メートルほどです。ハーマイオニーは、ハグリッドの母が巨人だったと知ったとき、ハグリッドの背丈からして純粋な巨人ではありえないことは初めからわかっていたと話しています[1:5]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」

「もちろん、純巨人でないことはわかってたわ。だって、ほんとの巨人なら、身長六メートルもあるもの。だけど、巨人のことになるとヒステリーになるなんて、どうかしてるわ。全部が全部恐ろしいわけないのに……狼人間に対する偏見と同じことね……単なる思い込みだわ」

ホグワーツの戦いでハリーが城の玄関で出くわした巨人も、六メートルを超える背丈でした[4:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」

見上げると、六メートル豊かの巨人が立っていた。頭部は暗くて見えず、大木のような毛脛だけが、城の扉からの明かりで照らし出されている。巨大な拳が滑らかに動き、強烈な一殴りで上階の窓を打ち壊した。雨のように降りかかるガラスを避けて、ハリーは玄関ホールの入口に退却せざるをえなかった。

純粋な巨人であるグロウプは、五、六メートルの背丈で、巨人としては小柄なほうにあたります[3:1]

ロンによれば、巨人は生まれつき狂暴で、トロールと同じように殺すことを好むとされています[2:3]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第23章「クリスマス・ダンスパーティ」

「うーん……ハグリッドのことを知ってる人にはどうでもいいんだけど。だって、ハグリッドは危険じゃないって知ってるから」ロンが考えながら話した。「だけど……ハリー、連中は、巨人は狂暴なんだ。ハグリッドも言ってたけど、そういう性質なんだ。トロールと同じで……とにかく殺すのが好きでさ。それはみんな知ってる。ただ、もうイギリスにはいないけど」

巨人はトロールと同じくとてもタフで、失神させるのが非常に難しい生き物です。ハグリッドがドローレス・アンブリッジの一行から失神呪文を何本浴びてもびくともしなかったとき、ハーマイオニーはその理由を巨人の血に求めています[5:1]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」

「巨人の血のせいよ」ハーマイオニーが震えながら言った。「巨人を『失神』させるのはとても難しいわ。トロールと同じで、とってもタフなの……でもおかわいそうなマクゴナガル先生……『失神光線』を四本も胸に。もうお若くはないでしょう?」

ポリジュース薬はヒトの使用に限定されており、半巨人のハグリッドには使えません。ハリーがダーズリー家を離れた夜、偽者でないことを確かめるためにハリーを問いただしたリーマス・ルーピンは、なぜ自分は調べないのかと聞くハグリッドにそう答えています[7]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第5章「倒れた戦士」

「君は半巨人だ」ルーピンがハグリッドを見上げながら言った。「ポリジュース薬はヒトの使用に限定されている」

社会と暮らし

巨人の集団は、ガーグ (Gurg) と呼ばれる頭に率いられています。ハグリッドはダンブルドアから、ガーグに貢ぎ物を持って行き、尊敬の気持ちを表すよう教えられました[6:1]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」

「ああ、ガーグだ――頭って意味だ」

ハグリッドが訪ねた当時のガーグはカーカスという名でしたが、ハグリッドたちの滞在中に内輪の争いで殺され、代わってゴルゴマスが新しいガーグになりました[6:2]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」

「カーカスの」ハグリッドが重苦しく言った。「新しいガーグがいた。ゴルゴマスだ」

ハグリッドによれば、巨人はもともと大きな集団で一緒に暮らすようにはできていません。数週間ごとに互いに半殺しの目に遭わせ、男は男どうし、女は女どうしで戦い、昔の種族の残党も互いに争います[6:3]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」

「まあ、さっき言ったように、連中は一緒に暮らすようにはできてねえ。巨人てやつは」ハグリッドは悲しそうに言った。「あんなに大きな集団ではな。どうしても我慢できねえんだな。数週間ごとに互いに半殺しの目に遭わせる。男は男で、女は女で戦うし、昔の種族の残党が互いに戦うし、そこまでいかねえでも、それ食いもんだ、やれ一番いい火だ、寝る場所だって、小競り合いだ。自分たちが絶滅しかかっているっちゅうのに。互いに殺し合うのはやめるかと思えば……」

女巨人にとって大切なのは大きな子どもを産むことで、ハグリッドの母フリドウルファは、ハグリッドの父のもとを去ったあと別の巨人と一緒になり、グロウプを産みました[3:2]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第30章「グロウプ」

「ああ……まあ、こいつが自分の名前を言うとき、そんなふうに聞こえる」ハグリッドが心配そうに言った。「こいつはあんまり英語をしゃべらねえ……教えようとしたんだが……とにかく、母ちゃんは俺のこともかわいがらんかったが、こいつもおんなじだったみてえだ。そりゃ、巨人の女にとっちゃ、でっけえ子供を作ることが大事なんだ。こいつは初めっから巨人としちゃあ小柄なほうで――せいぜい五、六メートルだ――」

魔法界との歴史

前世紀の戦争と衰退

巨人たちは前世紀に仲間内の戦争で互いに殺し合い、絶滅寸前となりました。生き残ったほんの一握りはヴォルデモートに与し、その恐怖支配時代に起きたマグル大量殺戮事件の中でも最悪の事件にかかわっています[1:6]。ハグリッドの出自を暴いたリータ・スキーターの記事は、巨人族の歴史をこう伝えています[1:7]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」

血に飢えた狂暴な巨人たちは、前世紀に仲間内の戦争で互いに殺し合い、絶滅寸前となった。生き残ったほんの一握りの巨人たちは、「名前を言ってはいけないあの人」に与し、恐怖支配時代に起きたマグル大量殺戮事件の中でも最悪の事件にかかわっている。

ヴォルデモートに仕えた巨人の多くは闇祓いに殺されましたが、フリドウルファはその中にはおらず、海外の山岳地帯に残る巨人の集落に逃れたとも考えられると、同じ記事は推測しています[1:8]。ロンも、巨人はもともと絶滅しつつあったところへ闇祓いにずいぶん殺され、残った者は外国の山に隠れているらしいと話しています[2:4]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第23章「クリスマス・ダンスパーティ」

「うん。いずれにしても絶滅しつつあったんだけど、それに『闇祓い』にずいぶん殺されたし。でも、外国には巨人がいるらしい……だいたい山に隠れて……」

ホグワーツの魔法史の授業では、巨人の戦争が単元として扱われます。5年生のハリーたちは、ビンズ先生による四十五分の講義を聞かされています[8]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第12章「アンブリッジ先生」

今日は巨人の戦争について、四十五分の単調な唸りに苦しんだ。最初の十分間だけ聞いて、ハリーはぼんやりと、他の先生の手にかかれば、この内容は少しはおもしろいかもしれないということだけはわかった。しかし、そのあと、脳みそがついていかなくなった。残りの三十五分は、ロンと二人で羊皮紙の端で文字当てゲームをして遊んだ。ハーマイオニーは、ときどき思いっ切り非難がましく横目で二人を睨んだ。

ダンブルドアの使節

ヴォルデモートの復活を知ったダンブルドアは、魔法大臣コーネリウス・ファッジに、対策の第二の手として巨人に使者を送るよう迫りました。ファッジは、自分が巨人と接触したと知れれば政治生命が終わると、強く反発しています[9]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第36章「決別」

「第二に取るべき措置は――」ダンブルドアが迫った。「巨人に使者を送ることじゃ。しかも早急に」(中略)「ま、まさか本気でそんなことを!」ファッジは息を呑み、頭を振り振り、さらにダンブルドアから遠ざかった。「わたしが巨人と接触したなどと、魔法界に噂が流れたら――ダンブルドア、みんな巨人を毛嫌いしているのに――わたしの政治生命は終わりだ――」

ハグリッドはマダム・マクシームとともに、ダンブルドアの密命で巨人の居住地へ赴きました。二人はダンブルドアからの贈り物を携えてガーグのカーカスのもとへ下り、贈り物を捧げて挨拶を述べています[6:4]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」

「ダンブルドアが小枝に魔法をかけて、永遠に燃え続けるようにしたんだが、こいつぁ、並みの魔法使いができるこっちゃねえ。そんで、俺は、カーカスの足下の雪ん中にそいつを置いて、こう言った。『巨人の頭に、アルバス・ダンブルドアからの贈り物でございます。ダンブルドアがくれぐれもよろしくとのことです』」

しかしカーカスは内輪の争いで殺され、ゴルゴマスが新しいガーグになりました[6:5]。ハグリッドは巨人のもとから戻った当日と同じくらいひどい怪我を、その後も長く負ったままでした[10]。異父弟のグロウプを、ハグリッドは禁じられた森に匿っていました[3:3]

第二次魔法戦争

ファッジはマグルの首相への報告で、ブロックデール橋の崩落に巨人が絡んでいると睨んでいると伝え、前回の戦争でもヴォルデモートは人目に立たせたいときに巨人を使ったと話しています[11]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第1章「むこうの大臣」

「『あの人』は前回も、人目に立たせたいときには巨人を使った。『誤報局』が二十四時間体制で動いていますよ。現実の出来事を見たマグル全員に記憶修正をかけるのに、忘却術士たちが何チームも動きましたし、『魔法生物規制管理部』の大半の者がサマセット州を駆けずり回ったんですが、巨人は見つかっとらんのでして――大失敗ですな」

ホグワーツの戦いでは、死喰い人の側が独自の巨人を引き連れて北の胸壁に迫りました[12]。ハリーは城の玄関で六メートルを超える巨人に行く手を阻まれ、そこへグロウプが現れて、二人の巨人は獅子のように飛びかかり合っています[4:2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第31章「ホグワーツの戦い」

「どうやら敵は北の胸壁を突破しようとしている。敵側の巨人を引き連れているぞ!」

ハリーがヴォルデモートのもとへ向かった禁じられた森の空き地には、死喰い人たちに混じって、残忍で岩のように荒削りな顔の巨人が二人、座っていました[13]。戦いの最終局面でグロウプが城の側面から現れると、ヴォルデモート側の巨人たちは吼えながらグロウプ目がけて突っ込んでいきました[14]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第36章「誤算」

同時に、グロウプが「ハガー!」と叫びながら、城の側面からドスンドスンと現れた。その叫びに応えて、ヴォルデモート側の巨人たちが吼え、大地を揺るがしながらグロウプ目がけて雄象のように突っ込んでいった。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第24章「リータ・スキーターの特ダネ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第23章「クリスマス・ダンスパーティ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第30章「グロウプ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第31章「ふ・く・ろ・う」 ↩︎ ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第20章「ハグリッドの物語」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第5章「倒れた戦士」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第12章「アンブリッジ先生」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第36章「決別」 ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第25章「追い詰められたコガネムシ」 ↩︎

  11. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第1章「むこうの大臣」 ↩︎

  12. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第31章「ホグワーツの戦い」 ↩︎

  13. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第34章「再び森へ」 ↩︎

  14. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第36章「誤算」 ↩︎