スリザリンのロケット(Slytherin's locket) は、ゴーント家に代々伝わる金のロケットです。困窮したメローピー・ゴーントが手放したのち複数の持ち主を経てヴォルデモートの手に渡り、分霊箱にされました[1]。最終的にロン・ウィーズリーグリフィンドールの剣で破壊しています[2]

基本情報

名前: スリザリンのロケット(Slytherin's locket)
外見: 重い金のロケット。装飾的なS字の飾り文字(スリザリンの印)が刻まれている[1:1]
所有者: ゴーント家 → ヘプジバ・スミスヴォルデモートレギュラス・ブラック
分霊箱: ヴォルデモートの分霊箱の一つ[1:2]
破壊: ロン・ウィーズリーグリフィンドールの剣で破壊(森の池にて)[2:1]

外見

滑らかな真紅のビロードの上に置かれた重い金のロケットで、精緻な金銀線細工の留め金がついています[1:3]。装飾的なS字の飾り文字がスリザリンの印であることを、店員として訪ねてきたトム・リドルが見抜きました[1:4]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

ヘプジバは精緻な金銀線細工の留め金をはずし、パチンと箱を開けた。滑らかな真紅のビロードの上に載っていたのは、どっしりした金のロケットだった。

歴史

ゴーント家の家宝

このロケットは、ゴーント家に代々伝わる家宝でした。マーヴォロ・ゴーントは、借金取り立てに訪れた魔法省のオグデンに向かって、重そうな金のロケットを振りかざしています[3]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第10章「ゴーントの家」

オグデンに向かって重そうな金のロケットを振り、メローピーが息を詰まらせて咳き込む中、ゴーントが大声を上げた。

メローピーがトム・リドル・シニアと駆け落ちした際、彼女はロケットも持ち去りました。残された兄モーフィンは激怒し、「スリザリンのロケットはどこだ」と問い詰めています[4]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第17章「ナメクジのろのろの記憶」

「盗みやがったんだ。いいか、逃げやがる前に! ロケットはどこにやった? え? スリザリンのロケットはどこだ?」

バークへの売却とヘプジバ・スミス

夫に去られ困窮したメローピーは、出産間際にボージン・アンド・バークスの店主カラクタカス・バークへロケットをわずか10ガリオンで売りました。スリザリンのものだという彼女の話は半信半疑で聞かれましたが、印を確認したバークはその真実を知ります[5]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第13章「リドルの謎」

しかし、この品を見ると、スリザリンの印がちゃんとある。簡単な呪文を一つ二つかけただけで、真実を知るには十分でしたな。

バークはのちにこのロケットをヘプジバ・スミスへ売り、彼女は真紅のビロードの箱に収めて秘蔵していました[1:5]

ヴォルデモートによる分霊箱化

ホグワーツ卒業後、ボージン・アンド・バークスの店員となったトム・リドルは、ヘプジバの屋敷を訪ねた際にこのロケットを見て、スリザリンの印を見抜きました。彼はまもなくヘプジバを毒殺し、屋敷しもべ妖精のホキーに罪を着せたうえで、ロケットとハッフルパフのカップを盗んで姿を消します[1:6]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

かつて孤児院でほかの子供たちから奪ったように、おじのモーフィンの指輪を盗んだように、こんどはヘプジバのカップとロケットを奪って逃げたのじゃ

ヴォルデモートはこのロケットを分霊箱にし、海辺の洞窟の水盆に沈めました。

レギュラス・ブラックとクリーチャー

レギュラス・ブラック(R.A.B.)は、ヴォルデモートの分霊箱の正体を見抜きました。彼は屋敷しもべ妖精クリーチャーを連れて洞窟へ赴き、無理やり水薬を飲ませて本物のロケットを取り出させます。そして、あらかじめ用意していた偽物のロケットとすり替えさせたうえで本物の破壊を命じ、自らはクリーチャーだけを帰し、亡者に引きずり込まれて死にました[6]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第10章「クリーチャー語る」

「ご――ご主人様は、ポケットから闇の帝王の持っていたロケットと似た物を取り出しました」

クリーチャーは命じられたとおり破壊を試みましたが、外側のケースにかけられた強力な呪文のせいで開けることさえできず、命令を果たせないまま自分を罰し続けました[6:1]。ダンブルドアとハリーがのちに同じ洞窟から持ち帰ったのは、すでにこの偽物のロケットにすり替えられたあとの品でした。

アンブリッジによる着服

グリモールド・プレイス十二番地を家探ししたマンダンガス・フレッチャーが、本物のロケットを含む財産を持ち去りました。ダイアゴン横丁で無許可営業をとがめてきた魔法省の魔女(正体はドローレス・アンブリッジ)に見逃してもらう代わりに、彼はロケットを渡しています[7]

アンブリッジはロケットを自分の胸元に着け、「S」の字は先祖セルウィン家のものだと嘘をつきました[8]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第13章「マグル生まれ登録委員会」

「エスの字はセルウィンのエス……私はセルウィンの血筋なの……実のところ、純血の家系で私の親戚筋でない家族は、ほとんどないわ……残念ながら――」

ハリーがアンブリッジを気絶させ、ハーマイオニーが複製の呪文でロケットの偽物を作ってすり替え、本物を持ち去りました[8:1]

破壊

森の池で、グリフィンドールの剣の存在を感じ取ったロケットがハリーの首を絞めようとしました。鎖が首に食い込み、ハリーは危うく溺れかけています[2:2]。ロンが剣で破壊する際、ロケットの黄金の扉が開き、リドルの目のような生きた眼が現れ、中の声がロンの恐れ(ハーマイオニーに愛されていない、常に一番になれない等)を言葉にして揺さぶりました[2:3]。ロンが剣で両眼を突き刺すと、中の魂の欠片は消え、ロケットは砕けた残骸となりました[2:4]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第19章「銀色の牝鹿」

ロンは二つの窓のガラスを貫いていた。リドルの両眼は消え、染みのついた絹の裏地が微かに煙を上げていた。分霊箱の中に息づいていたものは、最後にロンを責め苛んで、消え去った。

関連する人物

レギュラス・ブラック

分霊箱の正体を見抜き、洞窟でクリーチャーとともに本物を持ち出したうえで自らの命と引き換えにした人物です。詳しくはレギュラス・ブラックの記事を参照してください。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第19章「銀色の牝鹿」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第10章「ゴーントの家」 ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第17章「ナメクジのろのろの記憶」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第13章「リドルの謎」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第10章「クリーチャー語る」 ↩︎ ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第11章「賄賂」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第13章「マグル生まれ登録委員会」 ↩︎ ↩︎