魔法省の車

魔法省の車 (Ministry of Magic car) は、魔法省が用意する自動車です。見た目はほとんど普通の車と変わりませんが、マグルの車には通れない狭い隙間をすり抜け、信号待ちの車列を飛び越して先頭につけることができます[1]ハリー・ポッターは、シリウス・ブラックの脱獄後にキングズ・クロス駅まで[1:1]、第一級セキュリティの資格を与えられた6年目にはダイアゴン横丁と駅まで[2][3]、この車で送られました。

基本情報

名前: 魔法省の車 (Ministry of Magic car)
所有者: 魔法省
運転手: 魔法省の運転手[1:2][2:1]
外見: 旧型の深緑色の車[1:3]

概要

魔法省の車は、ほとんどまともな車といってよい見た目をしています。ただし、バーノン・ダーズリーの新しい社用車では絶対に通り抜けられないような狭い隙間をすり抜けることができ、走り去るときには信号待ちの車の列を飛び越して一番前につけていました[1:4]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第5章「吸魂鬼」

魔法省の車はほとんどまともといってもよかった。ただ、バーノンおじさんの新しい社用車なら絶対に通り抜けられないような狭い隙間を、この車がすり抜けられることにハリーは気づいた。(中略)走り去った車は、なぜか信号待ちをしている車の列を飛び越して、一番前につけていた。

車内にも仕掛けがあります。6年目にハリーを乗せた車では、前の助手席が必要に応じて二人掛けのソファーのような形に引き伸ばされ、アーサーモリー・ウィーズリーが魔法省の運転手と並んで座りました。後部座席も広く、ロン、ハリー、ハーマイオニージニーの4人がゆったりと座れました[2:2]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第6章「ドラコ・マルフォイの回り道」

ウィーズリーおじさんが振り返って言った。おじさんとおばさんは前の助手席に魔法省の運転手と一緒に座っていた。そこは必要に応じて、ちゃんと二人掛けのソファーのような形に引き伸ばされていた。

運転するのは魔法省の運転手です。3年目にハリーたちを乗せた二台は、エメラルド色のビロードのスーツを着込んだ胡散臭い魔法使いが運転していました[1:5]。6年目の運転手は、「漏れ鍋」の前に停まるまで一言も口をきかず、着いてはじめて「さあ、着きました」と言っています[2:3]

作中での使用

シリウス・ブラック脱獄後の護送

ハリーが3年目にホグワーツへ戻る前日、「漏れ鍋」での夕食の席で、アーサー・ウィーズリーは翌日のキングズ・クロス駅行きに魔法省が車を二台用意してくれると告げました。パーシーが理由を尋ねると、アーサーは何気ない言い方で答えましたが、その耳が真っ赤になったのをハリーは見逃しませんでした[4]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第4章「漏れ鍋」

「そりゃ、私たちにはもう車がなくなってしまったし、それに、私が勤めているので、ご好意で……」

その夜、ハリーはシリウス・ブラックが自分を狙っていることを知り、車の手配もそのためだったと理解します。ダイアゴン横丁に留まるよう約束させられたのも、魔法省の車で全員を駅まで運ぶのも、汽車に乗るまでウィーズリー一家がハリーの面倒を見られるようにするためでした[4:1]

翌朝、「漏れ鍋」の前には旧型の深緑色の車が二台停まっていました[1:6]

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第5章「吸魂鬼」

旧型の深緑色の車が二台停車していた。その先頭の車までのわずかな距離を、ウィーズリー氏はハリーにつき添って歩いた。二台ともエメラルド色のビロードのスーツを着込んだ胡散臭い魔法使いが運転していた。

ハリーは後ろの座席に座り、ハーマイオニー、ロン、パーシーが乗り込みました。夜の騎士バスの旅に比べれば呆気ない道中で、キングズ・クロス駅には二十分の余裕をもって到着しています。魔法省の運転手はカートを探してきてトランクを降ろし、帽子にちょっと手をやってアーサーに挨拶しました[1:7]

借りられなかった年

翌年の夏、ウィーズリー一家がダーズリー家へハリーを迎えに来る日、ハリーはアーサーが昨年魔法省から車を借りたことを思い出し、今日も借りるのだろうかと考えました[5]。しかし借りられるとは限りません。クィディッチ・ワールドカップのあと、一同がキングズ・クロス駅へ向かった日には、アーサーが魔法省から車を借りようとしたものの一台も余裕がなく、モリーが村の郵便局から電話をかけて、普通のマグルのタクシーを三台呼んでいます[6]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第11章「ホグワーツ特急に乗って」

「アーサーが魔法省から車を借りるよう努力したんだけど――」

その翌年は、さらに事情が悪くなっていました。新学期に駅へ歩いて向かう道すがら、モリーはこう嘆いています[7]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第10章「ルーナ・ラブグッド」

「わかってるわ、わかってるわよ」おばさんは呻くように言うと、歩幅を大きくした。「だけど、マッド‐アイがスタージスを待つって言うものだから……アーサーがまた魔法省の車を借りられたらよかったんだけど……ファッジったら、このごろアーサーには空のインク瓶だって貸してくれやしない……マグルは魔法なしでよくもまあ移動するものだわね……」

第一級セキュリティの警護

6年目の夏、ハリーには第一級セキュリティの資格が与えられていました。ダイアゴン横丁へ買い物に出かける日、以前に一度乗ったことのある魔法省の特別車が一台、「隠れ穴」の前の庭で待っていました[2:4]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第6章「ドラコ・マルフォイの回り道」

どんより曇った陰気な日だった。マントを引っかけながら家を出ると、以前に一度乗ったことのある魔法省の特別車が一台、前の庭でみんなを待っていた。

車の中で悠々と手足を伸ばしたロンに、アーサーは「慣れっこになってはいけないよ。これはただハリーのためなんだから」と釘を刺しています。車は驚くほど短時間でチャリング・クロス通りに入り、「漏れ鍋」の前で停まりました。そこで待っていたのは闇祓いたちではなく、ハグリッドでした[2:5]

ホグワーツ特急に乗る日にも、魔法省の車が再び来ることになりました。モリーは前日の夜、「魔法省の車がまた来ます。駅には闇祓いたちが待っているはず――」とハリーに安全対策を説明しています[3:1]。翌朝、車が「隠れ穴」の前に滑るように入ってきたときには、トランクも動物たちの籠もすべて準備が済んでいました。キングズ・クロス駅では、マグルの黒いスーツを着込んだ厳めしい髭面の闇祓いが二人、車が停まるなり進み出て一行を挟み、一言も口をきかずに駅の中まで行軍させました[3:2]

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第5章「吸魂鬼」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第6章「ドラコ・マルフォイの回り道」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第7章「ナメクジ・クラブ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第4章「漏れ鍋」 ↩︎ ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第4章「再び「隠れ穴」へ」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第11章「ホグワーツ特急に乗って」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第10章「ルーナ・ラブグッド」 ↩︎