姿をくらますキャビネット棚
姿をくらますキャビネット棚 (Vanishing Cabinet) は、対になった二つの棚のあいだに魔法の通路を作るキャビネットです[1]。片方はホグワーツの必要の部屋に、もう片方は夜の闇横丁のボージン・アンド・バークスにあります[2]。壊れて何年も使われていなかったホグワーツ側の棚をドラコ・マルフォイが修理したことで、死喰い人が城に侵入する経路になりました[2:1][1:1]。
概要
このキャビネット棚は二つで一組になっており、その二つの棚を魔法の通路が結んでいます[1:2]。ドラコ・マルフォイは、天文台の塔でダンブルドアに問われ、その仕組みをこう説明しました[2:4]。
「二つの間に通路のようなものができるんだ。モンタギューが、ホグワーツにあったキャビネット棚に押し込まれたとき、どっちつかずに引っ掛かっていたけど、ときどき学校で起こっていることが聞こえたし、ときどき店の出来事も聞こえたと話してくれた。まるで棚が二箇所の間を往ったり来たりしているみたいに。しかし自分の声は誰にも届かなかったって……結局あいつは、試験にはパスしていなかったけど、無理やり『姿現わし』したんだ。おかげで死にかけた。みんなは、おもしろいでっち上げ話だと思っていたけど、僕だけはその意味がわかった――ボージンでさえ知らなかった――壊れたキャビネット棚を修理すれば、それを通ってホグワーツに入る方法があるだろうと気づいたのは、この僕だ」
ボージン・アンド・バークス側の棚は、店内にある大きな黒いキャビネット棚です[4:1]。ハリー・ポッターが2年目が始まる前の夏にマルフォイ父子を避けて隠れたのと同じ棚で、ハリーが6年目に店の外からドラコを覗いたときも、その向こう側にドラコの姿がようやく見える程度でした[5:1]。
棚の呼び名: 原作日本語版では『謎のプリンス』『死の秘宝』で「姿をくらますキャビネット棚」と訳されています。『不死鳥の騎士団』第28章のフレッドの台詞では「姿をくらます飾り棚」です。この記事では「姿をくらますキャビネット棚」で統一しました。
ボージン・アンド・バークスの棚: 『秘密の部屋』第4章では「大きな黒いキャビネット棚」とだけ書かれ、この棚が対の片方であることは『謎のプリンス』第6章で明かされます。
歴史
ハリーの隠れ場所
ハリーが2年目が始まる前の夏に煙突飛行粉で行き先を誤ってボージン・アンド・バークスに出てしまったとき、ガラス戸の向こうにドラコ・マルフォイの姿が見えました。ハリーは急いで周りを見回し、左のほうにあった大きな黒いキャビネット棚に飛び込んで身を隠します[4:2]。
ハリーは急いで周りを見回し、左のほうに大きな黒いキャビネット棚を見つけ、中に飛び込んで身を隠した。扉を閉め、覗き用の隙間を細く開けた。数秒後、ベルがガラガラと鳴り、マルフォイが入ってきた。
ルシウス・マルフォイがボージン氏と商談をしているあいだ、ドラコは店内の商品を見て回り、ちょうど目の前にあったこのキャビネット棚に目を止めて取っ手をつかもうと手を伸ばしました。そこへルシウスが「決まりだ」と声をかけ、ドラコは向きを変えます。マルフォイ父子が店を出たあと、ハリーはできるだけ音をたてずに棚から滑り出て店の外に出ました[4:3]。
モンタギューの失踪
ハリーの5年目、スリザリンのモンタギューが休み時間にフレッドとジョージ・ウィーズリーから減点しようとしたところ、二人はそれを最後まで言わせず、モンタギューを二階の棚に頭から突っ込みました[6]。
「最後まで言い終らなかったのさ」フレッドが言った。「俺たちが、二階の『姿をくらます飾り棚』に頭から突っ込んでやったんでね」
このとき棚は壊れていたため、モンタギューは二つの棚のあいだで、どっちつかずに引っ掛かった状態になりました。ときどき学校で起こっていることが聞こえ、ときどき店の出来事も聞こえたものの、自分の声は誰にも届かず、結局モンタギューは試験にパスしていないまま無理やり「姿現わし」をして、そのために死にかけました。この話をみんなはおもしろいでっち上げだと思いましたが、ドラコだけはその意味を理解します[2:5]。
ドラコの修理
6年目の夏、ハリー、ロン、ハーマイオニーは透明マントをかぶってドラコを尾行し、ボージン・アンド・バークスの店先で伸び耳を使って中の会話を聞きました。ドラコはボージンに「……直し方を知っているのか?」と尋ね、店には持って来られないので、やり方だけを教えてほしいと言います。さらに、店にある「こっち」を安全に保管しておくよう念を押し、売らないよう命じました[5:2]。
「それは僕が決める」マルフォイが言った。「さあ、もう行かなければ。それで、こっちを安全に保管するのを忘れるな。あれは、僕が必要になる」
ドラコが「こっち」と言って指したものは、キャビネット棚の陰になっていてハリーたちには見えませんでした[5:3]。
その年、ハリーがプリンスの教科書を必要の部屋の隠し場所に隠しに行ったとき、巨大なトロールの剥製を通り過ぎたところで右に曲がり、壊れた「姿をくらますキャビネット棚」のところを左折しています。去年モンタギューが押し込められて姿を消した、あの棚でした[3:1]。
年度の終わり、天文台の塔でダンブルドアと向き合ったドラコは、死喰い人をどうやって潜入させたのかと問われ、こう打ち明けました[2:6]。
「壊れて、何年も使われていなかった『姿をくらますキャビネット棚』を直さなければならなかったんだ。去年、モンタギューがその中で行方不明になったキャビネットだ」
ダンブルドアは「賢いことじゃ……たしか、対になっておったのう?」と応じ、ドラコは「もう片方は、ボージン・アンド・バークスの店だ」と答えています[2:7]。ダンブルドアはさらに、棚を修理できないのではないかと思って、呪われたネックレスや毒入りの蜂蜜酒といった粗雑で軽率な方法を使おうとしたのだろうと指摘しました[2:8]。
死喰い人の侵入
事件のあと、マクゴナガル先生は、秘密の抜け道はすべて警備され、城のすべての入口に強力な魔法がかけられていたのに、死喰い人がどうやって侵入したのかわからないと語りました。ハリーは「僕は知っています」と言って、キャビネット棚が対になっていること、その二つの棚を魔法の通路が結ぶことを簡単に説明します[1:3]。
ハリーが言った。そして「姿をくらますキャビネット棚」が対になっていること、その二つの棚を魔法の通路が結ぶこと、を簡単に説明した。
その後
翌年のホグワーツの戦いの最中、レイブンクローの髪飾りを探して必要の部屋に入ったハリーは、トロールの剥製を通り過ぎ、ドラコ・マルフォイが去年修理して悲惨な結果をもたらした「姿をくらますキャビネット棚」の前を通っています[7]。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 第4章「フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第28章「スネイプの最悪の記憶」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
- 第6章「ドラコ・マルフォイの回り道」
- 第24章「セクタムセンプラ」
- 第27章「稲妻に撃たれた塔」
- 第29章「不死鳥の嘆き」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第31章「ホグワーツの戦い」